自画像で顔が似ないのはなぜ?鉛筆画・デッサンが崩れる原因5選

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、自画像を描くたびに、「どうしても顔が似ない」と感じることはありませんか?

 線や陰影を工夫しても、違和感が残る場合には、その原因は描写技術ではなく、判断や見え方のズレにあることがほとんどです。

 自画像は、自分自身を描くという特殊性から、比率の思い込みや視点の誤認、線や陰影の使い方の判断ミスが重なりやすいモチーフでもあります。

 この記事では、鉛筆画・デッサンにおいて自画像が似なくなる代表的な原因を5つに整理し、なぜ崩れるのかを構造的に解説します。自画像を通して、観察力と判断力を見直したい方に向けた内容です。

 それでは、早速見ていきましょう!

Table of Contents

自画像で顔が似なくなる最大の原因は「比率の思い込み」

 自画像で、顔が似なくなる最大の原因は、描写技術そのものよりも、顔の比率を正しく見ているつもりでも、実は思い込んでしまっている点にあります。

 鏡に映る自身の顔は毎日見ているため、客観的に観察しているつもりでも、脳内イメージが強く介入しやすく、実際の形や距離関係が歪んで認識されがちです。

 尚、鏡を見ながら描く方法にやりにくさを感じるようでしたら、あなた自身の写真を基にして描くことから初めても良いのです。そのようにして何枚か描いて、その後は鏡を使って描いて行きましょう。^^

 本章では、比率の思い込みが、自画像を崩す最初の引き金になる点について解説します。

脳内の「自身の顔のイメージ」が観察を邪魔する

 人は、自身の顔を他人よりもよく知っていると思いがちですが、実際には記憶上のイメージを見ている時間の方が圧倒的に長くなっています。

 そのため、鏡を見ながら描いていても、目の大きさや輪郭の形、鼻の高さなどを「こうあるはずだ」と無意識に補正してしまうのです。

 この補正は安心感を与える一方で、実際の比率との差を見えなくして、結果として似ていない自画像を生み出してしまいます。

目・鼻・口を個別に描くと比率が崩れやすい

 顔が似ない自画像では、目及び鼻や口を、それぞれ単独のパーツとして捉えすぎているケースが多く見られます。

 本来、顔の比率は各パーツ単体ではなく、相互の距離関係によって成り立っているのです。

 しかし、描写に入る段階で部分的な描き込みを優先すると、全体のバランス確認が後回しになり、気づいたときには修整が難しい状態になってしまいます。

正面から見ているつもりでも軸がずれている

 自画像では、正面向きで描いているつもりでも、実際には顔の中心軸が傾いていることが少なくありません。

 左右の目の高さや、鼻筋と顎の位置関係が微妙にずれることで、本人から見ると違和感があるのに、どこが原因かわからない状態に陥ります。

 これは比率を「左右対称であるはず」という思い込みで処理してしまい、実測的に確認していないことが大きな要因です。

全体を見るタイミングが遅すぎる

 似ない自画像ほど、全体を確認するタイミングが遅くなりがちです。描き進めること自体に集中してしまい、途中で距離を取って確認する工程が省略されると、比率のズレが蓄積されてしまうのです。

 最終段階で違和感に気づいても、すでに修整が難しくなってしまい、結果として「似ないまま完成してしまった」という印象だけが残ります。

 自画像で顔が似なくなる原因の多くは、技術不足ではなく比率に対する思い込みから生じています。自身の顔を知っているという感覚が、かえって観察を曖昧にし、全体構造の確認を疎かにしてしまうのです。

なかやま

比率は感覚ではなく、距離と位置関係として冷静に捉える必要があります。この意識を持つだけで、自画像の崩れ方は大きく変わってきます。

視点と角度のズレが自画像を別人にしてしまう

 自画像が似なくなる原因として、比率の次に多いのが視点と角度のズレです。

 鏡を見ながら描いているにもかかわらず、実際には見ている位置と描いている想定視点が一致していないことが多く、その微妙な差が顔全体の印象を大きく変えてしまいます。

 本章では、自画像特有の視点の問題を整理していきましょう。

鏡を見る位置と描く姿勢が一致していない

 自画像では、鏡を見る位置と描く姿勢が固定されていないことがよくあるのです。

 少し首を傾けた状態で鏡を見たり、頭全体を動かして描いていたりすると、実際の顔は常にわずかに角度が変化しているにもかかわらず、その状態を適切に捉えられないまま進んでしまうことがあります。

 しかし、描く側は「正面を見ているつもり」で処理してしまうため、左右差や奥行きの違和感が生まれます。このズレは自覚しにくく、似ない原因として蓄積されやすい要素です。

 このような場合には、あなたの本制作画面であるスケッチブックや紙のすぐ脇に、鏡があって、あなたの顔が見えている状態にすると描きやすいです。^^

 また、制作画面と鏡に映るあなたの顔は、「視線の移動だけで行き来できるようにする」ことで、集中を高めた制作も可能になります。次の作品も参照してください。

       第2回個展出品作品 自画像 1998 F10 鉛筆画 中山眞治 

真正面だと思い込むことで立体感が失われる

 自画像では、無意識に真正面として処理してしまう傾向があります。

 しかし実際の顔は、完全な正面から見えることはほとんどなく、わずかな回転や傾きが常に存在しています。この微差を無視すると、顔が平面的になり、本人らしさが失われてしまうのです。

 結果として、パーツは合っているのに似ていない、という状態に陥ります。

片目ずつ見て描いてしまう視線の分断

 鏡を見ながら描く際に、無意識に片目ずつを交互に確認してしまうことがあります。

 この見方は細部の確認には便利ですが、顔全体の向きや傾きを把握しにくくなるのです。

 視線が分断されることで、左右の情報が統合されず、中心軸のズレや奥行きの誤認につながります。自画像では特に、視線の使い方そのものが完成度に影響します。

描いているスケッチブックや紙面と顔の距離関係が一定でない

 描写に集中するほど、顔とスケッチブックや紙面の距離は変化しやすくなります。前かがみになったり、逆に体を引いたりすると、視点の高さや角度が微妙に変わり、その都度見え方が変化してしまうのです。

 しかし、描く側は同じ顔を見続けているつもりで線を重ねてしまうため、結果として構造が不安定になります。距離と角度を一定に保つ意識が欠けると、似ない自画像が完成しやすくなります。

 自画像が似なくなる背景には、視点と角度のズレという、見落とされがちな問題があります。鏡を見ているから正確だと思い込まず、どの位置から、どの角度で見ているのかを常に意識することが重要です。

視点が安定すると、顔の立体構造が整理され、比率の狂いにも早く気づけるようになれます。自画像では、描写以前に「見る条件」を整えることが欠かせません。

線の判断ミスが顔の印象を大きく狂わせる

 自画像が似なくなる大きな原因として、比率や視点と並んで見落とされやすいのが「線の判断」です。

 線は、形を説明する最小単位ですが、自画像では無意識の癖や心理状態が強く反映されやすく、線そのものが顔の印象を歪めてしまうことがあります。

 本章では、線の使い方が、どのように自画像を別人にしてしまうのかを整理していきましょう。

輪郭線を強調しすぎることで立体が壊れる

 自画像で、顔が似なくなる例の多くは、輪郭線を過度に強調してしまうことから始まります。顔の外形をしっかり捉えたいという意識が強いほど、輪郭を一本の明確な線として固定してしまいがちです。

 しかし、実際の顔の輪郭は、光や角度によって曖昧に変化しており、常に同じ強さで存在しているわけではありません。

 輪郭線を強く描きすぎると、顔が切り抜かれたように見え、内部の立体構造との整合性が失われます。その結果、各パーツが合っていても、全体として不自然な印象になってしまいます。

迷い線の蓄積が形の判断を曖昧にする

 自画像では、「自身の顔だから失敗したくない」という心理が働きやすく、線を一気に決めきれずに何度も重ねてしまう傾向があるのです。

 この迷い線が蓄積されると、どの線が本来の形なのか判断できなくなり、結果として形が濁っていきます。線が増えることで情報量は多くなりますが、形の芯が見えなくなり、顔の印象がぼやけてしまいます。

 似ていない自画像ほど、線の数が多いにもかかわらず、形の説得力が弱いという矛盾した状態に陥りやすいのです。

 このような場合には、ほぼこの形だという状態になったところで、練り消しゴムを使って不要な線は整理しましょう。^^

パーツごとに線の強さが揃っていない

 線の強弱は、顔の構造を整理するための重要な要素ですが、自画像ではこの判断が感情によって乱れやすくなります。

 目や口など、気になる部分だけ線が強くなり、逆に頬や顎などは弱く処理されると、顔全体の重心が不安定になるのです。

 本来、線の強さは重要度ではなく、面の向きや奥行きによって決めるべきものです。しかし自画像では主観が入り込みやすく、結果として線の強弱が構造と一致しなくなり、似ていない印象を強めてしまいます。

線で説明しすぎることで観察が止まる

 線を使って、形を説明しようとしすぎると、観察そのものが止まってしまうことがあります。

 これは、自画像に限らず起こり得ますが、自身の顔では特に顕著です。線を足すことで安心感を得てしまい、本来確認すべき距離や角度、面の向きといった要素がおろそかになってしまうのです。

 その結果、描いている最中は進んでいる感覚があるのに、完成すると似ていないという違和感だけが残ります。線は観察の結果であり、観察の代わりになってはいけません。

 自画像が似なくなる背景には、線の判断ミスが深く関わっています。輪郭の強調、迷い線の蓄積、線の強弱の不統一、そして線で説明しすぎる癖は、いずれも顔の立体構造を歪める原因になります。

 線の迷いや判断ミスを減らすための具体的な練習方法については、こちらの記事で段階的に解説しています。

 下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツ

なかやま

線は描くための手段であり、形を決める目的そのものではありません。線の役割を冷静に見直すことで、自画像の印象は大きく改善されていくでしょう。

陰影の誤解が顔の立体感を根本から壊してしまう

 自画像が似なくなる原因の中でも、陰影の扱いは非常に影響が大きい要素です。

 多くの場合、陰影は立体感を高めるための手段として使われますが、自画像では、この認識が逆に働きやすく、顔の構造を歪めてしまう原因になります。

 本章では、影を入れているのに似なくなる場合、その多くは陰影を「形の結果」として捉えられていないことに起因している点について解説しましょう。

影を「黒さ」として処理すると構造が見えなくなる

 似ない自画像では、影を形ではなく、黒さとして扱ってしまう傾向が強く見られます。

 暗く塗ることで立体感が出ると考え、頬や目の周囲、鼻の下などを感覚的に暗くしてしまうのです。しかし実際の影は、光源と面の向きによって決まる形を持っているのです。

 その形を無視して黒さだけを足すと、顔の凹凸と無関係な濃淡が生まれ、構造が曖昧になります。その結果、本人から見て違和感のある顔になりやすくなります。

明暗差を強調しすぎることで別人の印象になる

 立体感を出そうとするあまり、明暗差を必要以上に強調してしまうことも、自画像が似なくなる典型例です。

 確かに、明暗差は立体を際立たせますが、顔は極端なコントラスト(明暗差)で構成されているわけではありません。実際には中間調が大半を占めています。

 ここを無視して、暗部と明部を強く分けてしまうと、顔の印象が誇張され、本人らしさが失われてしまいます。結果として、表情が硬く、別人のような顔になってしまうのです。

描き進めるうちに光源の整合性が崩れていく

 描き始めは、光源を意識していても、制作が進むにつれてその意識が薄れてしまうことは珍しくありません。そうすると、影の方向や濃さが場所ごとに矛盾し始めてしまうのです。

 鼻の影と頬の影、目のくぼみの影がそれぞれ別の光源で描かれているような状態になると、顔全体の立体関係は破綻します。

 自画像では、「自身の顔はこう見えるはず」という思い込みが入り込みやすく、光の一貫性が後回しにされがちです。

影で似せようとして形の確認を怠ってしまう

 顔が似ていないと感じたときに、影を足して修整しようとする行為は、非常に多く見られます。

 しかし、これは根本的な解決にならないことがほとんどです。影は形を補強するものであり、形そのものを修整する役割はありません。

 形が狂ったまま影を重ねると、誤りが固定化され、修整の余地がなくなります。結果として、完成度は上がったように見えても、本人から見ると違和感だけが残ります。

 自画像における陰影の失敗は、立体感を出そうとする意識が先行しすぎることで起こります。影は黒さではなく、光と面の関係から生まれる形です。

 中間調を丁寧に扱い、光源の整合性を最後まで保つことで、顔の構造は自然に伝わります。

陰影は修整手段ではなく、構造理解の結果として使うべき要素だという認識が、自画像の完成度を大きく左右するのです。

客観視と確認不足が「似ない自画像」を固定化させる

 自画像が似なくなる最後の大きな原因は、描いている途中での客観視と確認が不足している点にあります。

 比率や線、陰影の問題があっても、途中で適切に確認できていれば大きな崩れにはなりません。

 本章では、自画像を自分自身で描いているという意識が強く働き、確認作業そのものが曖昧になりやすい点について解説します。

描いている最中に「慣れ」が生まれてしまう

 自身の顔を長時間見続けて描いていると、違和感に対する感覚が徐々に鈍っていきます。

 最初は感じていた微妙なズレや不自然さも、描き進めるうちに見慣れてしまい、「こんなものだろう」と受け入れてしまうのです。

 この慣れが生じると、本来修整すべきポイントを見逃し、似ていない状態のまま作業を続けてしまう原因になります。

部分ばかり見て全体確認を怠ってしまう

 自画像では、目及び口や輪郭など、気になる部分に意識が集中しやすく、全体を見る時間が極端に減りがちです。

 その結果、各パーツはそれなりに描けているのに、全体としての印象が噛み合わない状態になります。

 本来、顔の印象は部分の集合ではなく、全体構造によって決まります。部分確認ばかりを繰り返すことで、全体の崩れに気づけなくなるのです。

完成に近づくほど修整を避けてしまう心理

 描き込みが進むほど、「ここまで描いたのだから直したくない」という心理が強くなります。

 この心理は、自画像では特に顕著で、修整によって自身の顔を否定してしまうような感覚が生まれることもあるのです。

 その結果、明らかなズレがあっても見ないふりをしてしまい、似ていない状態でそのまま完成させてしまいます。

距離と時間を置いた確認をしていない

 自画像が、似ないまま完成してしまう多くのケースでは、距離や時間を置いた確認が行われていません。近距離で描き続けていると、細部ばかりが目に入り、全体の印象を冷静に判断できなくなるのです。

 また、少し時間を空けて見直すことで初めて気づくズレも多く存在します。この確認工程を省略すると、崩れは修整されないまま固定化されます。自画像が似なくなる背景には、技術以前に確認と客観視の不足があります。

 慣れによる感覚の鈍化、部分への集中、修整を避ける心理、そして距離と時間を置いた確認の欠如が重なることで、似ていない状態が完成形として定着してしまうのです。

 筆者の場合には、自画像に限らずどのジャンルの作品においても、とくに描き始め等では、大きく輪郭を取った後で一旦休憩を入れて、2~3m離れたところからも「点検」することを確実に行うことにしています。

 筆者は、30年以上描いていますが、それでもこの「点検」で、必ず2~3ヶ所の修整点を発見しています。^^

 また、その後も要所要所で、一旦休憩を入れて、2~3m離れたところからも「点検」することで、大きな修整をしなくて済むのと同時に、完成度を高めることに役立っています。^^

 客観視や確認力を鍛えるには、短時間でも毎日繰り返せる練習が効果的です。具体的な練習例はこちらで紹介しています。

 描いているのに上達しない、何が悪いのか分からないと感じたときは、練習全体の迷走原因を整理したこちらの記事も参考になります。

 鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイド

なかやま

自画像では描くことと同じくらい、立ち止まって確認する姿勢が重要です。客観視を意識的に取り入れることで、自画像の完成度は確実に変わってきます。

練習課題(3つ)

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

比率と思い込みを排除する自画像ラフ練習

内容


 鏡を見ながら、自身の顔を「似せること」を一切意識せず、
・顔全体の縦横比。
・目・鼻・口の位置関係。
・左右のズレ。
だけに集中したラフを 3枚 描きます。

条件

・細部描写は禁止。

・線は最小限。

・10~15分以内で1枚。

目的


 自身の顔に対する「こういう顔のはず」という思い込みを排除し、実際の比率を冷静に捉える訓練を行います。

              参考画像です

視点と角度を固定した自画像構造スケッチ

内容


 鏡・顔・描画位置を固定し、真正面ではなく「わずかに角度がついた状態」を意識して構造重視の自画像スケッチを 3枚 描きます。

条件


・輪郭よりも中心軸と奥行きを優先。
・左右の目の高さの差、鼻筋の傾きに注目。
・描写時間は各15分前後。

目的


 視点と角度のズレが、どのように顔の印象を変えるかを体感的に理解することを狙います。

              参考画像です

線と陰影の役割を切り分ける自画像の練習

内容


 同じ角度の自画像をモチーフに、
1枚目は「線のみ」、
2枚目は「最小限の陰影」、
3枚目は「中間調中心」で描き分けます。

条件


・輪郭線を強調しない。
・影で形を修整しない。
・各工程で全体確認を必ず入れる。

目的


 線と陰影の役割を分離して理解し、「なぜ似なくなるのか」を構造的に把握する力を養います。

              参考画像です

まとめ:自画像で顔が似なくなる原因は「描き方」ではなく「判断の積み重ね」にある

 自画像で顔が似ないと悩むとき、多くの人は線の描き方や陰影の付け方といった、技術面に原因を求めがちです。

 しかし、この記事で見てきましたように、問題の本質は個々の技法ではなく、それ以前の判断や確認の積み重ねにあります。

 自画像は、自分自身を描くという特殊性から、思い込みや主観が入り込みやすく、その影響が少しずつ形を歪めていくのです。

  • 比率の思い込みによって、実際の顔の距離関係を適切に見られなくなる。
  • 視点や角度のズレに気づかないまま、正面として処理してしまう。
  • 線の判断が感情に引きずられ、構造と一致しなくなる。
  • 陰影を形の結果ではなく、黒さや演出として使ってしまう。
  • 客観視や確認を省略し、違和感を抱えたまま完成させてしまう。

 これらは単独で起こるのではなく、連鎖的に重なっていきます。比率のズレを線でごまかし、線の違和感を陰影で覆い、最後に確認不足によって修整の機会を失う。

 こうした流れが、自画像を「なぜか似ない状態」のまま固定化させてしまうのです。重要なのは、自画像を特別なものとして扱いすぎないことです。

 自身の顔であっても、一つのモチーフとして距離を取り、構造・視点・光・確認という基本的な判断を淡々と積み重ねる姿勢が求められます。似せようとする意識を強めるほど、かえって観察は歪みやすくなります。

 自画像が似ないと感じたときは、描き込みを増やす前に立ち止まり、どの段階で判断が曖昧になっているのかを見直すことが重要です。

 原因が言語化できれば、修整は必ず可能になります。この記事で整理した視点を意識することで、自画像は「似せようとして失敗する対象」から、「判断力を鍛える最良の練習素材」へと変わっていくでしょう。

 自画像で見えてきた判断のズレを、今後どのように修整していくべきかは、練習全体の流れを整理したこちらの記事で詳しく解説しています。

 初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップ

 ではまた!あなたの未来を応援しています。