鉛筆画で初心者が知っておきたいスケッチブックや紙の選び方とおすすめ!

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

         筆者近影 作品「遠い約束Ⅱ」と共に

 さて、鉛筆画を始める際には、スケッチブックや紙選びが成功の鍵になります。適切なスケッチブックや紙を選ぶことで、描き心地や仕上がりが大きく変化するからです。

 この記事では、初心者の人でも迷わずに選べる、鉛筆画に適したスケッチブックや紙の種類を紹介します。スケッチブックや紙の特徴やおすすめなアイテム、選ぶ際のポイントを押さえ、あなたの創作活動をより楽しく、充実したものにしましょう。

 初心者の人でも取り入れやすい選び方と、使い方のコツも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 それでは、早速見ていきましょう!

初心者におすすめな鉛筆画用スケッチブックの選び方

 鉛筆画を始める際に重要なのがスケッチブックの選び方です。紙の質感やサイズ、用途に合わせて適切なものを選ぶことで、描き心地や表現の幅が大きく変わります。

 本章では、初心者の人が最適なスケッチブックを選ぶためのポイントを紹介します。

スケッチブックの紙肌の質感と厚みの選び方

 鉛筆画では、スケッチブックの紙肌の質感が、作品の仕上がりに大きく影響します。初心者の人には、滑らかすぎず適度にざらつきのある紙が描きやすくおすすめです。これは、鉛筆の濃淡や線のコントロールがしやすくなるためです。

 また、厚みのあるスケッチブックの紙は、消しゴムを使った際に紙が破れにくく、修整がしやすい利点があります。

スケッチブックの厚みが薄い場合には、「プラスチック消しゴム」などで強く消す場合において、紙を破ってしまったり、しわが寄ってしまったりするので、中厚程度以上のスケッチブックを選びましょう。

サイズ選びのポイント

 初心者の人の場合、F4サイズやF6サイズのスケッチブックがおすすめです。これらのサイズは扱いやすく、持ち運びにも便利です。

 大きな作品を描きたい場合はF10サイズ以上を選ぶのも良いですが、初めはコンパクトなサイズから始めて、描くことに慣れるのがおすすめです。

なかやま

筆者の場合には、最初はF6で始めてすぐにF10へ移行しました。その理由は、やがて公募展にも出品したいと考えていたからです。日本全国の市の公募展であれば、F6くらいから出品できるところもあるようです。

スパイラル綴じか糊綴じか?使いやすさで選ぶ

 スケッチブックの綴じ方も重要なポイントです。スパイラル綴じはページを簡単に折り返せるため、描きやすさや省スペースでの作業に優れています。これは、よく見かける螺旋状の針金でとじられたスケッチブックのことです。

 一方、ブロック綴じ(糊綴じ)のスケッチブックは完成した絵を切り離しやすいので、額装や保存を目的とする場合に適しています。用途に合わせて選ぶと良いでしょう。

 一般的に多く普及しているのは、スパイラル綴じのスケッチブックです。特に、この2つの綴じ方で大きな問題はありませんので、画面の大きさと紙肌の粗さ、中くらいの厚みのある紙や、価格などで選びましょう。

 最初に描き始める際には、中目程度の粗さで、できるだけ紙の白いものを選びましょう。その白さが、作品の中の「ハイライト」になるからです。

 初めてのスケッチブック選びで迷うようでしたらば、中目程度の紙肌の粗さの中厚紙、F4~F6サイズ、スパイラル綴じの製品を試してみてください。適切な道具選びは、創作の楽しさと満足感を高める鍵です。

なかやま

描くことにある程度慣れてこられましたら、少しだけ色が更に白く紙も丈夫で中目程度のスケッチブック等も探してみましょう。筆者は、WATSON(ワトソン)を使っていますが、少々割高です。

鉛筆画に最適な紙の種類とその特徴を徹底解説

 鉛筆画において、紙選びは作品のクオリティーに直結します。モノトーンの鉛筆画をより魅力的に仕上げるためには、紙の種類や特性を理解し、自分のスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

 本章では、鉛筆画に適したスケッチブック以外の描画専用紙の種類と、その特徴について解説します。

表面が滑らかな紙の特徴と使い方

 表面が滑らかな紙(ケント紙など)は、繊細な線や細かいディテール(詳細)を表現するのに適しています。このタイプの紙は、鉛筆の芯が引っかかりにくく、均一な濃淡やシャープなラインを描くことが可能です。

 特にポートレートや幾何学的なモチーフを描く場合にオススメです。ただし、滑らかな表面は消しゴムを使用した際に消した跡が目立つことがあるため、修整の際は慎重に作業しましょう。

ざらつきのある紙の魅力と特徴

 ざらつきのある紙は、鉛筆の濃淡や質感を豊かに表現するのに最適です。このタイプの紙は、鉛筆の粉が紙にしっかりと付着するため、柔らかなグラデーションや影を描く際に向いています。次の筆者の作品を参照してください。

       坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 風景画や動物の毛並みの表現など、自然な質感を求める場合におすすめです。また、ざらつきのある紙は「練り消しゴム」での修整がしやすいという利点もあります。

中厚紙と厚紙の選び方

 紙の厚さも鉛筆画において重要な要素です。中厚紙は、手軽に扱える厚みで、デッサン及びスケッチや軽い描き込みに適しています。

 鉛筆画の魅力を最大限に引き出すためには、紙の質感、厚み、特性を考慮して選ぶことが重要です。

 一方、厚紙はしっかりとした構造が特徴で、濃いタッチや重ね塗りを行う際にも耐久性を発揮します。完成度の高い作品を目指す場合や、長期間保存したい作品を描く際には厚紙を選ぶと良いでしょう。初心者の人には、中目程度の粗さの中厚紙で充分足ります。

滑らかな紙肌の紙で精密さを、表面が中目程度の粗さの紙で質感の豊かさを表現し、用途や目的に応じて最適な紙を選びましょう。紙選びの工夫が、あなたの作品をさらに引き立てます。

初心者向け!用途別に選ぶべき紙のおすすめランキング

のある風景Ⅱ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画を始める初心者の人にとって、用途に合わせた紙選びは重要です。紙の種類や特徴を理解することで、描きやすさが向上し、作品の仕上がりも格段に向上します。

 本章では、モノトーンの鉛筆画に最適な紙を用途別にランキング形式でご紹介します。

ラフなデッサンやスケッチにおすすめの紙トップ3

 ラフなスケッチを楽しむためには、手軽に使える紙を選ぶのがポイントです。

  • 1位は「スケッチブック用ラフペーパー」です。この紙は適度なざらつきがあり、鉛筆の濃淡が表現しやすいのが特徴です。
  • 2位は「クロッキー用紙」で、薄手ながら鉛筆の動きをスムーズにサポートします。
  • 3位には「再生紙タイプのスケッチブック」がランクイン。環境にも優しく、練習用として最適です。

ディテールを重視した精密描写におすすめの紙トップ3

 細密な線やディテール(詳細)を描きたい場合には、滑らかな紙が最適です。

  • 1位は「ホワイトポスター紙」。表面が非常に滑らかで、繊細なタッチを表現できます。
  • 2位には「ケント紙」がランクイン。鉛筆の芯が滑りにくく、均一な線が描けます。
  • 3位は「マルチメディア用紙」で、滑らかな表面に加えて消しゴムでの修整にも対応可能です。

鉛筆画を完成作品として保存したい場合の紙トップ3

 完成した鉛筆画を保存する際には、耐久性のある紙が必要です。

  • 1位は「厚手のアートペーパー」。紙の厚みと高品質な素材が、長期間の保存に適しています。
  • 2位は「ウォーターフォード紙」。元々は水彩用ですが、鉛筆画にも適しており、表面の質感が作品を引き立てます。
  • 3位は「アシッドフリー紙」で、保存時の劣化を最小限に抑えたい場合に最適です。
なかやま

鉛筆画を描く目的に応じて、適切な紙を選ぶことは大切です。デッサンやスケッチ用、精密描写用、保存用のそれぞれに適した紙を使い分けることで、初心者の人でも満足度の高い作品を仕上げることができます。

スケッチブックや紙選びで絵が変わる!プロも納得の選び方のポイント

        水滴Ⅴ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画の仕上がりを左右する重要な要素の一つが紙選びです。紙の種類や質感が異なるだけで、描き心地や完成度が大きく変わります。

 本章では、モノトーンの鉛筆画を描く際にプロも納得する紙選びのポイントを解説します。

スケッチブックや紙の白さと発色性をチェックする

 鉛筆画では、紙の白さが重要な役割を果たします。明るい白色の紙は、鉛筆の濃淡がはっきりと表現できるため、特にリアルな描写を目指す際に適しています。

 次の筆者の作品のハイライト部分では、白いスケッチブックの下地をそのまま有効に活用できています。

     第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 一方、少しクリーム色がかった紙は、柔らかい印象を与え、暖かみのある作品を仕上げたい場合に最適です。紙を選ぶ際は、完成したときのイメージに合わせて白さを考慮しましょう。

スケッチブックや紙の耐久性と表面強度を確認する

 鉛筆画では、濃い陰影や線を重ねることが多いため、紙の耐久性が必要です。弱い紙だと消しゴムを使うたびに毛羽立ちが生じたり、破れたりすることがあります。

蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

 中厚紙や厚紙は耐久性が高く、修整にも強いため、初心者からプロまで幅広い層に支持されています。また、滑らかすぎない表面の紙を選ぶと、鉛筆の濃淡がしっかりと表現できます。上の筆者の作品の一番濃いところでも、丹念な描き込みに何の問題も生じません。

スケッチブックや紙のサイズと用途を考える

 紙のサイズも選ぶ際のポイントです。小さなスケッチにはF4やF6サイズ、大きな作品を描く際にはF10やそれ以上のサイズが適しています。また、用途に応じてブロックタイプのスケッチブックやロール紙などの形式を選ぶと良いでしょう。

 例えば、携帯用には軽量でコンパクトな紙を、完成作品用には高品質な中厚紙や厚紙を選ぶことで、作品の目的に合った仕上がりが期待できます。

適切な紙を選ぶことで、鉛筆画の仕上がりや作業効率が大きく向上します。紙の白さ、耐久性、サイズを意識して選ぶことで、自身の描きたいイメージに合った作品を作り上げることができます。

初心者が知っておきたいスケッチブックや紙の使い方のコツ

 鉛筆画初心者の人にとって、スケッチブックや紙の使い方を工夫するだけで、描きやすさや作品の完成度が格段に上がります。

 本章では、モノトーンの鉛筆画を描く際に役立つスケッチブックや紙の使い方のコツを紹介します。

スケッチブックや紙を固定して安定した描き心地を得る

 スケッチブックや紙を安定させることは、スムーズに描くための基本です。スケッチブックは安定していますが、紙の場合にはそのまま描くと紙が安定せずに線が歪むことがあります。

 紙の場合には、画板及びクリップやテープを使って紙を固定することで、安定した描き心地を確保しましょう。

 また、特に大きなスケッチブックや紙を使用する場合は、イーゼルやデスクにしっかりと固定することが重要です。これにより、線の精度が向上し、濃淡の表現もスムーズになります。

    筆者の使っているイーゼルです(F30までこれで描いています)

スケッチブックや紙の方向や角度を工夫してみる

 スケッチブックや紙を置く角度や向きを工夫することで、描きやすさが変わる場合があります。水平に置くよりも、やや手前に傾けることで手首や腕の負担を軽減し、滑らかな線を描きやすくなります。

 また、スケッチブックや紙の向きを変えることで視点を変え、構図を確認することも可能になります。特に長時間の作業では、スケッチブックや紙の配置を適宜調整することで疲労を軽減し、集中力を保つことができます。

なかやま

長時間制作する場合でも疲れにくくなれるコツは、足を組まずにイスに深く腰掛けて制作することです。また、対象のモチーフを、頭を動かさずに、目線の移動だけで描けるように配置することです。

制作の途中でたびたび画面をチェックする

 描き進める中で、スケッチブックや紙の表面に汚れや傷がついていないかを確認することも重要です。

 H系統などの硬い鉛筆で芯が尖っていると、紙を削ってしまうこともあります。これを防ぐために、描き込みの前に鉛筆を軽くなじませたり、定期的に芯を確認することも必要です。

 そして、「プラスチック消しゴム」を使用した後は紙に「消しカス」が残っていないかをチェックし、柔らかいブラシやティッシュペーパーなどで優しく払い落とすことで、作品を清潔に保てます。

 また、「練り消しゴム」は「消しカス」が出ず、練っていろいろな形状にして使うことができますので、細密描写時のハイライトなどでも、その威力を発揮してくれます。

スケッチブックや紙の使い方を工夫することで、初心者の人でも快適に作業を進められます。紙の固定や角度の調整、細かいチェックを習慣化することで、作品の質が向上し、描く楽しさも広がるでしょう。

まとめ

 鉛筆画の成功は、道具選びとその使い方にかかっています。特にスケッチブックや紙の選び方や使い方を工夫することで、描きやすさや仕上がりが格段に向上します。

 以下に、これまでのポイントを総まとめし、初心者の人が押さえるべきコツを解説します。

スケッチブックや紙の選び方のポイント

  • スケッチブックや紙の質感: 滑らかな紙は細部を描きやすく、ざらついた紙肌のスケッチブックは濃淡や質感を表現しやすい。
  • スケッチブックや紙の厚み: 中厚紙や厚紙は耐久性が高く、プラスチック消しゴムの使用にも耐久性があり、修整にも適している。
  • サイズの選択: 初心者はF4やF6サイズのスケッチブックが扱いやすい。

用途別の紙選び

  • ラフスケッチ: 再生紙やクロッキー用紙がおすすめ。
  • 細密描写: ケント紙やホワイトポスター紙が最適。
  • 保存用作品: アシッドフリー紙や厚手のアートペーパーを選ぶ。

紙とスケッチブックの使い方のコツ

  • スケッチブックや紙の固定: スケッチブックはイーゼルにかけて制作すると描きやすい。紙は画板及びクリップやテープでしっかり固定することで、描きやすさが向上する。
  • 角度調整: 紙をやや手前に傾けて配置すると、滑らかな線が描きやすくなる。
  • 描き込み前後の確認:スケッチブックや紙表面の汚れや傷をチェックし、プラスチック消しゴムを使っている場合には、消しカスをブラシやティッシュペーパーで優しく払って除去する。

鉛筆画をより楽しむためには、以下を意識しましょう

  • 自分の描きたい表現に合ったスケッチブックや紙を選ぶ。
  • 用途に応じてスケッチブックや紙を適切に扱う工夫を習慣化する。

 適切なスケッチブックや紙選びと使い方を実践すれば、初心者の人でもプロ顔負けの仕上がりが目指せます。これらのポイントを参考に、あなたの鉛筆画ライフをさらに充実させましょう。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。