こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に
さて、鉛筆画やデッサンの練習を続けているのに、「何をどの順番で練習すればよいのか分からない」、「今の練習は、鉛筆画やデッサン中級者への道につながっているのか不安」と感じることはありませんか?
多くの人が、基礎を終えた後の段階で迷い、同じ練習を繰り返すだけになっていることが多いものです。
この記事では、鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進むために必要な練習を段階別に整理し、目的・内容・判断基準を明確にしたロードマップ(※)としてまとめました。
静物・風景・心象風景・人物・動物といったジャンル別練習の位置づけや、次に進むべきタイミングも具体的に解説します。遠回りせず、着実にレベルアップしたい人のための、完全ガイドです。
それでは、早速見ていきましょう!
※ ロードマップとは、目標達成までの道のりを「地図」のように視覚化した工程表や計画書のことを指します。
鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進むために知っておくべき全体像

蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサンの練習を続けていると、多くの人が「描いてはいるが、どこに向かっているのか分からない」という状態に陥ります。
初心者から中級者へ進むためには、個々の技法よりも先に、全体の流れと自身の現在地点を把握することが欠かせません。
本章では、練習ロードマップの全体像を整理し、なぜ順番が重要なのかを明確にします。
鉛筆画やデッサン初心者と中級者の違いは技術量ではない

葡萄 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の人と中級者の人の差は、単純に描けるモチーフの数や描写量ではありません。
初心者の段階では、「見たものをそのまま再現しようとする」意識が強く、線や形、濃淡を個別に追いがちではないでしょうか。
一方で、中級者の人は、何を描き、何を省くかを判断しながら画面を構成しています。つまり差が生まれるのは、技術そのものよりも判断力と整理力です。
この違いを理解しないまま練習を続けると、描写量は増えても、評価が伸びない状態に陥ってしまいます。
練習が空回りする人に共通する問題点

林檎 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
多くの人がつまずく原因は、「目的のない練習」を積み重ねてしまうことです。静物・風景・心象風景・人物・動物とジャンルを変えても、練習の狙いが曖昧なままだと上達感は得られません。
また、他人の作例を真似るだけで、自身の弱点を把握していないケースも多く見られるのです。
ロードマップが必要なのは、練習内容を制限し、今やるべき課題に集中するためでもあります。
ロードマップが必要な理由

水滴Ⅵ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進む過程では、「基礎→応用」という単純な直線構造ではなく、段階ごとに重点が変わるのです。
線、形、トーン、構図、完成度といった要素は同時に伸びるものではなく、意識的に順番を設計する必要があります。
ロードマップは、今の練習が次の段階につながっているかどうかを確認するための地図であり、迷いを減らすための指針です。
このロードマップで得られるもの

邂逅Ⅰ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
この記事で示します、練習ロードマップを使うことで、自身が鉛筆画やデッサン初心者のどの段階にいるのか、次に何を練習すべきかが明確になります。
結果として、同じ練習を惰性で繰り返す状態から抜け出し、意図を持った練習へと移行できるのです。
鉛筆画やデッサン中級者への移行は、突然起こるものではなく、段階を理解した人から自然に到達するものです。鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進むためには、技法を増やす前に全体像を把握することが重要となります。
描写力の差ではなく、判断力と整理力の違いが成長を分けます。ロードマップは、その判断を支える基準となり、練習を無駄にしないための道しるべです。
初心者の段階で固めるべき鉛筆画・デッサンの練習

第2回個展出品作品 ランプのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進むためには、早い段階で、「やらなくていい練習」と「必ず固めるべき練習」を見極める必要があります。
初心者のうちは、幅広く描くことよりも、基礎となる要素を適切な順番で身につけることが重要です。
本章では、後の成長を支える土台として、初心者の段階で重点的に行うべき練習を整理します。
線と形の安定が最優先になる理由

邂逅Ⅱ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
初心者の段階で最も重要なのは、線と形を安定して扱えることです。
描写が上手く見えない原因の多くは、濃淡や質感以前に、形の歪みや線の迷いにあります。まずは、制作対象を単純な形(丸や3角や4角など)の集合体として捉え、適切に配置する力を養うことが必要となります。
この段階で、線の方向や長さを意識する習慣を身につけることで、後の構図や立体表現が格段に理解しやすくなるのです。
そのためにも、イーゼルや机に向かう際には、イスに足を組まずに深く座ることで、安定した描線が可能になるばかりではなく、長時間制作しても「疲れにくい」状態を保てます。
また、イーゼルに乗せた制作画面に向き合うとすれば、制作画面のすぐ横にモチーフが見えていて、いちいち頭を動かさないでも、視線の移動だけで制作画面とモチーフを行き来できる状態にすることです。^^
静物の練習が基礎として欠かせない理由

月夜の帰り道 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の人にとって、静物の練習は、最も効率よく観察力を高められる方法です。動かず、形が明確なモチーフは、線・形・トーンを冷静に確認するのに適しています。
複雑なモチーフに手を出す前に、単純な静物で全体のバランスを整える経験を積むことで、描写の安定感が生まれるのです。
ここで得た感覚は、人物や風景にもそのまま応用できます。
あなたが絵画教室に通っている、あるいは、これから行こうとしているならば、必ず白い石膏のモチーフ(球体・3角錐・直方体など)がありますので、光と影の関係をよく観察して制作に向かいましょう。
自宅で制作する人は、白い卵・白い空き箱・白いジュースミキサー・白い布・外側の皮をむいたタマネギ・白い家電製品、白いマグカップ・白いカーテンなど探せばいろいろありますので試してみましょう。^^
毎日の短時間練習が果たす役割

予期せぬ訪問者 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の段階では、長時間の制作よりも、短時間でも毎日継続する練習が効果的です。毎日の練習は、技術を伸ばすというより、感覚を鈍らせないための役割を持つのです。
同じ課題を繰り返すことで、自身の癖や弱点が見えやすくなり、修整点も明確になります。毎日取り組むことで、特別なことに取り組むような、緊張感も減らすことができます。^^
量をこなすのではなく、目的を限定した練習を積み重ねることが重要です。
鉛筆画やデッサン初心者の段階で避けたい練習の落とし穴

水滴Ⅶ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の人が陥りやすいのは、いきなり完成度を求めようとすることです。細部の描き込みや複雑な構図に意識が向くと、基礎の確認がおろそかになります。
具体的には、花を描くとすれば、複雑な花びらの構成を追いかけてしまうようなことです。この場合には、まずは、花全体の輪郭を適切に捉えることが先決なのです。
また、「複雑な咲き姿の生花の花」などに取り組んでしまうと失敗します。花を描きたいのならば、最初の内は「単純な咲き姿の白い造花」から取り組むべきです。
描き始めは、慣れないことをすることもあり戸惑いの連続で、時間ばかりかかってしまいます。生花であればしおれてしまいますし、濃い色の花では「光と影」を適切に捉えられません。
また、ジャンル(静物・風景・心象風景・人物・動物)を頻繁に変えることは、成長の実感が得られなくなることもあるのです。
この段階では、練習内容を絞り、基礎が安定しているかを常に確認する姿勢が求められます。
鉛筆画やデッサン初心者の段階で固めるべきは、線と形の安定、静物による観察力、そして継続的な短時間の練習です。完成度を急がず、基礎を整理することが、後の中級者の段階への最短ルートになるのです。
毎日の練習に迷う場合は、次のメニューから始めてください。
下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツ
次章では、鉛筆画やデッサン初心者後期から中級者手前で多くの人が直面する壁と、その正体について解説します。
初心者後期から中級者手前で起こる壁と停滞の正体

第2回個展出品作品 モアイのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治
基礎的な練習を積み重ね、以前よりも描けるようになったはずなのに、「なぜか評価が上がらない」「成長が止まった気がする」と感じ始める段階があります。
これは多くの人が経験する、初心者後期から中級者手前にかけての典型的な停滞期です。
本章では、その壁がなぜ生まれるのかを整理し、次の段階へ進むために必要な視点を明らかにします。
描写量が増えても上達していないように感じる理由

誕生2020-Ⅰ F3 鉛筆画 中山眞治
この段階では、描ける時間も増え、描写量も以前より確実に多くなっています。
しかし、その一方で「上手くなっている実感」が薄れていきます。その原因は、描写量の増加と評価軸の変化が、噛み合っていないことにあるのです。
鉛筆画やデッサン初心者の頃は、形が取れるだけで自身の成長を感じられましたが、後期になると自分自身の中で、画面全体のまとまりや、完成度を無意識に求めるようになります。
自分自身の成長が確実に高まり始めたにもかかわらず、それに気づかないまま、同じ練習を続けると、停滞感だけが強まってしまうのです。
観察力は伸びているのに成果が出ない状態

春の気配 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
停滞期に入る頃、多くの人は以前よりも、よくモチーフをよく観察できている状態にあります。形の歪みやトーンの不足にもm自身で気づけるようになれますが、その分、完成後の不満も増えます。
これは失敗ではなく、観察力が一段階向上した証拠です。ただし、見えている情報を整理しきれず、すべてを描こうとしてしまうと、画面はかえって散漫になってしまうのです。
この段階では、見る力と選ぶ力の差が大きな課題になります。
鉛筆画やデッサン中級者へ進めない人に共通する思考の癖

入り江の夜明け 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン中級者の手前で、止まってしまう人に共通するのは、「全部正確に描こう」とする意識です。形、濃淡、質感を同時に完璧に仕上げようとすると、結果的にどれも中途半端になります。
中級者へ進むためには、完成度を一気に高めるのではなく、画面の中で何を優先するかを決める必要があるのです。
この判断を避け続ける限り、練習量を増やしても状況は変わりません。
つまり、あなたが制作する画面の中で、何を主役・準主役にして、どれを脇役にするなどを決めて、画面構成にメリハリを意識して、制作していくことが重要であるということなのです。
もっと言えば、見えている通りに全て描き切るのが良いわけではないということです。すべてを再現するのは写真や画像の仕事です。
我々は、主役や準主役を引き立てるために、構図上の分割線交点に据えたり、対角線を使って画面の奥行を構成したり、光と影及び質感や遠近法を導入したりする必要があるのです。
停滞は次の成長段階への合図

寒椿 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
この停滞期は、成長が止まったサインではなく、練習の質を変えるべき合図です。線や形を正確に追う練習から、構成や主従関係を意識した練習へ移行する時期に差しかかっています。
壁にぶつかったと感じたときこそ、自身の練習内容を見直し、次の段階に進む準備を整えることが重要です。
初心者後期から中級者手前で起こる停滞は、能力不足ではなく「自身の評価軸の変化」によって生まれます。
観察力は確実に伸びており、次に必要なのは「選ぶ力」と「優先順位」です。この壁を適切に理解できれば、練習の方向性は自然と定まるのです。
この段階で読まれている記事は、次の通りです。
毎日10分で変わる!初心者から中級者の鉛筆画・デッサン練習のルーティンとは?
鉛筆画・デッサンで初心者から上級者必見!質感表現:木、水、毛皮のリアリズム

次章では、鉛筆画やデッサン中級者へ進むために必要な、練習内容の変化について具体的に解説します。
鉛筆画やデッサン中級者へ進むために必要な練習内容の変化

国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅰ F80 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の段階の練習を積み重ね、停滞期を適切に理解できた人は、次に練習内容そのものを変える必要があります。
中級者へ進むためには、単に描写力を高めるのではなく、画面全体を設計する意識へ移行しなければなりません。
本章では、鉛筆画やデッサン初心者後期から中級者へ進む際に起こる練習内容の質的な変化を整理します。
観察から判断へ意識を切り替える

シャクヤク 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の段階では、見たものを適切に捉える観察力が中心でした。
しかし、中級者を目指す段階では、観察した情報をすべて描くのではなく、どこまで描くかを判断する力が求められます。
画面の主役と脇役を意識し、描写の密度に差をつけることで、作品としてのまとまりが生まれます。この判断ができるようになると、同じモチーフでも表現の幅が大きく広がるのです。
構図と主従関係を意識した練習

家族の肖像 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン中級者の段階の練習では、構図が重要な役割を持ちます。
形やトーンが、ある程度安定してきたからこそ、画面全体の配置や視線の流れに意識を向ける余裕が生まれるのです。
主役や脇役をどこに置くか、余白をどう使うかといった判断は、完成度を左右する要素です。ここで、構図を意識した練習に取り組むことで、描写力が作品力へと変わっていきます。
完成度を意識した練習への移行

灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2022 F10 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン中級者を目指す段階では、途中で終わる練習だけでなく、一定の完成度まで仕上げる経験が必要になるのです。
全体を見渡しながら修整を重ねることで、描き進める力と、見直す力が同時に鍛えられます。
完成を意識した練習は時間がかかりますが、判断力を養う上で欠かせない工程です。
ジャンル別練習の役割の変化
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第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者の頃は、ジャンルを問わず基礎を学ぶことが目的でした。
しかし、中級者を目指す段階では、静物・風景・心象風景・人物・動物といったジャンルごとの役割を理解する必要があります。
それぞれが異なる制作上の判断を要求されるため、練習の目的も変わってきます。ジャンル別に課題を設定することで、弱点を明確にし、効率よく実力を伸ばすことが可能になるのです。
鉛筆画やデッサン中級者へ進むためには、観察中心の練習から判断を伴う練習へと意識を切り替えることが重要です。構図や主従関係、完成度を意識することで、描写力は作品力へと変わります。
ここで参照できる情報は、次の通りです。
鉛筆画・デッサン初心者から中級者必見:自画像の魅力と実践ガイド!
鉛筆画・デッサン初心者から中級者必見:風景画で自然を描く実践ガイド
次章では、このロードマップをどのように活用すれば上達につながるのか、具体的な使い方を整理しましょう。
このロードマップをどう使えば上達につながるのか

第2回個展出品作品 ランプの点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
ロードマップは、読むだけでは意味を持ちません。重要なのは、自身の現在地点を把握し、練習内容を取捨選択しながら使い続けることです。
多くの人が、「良い情報を知って満足する」段階で止まってしまいますが、上達に直結するのは行動の設計となります。
本章では、鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進むために、このロードマップをどのように実践へ落とし込めばよいのかを具体的に整理しましょう。
まず自身の現在地点を適切に把握する

モアイのある静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
最初に行うべきことは、「自身はどの段階にいるのか」を冷静に確認することです。
描写時間の長さやモチーフの難易度ではなく、線と形の安定度、画面全体のまとまり、優先順位の判断ができているかを基準にします。
自己評価が甘すぎても厳しすぎても、練習内容は噛み合いません。過去の作品と見比べながら、客観的に判断することが重要です。
今やるべき練習だけに集中する

ミヒカリコオロギボラのある静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
ロードマップを活用する際は、「すべてを同時にやろうとしない」ことが重要です。
線、形、質感、構図、遠近法、完成度など、今の段階で最も必要な要素に絞って練習します。
複数の課題を並行すると、どれも中途半端になりがちです。テーマを限定した練習を一定期間続けることで、変化がはっきりと見えるようになるのです。
関連する練習記事を組み合わせる

第3回個展出品作品 心地の良い場所 2023 F4 鉛筆画 中山眞治
このロードマップは、単体で完結するものではなく、各段階に対応した練習記事と組み合わせることで効果を発揮します。
基礎を固めたいときには、短時間練習の記事を、判断力を鍛えたいときは、構図や完成度を扱う記事を参照するなど、目的に応じて使い分けることが大切です。
記事同士を行き来しながら、自分専用の練習ルートを作る意識が重要になります。
定期的に見直して練習内容を更新する

誕生2023 F4 鉛筆画 中山眞治
上達に伴って、必要な練習は必ず変化します。一度決めた練習を続けるのではなく、一定期間ごとにロードマップを見直し、次の段階へ進む準備ができているかを確認します。
停滞を感じたときには、量を増やすのではなく、段階がずれていないかを確認することが重要です。この見直しが、成長を継続させる鍵になるのです。
このロードマップは、現在地点の確認、練習内容の取捨選択、次の段階への移行を支えるための指針です。読むたびに理解が深まる構造になっているため、節目ごとに立ち返ることで迷いを防げます。
次につながる情報は、次の記事を参照してください。
下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツ

練習を感覚任せにせず、段階を意識して積み重ねることで、鉛筆画やデッサン初心者から中級者への移行は確実なものになるでしょう。
練習課題(3つ)

国画会展 入選作品 誕生2006-Ⅰ F100 鉛筆画 中山眞治
本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。
自身の現在地点を見極める基礎確認スケッチ
内容
単純な静物(箱・円柱・球体など)を1モチーフ選び、30分以内で1枚描きます。
形の正確さ、全体のバランス、線の安定を最優先し、描き込みは抑えます。
目的
・自身が初心者前期・後期のどこにいるかを把握する。
・線と形が安定しているかを客観的に確認する。
・無意識に描き込み過ぎていないかをチェックする。
ポイント
完成度ではなく、「歪みの少なさ」「迷い線の有無」に注目します。
修整回数が多い場合には、基礎段階の練習がまだ必要なサインです。

参考画像です
優先順位を決める主従構成スケッチ
内容
静物を2〜3点組み合わせ、主役を1つだけ決めた構成を描きます。
主役以外は描写を抑え、濃淡・線の密度に明確な差をつけます。
目的
・「すべてを描かない」判断力を養う。
・中級者手前で必要になる、主従関係の意識づけ。
・観察から判断への切り替え練習。
ポイント
主役だけを丁寧に描こうとせず、
「どこを省いたか」「なぜ省いたか」を言語化できるかが重要です。

参考画像です
完成度を意識した時間制限付き制作
内容
30〜45分の制限時間を設け、1枚を最後まで仕上げます。
途中で止めず、全体を見直しながら修整を入れ、完成させることを目的とします。
目的
・中級者に必要な、「仕上げる力」を身につける。
・判断と修整を繰り返す感覚を体験する。
・停滞期を抜けるための実践練習。
ポイント
描き込み量ではなく、
「画面として成立しているか」「途中放棄していないか」を評価基準にします。

参考画像です
まとめ:初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップの考え方

青木繫記念大賞展 奨励賞 郷愁 2001 F100 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画やデッサン初心者から中級者へ進む過程で、多くの人が迷うのは、「どれだけ描ければ中級者なのか」「今の練習が適切な方向に向かっているのか」が見えにくいからです。
この記事で示しましたロードマップは、練習量やジャンルの多さではなく、段階ごとに求められる意識と、判断力の変化を整理することを目的としています。
上達を阻む原因は、努力不足ではなく、練習の順番や目的が曖昧なまま進んでしまう点にあるのです。
鉛筆画やデッサン初心者の段階では、線と形の安定、観察力の基礎を固めることが最優先です。この土台が不充分なまま、中級的な表現に向き合ってしまうと、完成度が安定せず、成長の実感も得られません。
次に訪れる、初心者の後期から中級者手前の停滞期は、能力が足りないのではなく、自分自身の評価軸が変わることで起こります。描写量を増やす練習から、画面全体を整理し、優先順位を決める練習へと移行する必要があります。
鉛筆画やデッサン中級者へ進むために、最も重要なのは、観察から判断への意識転換です。見えたものをすべて描くのではなく、何を描き、何を省くかを選ぶ力が作品の質を左右するのです。
そのためには、構図、主従関係、完成度を意識した練習を段階的に取り入れることが不可欠です。ロードマップは、その判断を支える基準として機能します。
この記事の要点を整理すると、次の通りです。
- 初心者と中級者の差は、技術量ではなく判断力と整理力にある。
- 初心者の段階では、線・形・観察力の基礎を最優先で固める。
- 停滞期は失敗ではなく、練習内容を切り替える合図である。
- 中級者へ進むには、構図や主従を意識した練習が必要になる。
- ロードマップは現在地点を確認し、練習を取捨選択するためのツールである。
このロードマップは一度読んで終わりではなく、練習の節目ごとに立ち返ることで効果を発揮します。自身の段階を見誤らず、今やるべき練習に集中することで、迷いのない上達が可能になります。
鉛筆画やデッサン初心者から中級者への移行は、特別な才能によるものではなく、段階を理解し、適切な順序で積み重ねた結果として自然に訪れるものです。
ではまた!あなたの未来を応援しています。^^
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次章では、鉛筆画やデッサン初心者の段階で固めるべき、具体的な練習内容を詳しく見ていきます。