風景デッサン初心者が何から始めればいいか分かる練習ステップ完全版

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、鉛筆画や鉛筆デッサンによる、風景のデッサンに挑戦したものの、「最初に何を描けばよいのか分からない」「構図や奥行きで手が止まる」と感じていませんか?

 風景デッサン初心者の人が、つまずく原因の多くは、技術不足ではなく、練習の順番が整理されていないことにあります。

 この記事では、風景デッサン初心者の人が迷わず制作に取り組めるように、観察・構図・奥行き・仕上げまでを段階的な練習ステップとして整理しました。

 難しい理論に振り回されることなく、今のレベルから一歩ずつ前進できる構成になっています。これから風景デッサンを本格的に始めたい人、基礎から見直したい人に向けた完全ガイドです。

 それでは、早速見ていきましょう!

鉛筆画・デッサン全体の練習の流れを先に把握したい人は、
初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップもあわせてご確認してください。

Table of Contents

風景デッサン初心者が最初に理解すべき全体の流れとは

         第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサンを始めたばかりの初心者の人が、最初につまずきやすいのは、「うまく描けない」ことそのものではなく、「何をどの順番で練習すればよいのか分からない」点ではないでしょうか。

 全体の流れを理解しないまま描き始めると、観察・構図・奥行き・仕上げが混在し、判断基準を失ってしまいます。

 本章では、まず風景デッサン全体の流れを把握し、段階ごとの役割を意識することが重要である点について解説しましょう。

描き始める前に行う「観察」の位置づけ

          静かな夜Ⅵ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサンにおける観察は、描写以前の準備段階として欠かせない工程です。

 初心者の人の場合、細部を見ようとするあまり全体像を捉えきれず、結果として構図(※)が不安定になります。

 最初に行うべき観察は、主役や準主役(※)と脇役の関係、奥行きの方向、視線の動きといった大枠の把握です。この段階では、描くことよりも「見る順番」を整理する意識が重要になるのです。

※ 構図については、この記事の最終部分に関連記事のURLを掲載してありますので、関心のある人は参照してください。

※ 作品は、強調するモチーフや部分を中心に描いていきますが、本当に目立たせたい部分1点を主役として扱うことでも充分に制作できますが、構図分割線を上手に使うために複数のモチーフを配置するならば、準主役も効果的に機能します。

構図を決める工程は練習の土台になる

         ある夏の朝 2024 F10 鉛筆画 中山眞治

 観察の次に来るのが構図の整理です。ここでありがちな失敗は、描きながら構図を調整しようとすることにあります。

 構図は、後から修整するものではなく、描写を支える土台として、最初に決めるべき工程です。

 画面内での主役や準主役の位置、地面と空の割合、奥行きの方向性をここで定めることで、後の描写が迷いなく進みます。

奥行きの表現方法は段階的に理解する

         星月夜の誕生 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 初心者の人が、風景デッサンで難しさを感じる要因の一つが、奥行きの表現ではないでしょうか。

 しかし、最初から遠近法を完璧に理解しようとする必要はありません。近景・中景・遠景という3層構造を意識して、それぞれの役割を分けて考えることで、空間は自然と整理されます。

 奥行きは1度で完成させるものではなく、段階的に積み重ねる感覚が大切です。

仕上げは確認作業として捉える

        第3回個展出品作品 静かな夜Ⅲ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 仕上げ工程は、描き込みの時間ではなく、全体を整える確認作業として位置づけます。

 風景デッサン初心者の人ほど、描き足すことで完成度を上げようとしがちですが、風景デッサンでは描かない判断も重要です。

 主役が引き立っているか、視線の動きが途切れないかを確認し、必要以上の情報を増やさない意識が求められます。ここでも、デフォルメの「省略や簡略化」が生きてきます。

 風景デッサン初心者の人が、最初に理解すべきなのは、観察・構図・奥行き・仕上げという全体の流れを明確に分けて考えることです。この順番を意識するだけで、描写中の迷いは大きく減るのです。

なかやま

次のステップでは、それぞれの工程を具体的な練習としてどのように落とし込むかを整理していきます。

モチーフ選びで迷わないための風景デッサンの練習の考え方

    第1回個展出品作品 ノートルダム寺院 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサン初心者の人が、最初に迷いやすいポイントの一つが、どんな風景をモチーフとして選べばよいのかという点でしょう。

 魅力的な景色を前にすると、情報量の多さに圧倒されて、描き始める前から判断が止まってしまうことがあります。

 本章では、この重要な局面では、上手く描けそうな風景を探すことではなく、練習目的に合ったモチーフを選ぶという考え方を身につけることについて解説しましょう。

初心者は「描きたい風景」より「整理しやすい風景」を選ぶ

          橋へ続く道 2024 F6 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサン初心者の人が、陥りがちなのは、印象的な景色や写真(画像)映えする風景を選んでしまうことです。

 しかし、練習段階では要素が多すぎるモチーフは、判断を複雑にして、構図や奥行きの理解を妨げてしまいます。

 建物が1つ、道が1本、樹木が数本といったように、要素の役割が明確な風景を選ぶことで、観察と構成に集中しやすくなれるのです。

主役や準主役と背景が自然に分かれるモチーフを意識する

       ドルトレヒトの風車(ゴッホによる) 2019 F6 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサンでは、画面内のすべてを均等に描く必要はありません。初心者のうちは、主役や準主役と背景が自然に分かれるモチーフを選ぶことで、画面構成の理解が進みます。

 たとえば、手前に樹木や建物があり、その奥に空間が広がる構造の景色は、奥行きと視線の動きを学ぶのに適しているのです。

 役割の分かれたモチーフは、描写の優先順位を判断する練習にもなります。

身近な風景を練習素材として活用する

         第3回個展出品作品 駅 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 特別な場所を探さなくても、日常の暮らしの中には、充分な練習素材があるものです。

 自宅の窓から見える景色、通い慣れた道、公園の一角など、見慣れた風景は観察の負担が少なく、構成の理解に集中できます。

 そして、同じ場所を繰り返し描くことで、違いに気づく観察力も養われます。風景デッサン初心者の人ほど、身近な風景を継続的に描くことが効果的です。

 また、同じ場所を描く場合には、見る場所を変える・時間帯を変えて日差しの変化による、景色の見え方に変化を与えることも、楽しみを増やすことができる方法です。^^

モチーフ選びを練習のステップの一部として考える

             誕生2021-Ⅰ F4 鉛筆画 中山眞治 

 モチーフ選びは、描く前の準備ではなく、練習ステップの一部として捉えることが重要です。

 今日は構図の練習、今日は奥行き確認といったように目的を決め、それに合った風景を選ぶことで、練習の質は大きく向上します。

 毎回違う景色を求めるよりも、目的に応じて選び直す視点を持つことが、安定した上達につながるのです。

 風景デッサン初心者の人にとって、モチーフ選びは上達を左右する重要な判断です。描きやすさ、整理のしやすさ、目的との一致を基準に考えることで、練習は迷いなく進みます。

次のステップでは、選んだモチーフをどのように画面に配置するか、構図の考え方を具体的に整理しましょう。

構図と配置を整理するための初心者向け練習ステップ

     第1回個展出品作品 サン・ドニ運河 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサン初心者の人が、描写の途中で手が止まってしまう大きな原因の一つが、構図と配置が曖昧なまま描き始めてしまうことです。

 形や質感以前に、画面全体の整理ができていないと、描写を進めるたびに判断しなくてはならないことが増えて、迷いが積み重なっていきます。

 本章では、この段階での練習目的は、見映えの良い構図を作ることではなく、最後まで描き切れる配置を安定して組み立てる力を身につけることなのです。

画面を分解して役割を整理する意識を持つ

            道Ⅱ 2022 F4 鉛筆画 中山眞治

 構図を考える際に、風景デッサン初心者の人は、画面を一枚の平面として捉えがちですが、まずは画面をいくつかの役割に分解して考えることが重要です。

 手前・中間・奥、地面・空、主役・準主役・補助要素といった区分を意識することで、情報の整理がしやすくなります。

 最初から細部を描こうとせず、どの領域にどの役割を持たせるかを決めることが、安定した構図につながるのです。

主役や準主役の位置を先に決めてから配置を広げる

        第3回個展出品作品 誕生2020-Ⅲ F4 鉛筆画 中山眞治

 構図の練習で最も優先すべきなのは、主役や準主役の位置を最初に確定させることです。

 描きながら主役や準主役を探すと、画面全体が揺れ、結果としてまとまりを失います。

 建物、道、樹木など、画面の中心となる要素を一つ決め、その位置を基準に周囲を配置していくことで、構図の軸がぶれにくくなります。この手順を習慣化することが重要です。

奥行きの方向を明確に配置する

            水滴Ⅵ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサンでは、奥行きの方向が曖昧になると遠近感が機能せず、結果的に空間が平面的に見えてしまいます。

 風景デッサン初心者の人の練習では、奥へ伸びる方向を決め、それに沿って要素を配置する意識が効果的です。

 道、川、建物の並びなど、視線を導く軸を設定することで、自然な空間構成が生まれます。奥行きは描写で作るものではなく、配置の段階で準備します。

配置によって描写量の強弱を決める

           水滴Ⅸ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 配置を整理するもう一つの重要な目的は、描写量のコントロールです。すべてを同じ密度で描いてしまうと、メリハリがなくなり、また、画面は重くなって主役が埋もれてしまうのです。

 構図を決める段階で、どこを丁寧に描き、どこを省略するかを意識することで、描写中の迷いが減ります。配置は、描き込みの判断基準として機能します。

 構図と配置の整理は、風景デッサン初心者の人が、最後まで描き切るための土台となる工程です。

 画面の役割分担、主役や準主役の位置、奥行きの方向、描写量の配分を事前に決めることで、制作中の判断は大幅に軽減されます。

なかやま

次のステップでは、この配置をもとに、空間の奥行きをどのように描写として成立させるかを具体的に整理しましょう。

奥行きと空間を感じさせるための基礎練習の進め方

           静かな夜Ⅱ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサン初心者の人の作品が、「平面的に見える」「奥行きが出ない」と感じる原因は、描写技術よりも空間の捉え方にあります。

 奥行きは、後から描き足して生まれるものではなく、構図と配置を前提にして、段階的に組み立てていくものです。

 本章では、難しい理論に頼らず、空間を自然に感じさせるための基礎的な考え方と、練習の進め方を整理していきます。

近景・中景・遠景を役割で分けて考える

       国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 鉛筆画 中山眞治 

 奥行きを理解する第一歩は、風景を近景・中景・遠景の3層に分けて捉えることです。

 風景デッサン初心者の人は、距離の違いを描写量で補おうとしがちですが、まずは役割の違いを意識します。

 近景は、画面の入口として視線を引き込み、中景は主役を支え、遠景は空間の広がりを示す役割を持ちます。この整理だけで、画面の奥行き構造は大きく安定するのです。

重なりを使って距離感を整理する

 奥行きを表現するうえで、最も分かりやすい要素は重なりです。手前のモチーフが奥のモチーフを部分的に隠すことで、距離関係は自然に伝わります。

 風景デッサン初心者の人の練習では、複雑な透視を意識する前に、重なりの位置関係を正確に描くことが重要です。次の作品を参照してください。

    日美展 大賞(文部科学大臣賞/デッサンの部大賞) 誕生2023-Ⅱ F30 鉛筆画 中山眞治

 どちらが手前で、どちらが奥かを明確にする意識が、空間理解の土台になります。

奥へ行くほど情報を整理する意識を持つ

       青木繫記念大賞展 奨励賞 郷愁 F100 鉛筆画 中山眞治

 奥行きのある風景では、すべてを同じ情報量で描く必要はありません。

 遠くにあるものほど形や輪郭を整理し、情報を簡略化することで、距離感は自然に生まれます。初心者の人がやりがちな失敗は、遠景まで細かく描き込んでしまうことです。

 奥へ行くほど要素を減らし、要点だけを残す意識が、空間表現を助けます。

奥行きは一度で完成させようとしない

 奥行き表現は、一工程で完成させるものではありません。配置、重なり、描写量の整理を段階的に積み重ねることで、結果として空間が成立します。

 風景デッサン初心者の人の練習では、最初から完璧な奥行きを目指すのではなく、「奥行きの方向が伝わっているか」を確認しながら進めることが重要です。次の作品を参照してください。

        第3回個展出品作品 旅立ちの詩Ⅱ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治 

 確認と修整を繰り返す姿勢が、安定した表現につながります。

 奥行きと空間の表現は、風景デッサン初心者の人にとって最も難しく感じやすい要素ですが、考え方を整理すれば段階的に身につけることができるのです。

 3層構造、重なり、情報量の整理を意識することで、空間は自然に立ち上がります。

次のステップでは、描写を終える前に確認すべきポイントを整理し、仕上げ段階で迷わないための考え方をまとめていきましょう。

仕上げに入る前に確認したい初心者のチェックポイント

           静かな夜Ⅰ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサン初心者の人が、完成直前で迷ってしまう理由の多くは、「もっと描くべきなのか」「まだ足りないのか」という判断基準が曖昧なまま進んでしまうことにあります。

 仕上げとは、描き足す工程ではなく、全体を確認し整えるための最終段階です。

 本章では、描写を終える前に確認すべきポイントを整理し、無理なく完成へ進むための考え方を身につけます。

主役や準主役が画面の中で機能しているか確認する

          ふと見た光景Ⅱ 2024 F4 鉛筆画 中山眞治

 仕上げ前に、最初に確認すべきなのは、主役や準主役が画面の中で明確に機能しているかどうかという点です。

 風景デッサン初心者の人の場合、描いているうちにすべての要素が同じ存在感になり、主役や準主役が埋もれてしまうことがあります。

 視線が自然に主役や準主役へ向かうか、周囲の要素が主役や準主役を支えているかを確認することで、描き足すべきか省くべきかの判断がしやすくなるのです。

視線の動きが途中で止まってしまわないかを見る

          ふと見た光景Ⅰ 2024 F4 鉛筆画 中山眞治

 風景デッサンでは、画面内を誘導する視線の動きが重要です。

 線や形の向きがバラバラになっていると、視線が途中で止まり、落ち着かない印象になります。

 仕上げ前には、道や建物の向き、地形の流れなどが自然につながっているかを確認します。視線が、画面内を無理なく移動できる状態であれば、構成は安定していることになるのです。

描写量のバランスが崩れていないか確認する

        第3回個展出品作品 坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 完成直前になると、細部を描き足したくなる衝動に駆られがちですが、描写量のバランスが崩れると全体の印象は低下します。

 主役や準主役周辺に、情報が集まりすぎていないか、背景が不必要に目立っていないかを確認しましょう。

 足す判断よりも、減らす判断ができるかどうかが、仕上げの質を左右します。

これ以上描かなくても成立しているかを判断する

            邂逅Ⅰ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治

 仕上げの最終確認では、「これ以上描かなくても風景として成立しているか」を自身に問いかけます。

 完成とは、情報が揃った状態ではなく、伝えたい空間や雰囲気が充分に伝わる状態のことです。

 風景デッサン初心者の人は、完成を描き込み量で判断しがちですが、意図が伝わっていれば描写は最小限でも問題ありません。この判断力を養うことが重要となります。

 仕上げ前のチェックは、初心者の人が、迷わずに完成へ進むための重要な工程です。主役や準主役の機能、視線の動き、描写量のバランス、成立の判断を順に確認することで、無理な描き足しを防ぐことができるのです。

なかやま

これらのポイントを習慣化することで、風景デッサンは最後まで安定して仕上げられるのです。

練習課題(3つ)

      第3回個展出品作品 静かな夜Ⅳ 2024 F10 鉛筆画 中山眞治

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

全体の流れを意識した風景デッサン練習

内容

  • 近所の公園や住宅街など、要素が整理しやすい風景を1つ選ぶ。
  • 観察 → 構図 → 奥行き → 仕上げ、の順番をスケッチブックや紙の余白にメモしてから描き始める。
  • 描写中に「今どの段階か」を意識しながら進める。

目的


 風景デッサン全体の流れを理解し、工程を混在させずに描く感覚を身につける。

ポイント


 完成度は問わず、途中で工程が飛ばないかを振り返ることを重視する。

         参考画像です

構図と配置を整理する下描き練習

内容

  • 同じ風景モチーフで、構図案を3パターン描く。
  • 主役や準主役の位置だけを変え、他の要素は簡略化したままでOK。
  • 細かい描き込みは行わず、配置とバランスのみを確認する。

目的


 主役や準主役の位置と、画面全体の関係を理解し、構図判断の精度を高める。

ポイント


 「描きやすい構図」「最後まで描けそうな構図」を基準に比較する。

          参考画像です

奥行きを段階的に整理する空間練習

内容

  • 近景・中景・遠景を明確に分けた風景を選ぶ。
  • それぞれの領域を、描写量を変えて表現する。
  • 重なりと省略を意識し、遠景は最小限の情報でまとめる。

目的


 奥行きを一度で作ろうとせず、段階的に空間を整理する感覚を養う。

ポイント


 遠景を描き込みすぎていないかを、途中で必ず確認する。

          参考画像です

まとめ:風景デッサン初心者が迷わず進むための練習ステップ整理

        第3回個展出品作品 静かな夜Ⅴ 2024 F10 鉛筆画

 風景デッサン初心者の人が、上達の途中で立ち止まってしまう原因の多くは、描く力そのものではなく、練習の順番や判断基準が整理されていないことにあります。

 この記事では、何から始めればよいのか分からない状態を解消するために、風景デッサンを「流れ」として捉え、段階ごとの役割を明確にしてきました。

  重要なのは、いきなり完成度を求めず、各工程を切り分けて考える姿勢です。

 まず、観察の段階では細部に入らず、主役や準主役と背景、奥行きの方向といった大枠を把握します。次に構図と配置では、主役や準主役の位置を先に決め、画面の役割分担を整理することで、描写中の迷いを減らします。

 その上で奥行きの練習では、近景・中景・遠景を役割として捉え、重なりや情報量の整理によって空間を段階的に構築していきましょう。

 最後の仕上げでは、描き足すのではなく、成立しているかを確認する視点を持つことが重要になるのです。

 これらの流れを意識することで、風景デッサンは「うまく描けるかどうか」ではなく、「どこまでできているか」を判断しながら進められるようになれます。

 風景デッサン初心者の人にとって大切なのは、完成度を競うことではなく、練習の再現性を高めることです。

 この記事のポイント整理

  • 風景デッサンは、観察・構図・奥行き・仕上げの流れで考える。
  • モチーフ選びは、描きやすさと練習目的を優先する。
  • 構図は描写前に決め、主役や準主役の位置を軸に配置を組み立てる。
  • 奥行きは3層構造と、重なりで段階的に整理する。
  • 仕上げは描き足す工程ではなく、確認の工程として捉える。

 これらを繰り返し意識することで、風景デッサン初心者の人でも迷いなく練習を積み重ねることができて、次のレベルへ進むための土台が自然と整っていきます。

 ではまた!あなたの未来を応援していますよ。