こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。
筆写近影 作品「遠い約束Ⅱ」と共に
さて、鉛筆デッサンを始めたばかりの人でも、花をテーマにした作品は取り組みやすくオススメです。
この記事では、春・夏・秋・冬それぞれの季節に描きやすい花のモチーフをピックアップし、初心者の人が鉛筆デッサンを美しく描くためのコツとステップを解説します。
花びらや葉の質感、光と影の使い方など、シンプルで実践的な技法を取り入れることで、リアルで魅力的な作品が完成します。
特に、複雑すぎない花を選ぶことで、スムーズにデッサンを楽しむことが可能になります。四季折々の花を描く楽しさをぜひ体験してください。
それでは、早速見ていきましょう!
鉛筆デッサンで初心者が花を描く際にまず最初に知っておくべきこととは?
初心者の人が、鉛筆デッサンの花に取り組む際には、最初から色々なことを考えないことが極めて重要です。 本章では、初心者の人が最初に取り組むべき心づもりについて解説します。
最初は楽しんで描くことに専念すべき理由
どなたでも、最初に描いた作品は、うまく描けないことが当たり前です。そのようなことよりも、あなたが描いてみたいと思える花に、楽しんで取り組むことが最も重要です。
多少歪んでいようが、いびつになっていようが構いません。あなたが描きたい作品を描きたいように取り組みましょう。最初から「構図及び構成や構想を練るなど」を考えてしまうと、挫折してしまうからです。^^
まずは5作品ほど描いてみる
まずは、描くことに慣れることが重要なのですが、ここでいきなり生花を鉛筆デッサンすることはやめましょう。
その理由は、慣れていない状態で描き始めると、最初の内はとにかく時間がかかるものだからです。生花で取り組んだ場合には、早いものは数時後にはしおれ始めます。
筆者の場合には、最初に取り組んだ花は「バラの造花」でしたが、とにかく当時花を描くことに初心者だった筆者からすると、「咲き姿が複雑」だったので何度も挫折しかけながら、時間ばかりかかってしまいました。何とか完成できたのは、造花で取り組んだからです。
想像してみてください。描いたこともない生花で、仮に複雑な咲き姿の花に取り組み、しかも色が白ではなくて赤などであった場合には、光と影の状態が良く確認でずに、描き進むのが非常に困難になる一方で、花はしおれていきます。
そんなわけで、あなたにオススメなのは「咲き姿のシンプルな白い造花」から取り組むことです。「造花」で5枚くらい描くことができて、描くことに慣れてこられましたら、いよいよ生花へもチャレンジしてみましょう。
描き進んでいくに従って、徐々に鉛筆の握り方や鉛筆の削り具合も分かってくるものです。また、「練り消しゴム」を練って、いろいろな形状に変化させて使えることや、「消しカス」が出ない便利さにも気づけるでしょう。
制作に慣れてこられましたら構図を学習しよう
構図とは、先人の築き上げてきた美の構成に裏打ちされた、バランス・緊張感・力強さ・躍動感などを伝えることができる技術です。
構図は、それ以外にも、作品に動きやリズムを生みだすための重要な要素でもあり、対角線などを活用することで、観てくださる人の視線を導くこともできます。
シンプルなモチーフを選び、陰影の工夫も取り入れることで、初心者の人でもリアルな鉛筆デッサンの花を描くことが可能になります。
モチーフとしての造花は、手掛けやすくて取り組んでみたくなるようなモチーフで、繰り返しで申し訳ありませんが、咲き姿のシンプルな白い花にしましょう。尚、白い花にこだわる理由は、光と影の状態をしっかりと観察できるからです。
カーネーション及びアジサイやヒマワリなどの複雑だったり細かかったりする造花はやめておきましょう。挫折の原因になります。筆者も避けてきました。^^
しかし、鉛筆で造花を描くことは初めてでしょうが、特別なことをしているわけではないので、それほど違和感もないはずです。 難しいことではないですよね。今まで学生時代からお馴染みの筆記用具ですし、シャープペンも同じようなものですから。
やがて、描き進んでいく内に、「何となくまとまりが悪い気がする」「どうすれば見映えが良くなるんだろう」「画面を引き立てる方法は何かないのだろうか」と、気になってくるはずです。それを解決してくれるのが構図です。
因みに、次の筆者の作品では、黄金分割線上(⑥)に主役の花を、準主役の花も黄金分割線上(⑤)に置き、斜線①と②を使って全体のバランスを取っています。
第2回個展出品作品 君の名は? 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
当初構図に取り組む際のオススメ
あなたが、最初に構図に取り組む際のオススメは、前述している黄金分割が良いでしょう。一番古典的でありながら、幅広く使われている構図だからです。
また、見映えのする根本的な要素として、知っておくことが必要な意味もあります。
具体的には、あなたが制作する画面の縦横のサイズを正確に測り、その寸法に対して÷1.618で得られた値を、画面の左右から測ってそれぞれ2本(⑤⑥)、画面上下から測ってそれぞれ2本(⑦⑧)の黄金分割点(線)が得られます。
そこへ、画面横の2分割線(③)と、画面縦の2分割線(④)及び、2つの対角線(①②)を入れて完成させたものが、次の黄金分割基本線です。
これらの線を使って、あなたの画面上の主役である花をその分割線上(⑤や⑥)に配置して、準主役ももう1つの黄金分割線上(⑤や⑥)に置きましょう。
あとは、画面縦横の線を使って窓を造ったり、斜線は前述のように花の葉をその斜線上に描いてみたりすることで、全体がまとまってきます。実際に観ているモチーフの枝や葉の角度を変えても、一向にかまわないのです。
次の筆者の作品の中の、画面右上の窓を模した「抜け」は、画面縦横の黄金分割で作ることのできる部分です。
尚、「抜け」とは、観てくださる人が外部へ続くイメージを持てることによって、画面上の「息苦しさ」を解消できます。前述の「黄金分割基本線(縦向き)」で説明すれば、画面右上のB⑥F⑦で区切られた四角部分です。
椿Ⅱ 2024 SM 鉛筆画 中山眞治
因みに、このように作者の都合が良く見映えも良い状態にすることを「デフォルメ」と言います。それは、削除・省略・修整・拡大・縮小・つけたし等、何でもありです。どうです。少し楽になったでしょう?
具体的には、風景画の制作であれば、実際の風景には電柱や電線があっても、それらを省略して描くことで、見映えをよくするということです。
また、今回は花の制作についてですから、あなたが描こうとしている主役や準主役の花には細密描写を施し、周囲の花や脇役のモチーフには、意図的に「省略」して描くことで、あなたの主役や準主役の花が引き立てられるということです。
全てのものを克明に描くことが、必ずしも素晴らしい作品にはならないことを記憶しておきましょう。すべて克明に描いた絵は「何が言いたいのかよく分からない作品」といわれてしまうことがあります。
尚、全体的に克明に描いたとしても、主役や準主役にはしっかりと「ハイライト」を入れて、それ以外のモチーフには「ハイライト」を抑えて描くことで、主役や準主役を引き立てる方法もあります。
あなたの感動や強調したいモチーフを表現できるように仕上げることが、重要だということです。
春のおすすめモチーフ:シンプルなチューリップの描き方
春を彩るチューリップは、そのシンプルな形状と優雅なフォルムが、鉛筆デッサンに最適なモチーフです。
チューリップの画像です
本章では、初心者の人でも取り組みやすいチューリップの描き方を、モノトーンの鉛筆画を前提に解説します。
チューリップを描くためのシンプルな構図の作り方
最初に、チューリップ全体のバランスを意識して構図を決めます。茎、葉、そして花の位置関係を大まかにデッサンしましょう。
花びらが重なり合う部分は直線ではなく、柔らかなカーブを描くことで自然な印象を作れます。茎と葉の位置は斜めの線も活用し、全体に動きを感じさせる構図を心がけると効果的です。
モノトーンで表現する花びらの立体感
次に、花びらの立体感をモノトーンで表現します。光が当たる部分は薄い線やぼかしを使い、影になる部分には強い濃淡を加えます。
椿Ⅰ 2024 SM 鉛筆画 中山眞治
花びらの重なり具合を丁寧に描き分けることで、平坦に見えることを防ぎます。特に中心部分の濃淡に気を配ると、自然な奥行きが生まれます。
影と線の強弱で春らしい柔らかさを演出する
最後に、全体に影をつける際、線の強弱を意識してください。茎や葉の影にはやや力強い線を、花びらには軽いタッチを取り入れることで、春らしい柔らかさを演出できます。
また、背景を描き込む場合はグラデーション(階調)を加えて、主役のチューリップを引き立てましょう。
これらのポイントを押さえることで、初心者の人でも自然な仕上がりのチューリップデッサンを完成させることができます。ぜひ春の訪れを感じながら、シンプルな鉛筆デッサンを楽しんでください!
夏の花を描こう:シンプルな朝顔のデッサンテクニック
夏の花として親しまれる朝顔は、そのシンプルな形状と繊細な美しさが鉛筆デッサンに最適です。
本章では、モノトーンの鉛筆を使い、朝顔の特徴である花びらの柔らかい曲線や独特の奥行きを表現する方法を解説します。
朝顔を描くための基本的な構図を決める方法
まずは、朝顔全体の構図を決めましょう。つるが絡まる茎と花の位置を簡単な線でデッサンします。花びらは正面だけでなく、斜めから見た形状も意識することで、自然な配置を作ることができます。
つるのカーブや葉の位置は、全体に動きが生まれるようにバランスを調整してください。
花びらの柔らかい曲線を鉛筆で表現するコツ
朝顔の花びらは、滑らかな曲線が特徴的です。鉛筆を軽いタッチで使い、薄い線で花びらの輪郭を描きます。
輪郭を描いた後は、花びらの中心から外側に向かって線を描くことで、自然な流れを作りましょう。また、花びらの重なり具合を意識しながら描くことで、繊細さが際立ちます。
光と影で朝顔の立体感をリアルに描き出す
朝顔をリアルに描くためには、光と影の表現が欠かせません。花びらの影になる部分を鉛筆で軽く塗りつぶし、光が当たる部分は「練り消しゴム」でハイライトを入れると立体感が出ます。
葉やつるも同様に、影の濃淡をつけてリアリティーを高めましょう。モノトーンの濃淡が、朝顔の美しさを引き立てます。
これらのテクニックを活用すれば、初心者の人でも朝顔の繊細なデッサンを楽しむことができます。夏の風物詩を鉛筆で表現し、涼やかな一枚を仕上げてみてください!
秋の魅力:コスモスを鉛筆で美しく表現する方法
秋を代表する花であるコスモスは、その優雅な姿とシンプルな構造から鉛筆デッサンに最適なモチーフです。
本章では、モノトーンの鉛筆でコスモスを美しく表現するための具体的なテクニックを紹介します。
コスモスの基本的な形を捉えるためのデッサンのコツ
まず、コスモス全体のバランスを意識した構図を作ることから始めます。花の中心を基点に、放射状に広がる花びらの位置を軽い線でデッサンしましょう。
花びらの形状は一枚一枚異なるため、完全な対称性を求めず、自然な形を意識すると良いです。茎や葉は細長い特徴を持つため、全体の動きが感じられるように配置します。
また、前掲の画像にもありますが、「つぼみ」も一緒に描くとバリエイションが出ます。
花びらの柔らかな重なりをモノトーンで描く方法
コスモスの花びらは薄く柔らかい印象を持つため、鉛筆のタッチを軽くし、優しい曲線を使って描きます。花びらが重なる部分には軽く影をつけることで、奥行きと立体感が生まれます。
第1回個展出品作品 コスモス 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
モノトーンの濃淡を調整しながら、花びらごとの微妙な質感の違いを描き分けることがポイントです。
茎と葉の繊細さを線と影でリアルに表現する
コスモスの茎と葉は細く繊細なため、鉛筆の先を鉛筆削りを使って、鋭く保ちながら描くのがコツです。茎は真っ直ぐすぎず、わずかに曲線を持たせることで自然な印象を与えられます。
葉の部分には短い線を重ねて描き込み、影を使って立体感を持たせましょう。また、背景に軽いグラデーション(階調)を加えると、コスモスの繊細さが際立ちます。
これらのテクニックを駆使すれば、秋の魅力を感じさせるコスモスのデッサンが完成します。初心者の人でも楽しみながら、季節感を活かした一枚を仕上げてみてください!
冬の静けさを描く:シンプルなポインセチアのデッサン
冬の象徴とも言えるポインセチアは、そのシンプルながらも存在感のある形が鉛筆デッサンにぴったりのモチーフです。
白いポインセチアの画像です
本章では、モノトーンの鉛筆を用いてポインセチアを美しく描くための具体的な方法を解説します。
ポインセチアの特徴を捉えた構図の作り方
ポインセチアの特徴である星型に広がる葉をデッサンする際には、全体のバランスを取ることが重要です。中心部分を基点に、放射状に葉を配置し、適度に間隔を空けることで自然な形を表現できます。
シンプルな構図を心がけながら、葉が対称すぎないように少し変化をつけると、リアリティーが増します。茎の位置を軽くデッサンし、全体の骨組みを整えましょう。
葉の形と重なりをモノトーンで描くポイント
ポインセチアの葉は鋭い先端と曲線を持つため、輪郭を描く際に丁寧なタッチが必要です。重なり合う葉の部分には、濃淡を使って奥行きを表現します。
一枚ずつ描き分けることを意識し、葉脈を細かく描き込むことでリアルな印象を作り出せます。モノトーンの鉛筆だからこそ、線の強弱で葉の質感を表現しましょう。
光と影で冬の静けさを表現するテクニック
ポインセチアの静かな美しさを引き出すためには、光と影を効果的に使うことがポイントです。
光が当たる部分は薄く柔らかく、影になる部分は深い影をつけることで、立体感を演出します。背景に軽いグラデーション(階調)を加えることで、冬の静けさを感じさせる雰囲気が完成します。
これらの手法を活用すれば、初心者の人でも冬の静かな美しさを感じさせるポインセチアのデッサンを描くことができます。シンプルな鉛筆アートで季節感あふれる一枚を仕上げてみてください!
季節ごとの花デッサンで上達する練習方法
シュウメイギクの画像です
四季折々の花をモチーフにした鉛筆デッサンは、絵の上達に最適な練習方法です。季節ごとの花にはそれぞれ異なる特徴があり、描きながら自然と観察力や描写力を磨けます。
本章では、モノトーンの鉛筆で取り組む際のポイントを解説します。
季節ごとの花を描くメリットと選び方
季節の花を描くことは、自然の美しさを感じながらデッサンに取り組む楽しさがあります。春のチューリップや夏の朝顔、秋のコスモス、冬のポインセチアなど、形がシンプルで初心者の人にも取り組みやすいモチーフを選ぶと良いでしょう。
季節ごとの花を選ぶことで、描く対象が常に新鮮でモチベーションを保ちやすくなります。
簡単なモチーフで練習を始めるステップ
初心者の人は、まず花全体の形を捉えるデッサンから始めましょう。輪郭を軽く描いた後、花びらや茎、葉のバランスを調整します。
次に、花びらの柔らかな曲線や葉の角度を丁寧に描き込みます。シンプルな花を選ぶことで、基本的な構図や形の取り方を習得しやすくなります。
花びらや葉の質感をモノトーンで表現するコツ
花びらや葉の質感をリアルに表現するためには、鉛筆の濃淡を使い分けることが重要です。花びらには軽いタッチで光と影をつけ、葉の部分には線の強弱をつけて自然な質感を描き出します。
濃淡を意識しながら描くことで、立体感と奥行きのあるデッサンが完成します。また、背景に少しのグラデーション(階調)を加えることで、主役や準主役の花が引き立ちます。
季節ごとに異なる花を描くことで、単調にならずに楽しくデッサンの練習を続けられます。シンプルな鉛筆で自然の魅力を表現する喜びをぜひ味わってください!
まとめ(季節ごとの花デッサンで上達する練習方法)
水仙の画像です
鉛筆デッサンを上達させるためには、季節ごとの花をモチーフにした練習が最適です。以下では、初心者の人が無理なく取り組める方法を解説します。モノトーンの鉛筆を使用し、観察力や技術を磨くステップも紹介します。
季節ごとの花を描くメリット
- 四季折々の花を描くことで、自然の美しさを感じながら技術を向上させられる。
- 取り組むモチーフが変わるため、飽きることなく継続可能。
- 春はチューリップ、夏は朝顔、秋はコスモス、冬はポインセチアなど、形状がシンプルで初心者にも描きやすい。
簡単なモチーフで練習するステップ
- 構図をデッサン
- 花全体のバランスを取り、茎や葉を軽くデッサン。
- 花びらが広がる方向や形を意識して配置を整える。
- 輪郭を丁寧に描く
- 花びらや葉の縁を、軽いタッチで描く。
- 対称性を求めすぎず、自然な変化を取り入れる。
- 光と影をつける
- 濃淡をつけて立体感を演出。
- 光が当たる部分は薄く、あるいは練り消しゴムで拭き取り、影の部分は濃く描き分ける。
モノトーンで表現するコツ
- 花びら:柔らかな曲線と影で質感を描き出す。
- 葉:葉脈を軽く描き込むことでリアルさをアップ。
- 背景:薄いグラデーション(階調)を入れて主題を引き立てる。
季節ごとの花を描く練習は、初心者の人から経験者の人まで幅広く楽しめる方法です。簡単なモチーフから始めて、徐々に技術を高めましょう。鉛筆デッサンで自然の魅力を感じながら、四季を彩る作品を描いてみてください!
ではまた!あなたの未来を応援しています。
筆者の場合には、絵画教室で習い始めましたが、併行して自宅でも好きなものを好きなように描いていました。