静物デッサン初心者が最初にやるべき練習7日間メニュー完全版

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、鉛筆画やデッサンで、静物デッサンを始めたものの、「何から練習すればよいのかわからない」「描いても上達している実感がない」と感じていませんか?

 多くの、静物デッサン初心者の人がつまずく原因は、練習量ではなく順番にあります。基礎が整理されないまま描き込みを増やしても、形や比率が不安定なままになってしまいます。

 この記事では、静物デッサン初心者の人が、最初の7日間で取り組むべき練習内容を、段階的にまとめました。

 毎日10分〜20分程度で無理なく続けながら、観察力・構造理解・質感表現の土台を整えることを目的としています。

 遠回りせず、適切な順序で基礎を固めたい人は、ぜひこの7日間メニューから始めてみてください。

 尚、制作にあたっては、イーゼルや机に向き合う際には、足を組まずにイスに深く座ることで、安定した線を描けるようになれると同時に、疲れにくい体勢を維持できます。^^

 また、制作時のポイントは、あなたの制作する画面のすぐ脇に、モチーフが見えていて、頭を動かさずに視線の移動だけで、制作画面とモチーフを行き来できるようにすることです。

 それでは、早速見ていきましょう!

 鉛筆画やデッサン全体の練習順序を体系的に整理したい方は、
 初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップ完全版
 もあわせてご覧ください。

Table of Contents

静物デッサン初心者が最初に整えるべき観察と形の捉え方

    第2回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2000 鉛筆画 中山眞治

 静物デッサン初心者の人が、最初につまずきやすいのは、線の描き方や陰影の付け方ではなく、モチーフの見方そのものが整理されていない点です。

 描こうとする気持ちが先に立ち、モチーフをよく見ないまま手を動かしてしまうことで、形が歪み、描き直しが増えてしまいます。

 本章では、最初の段階は、上手に描くことを目標にするのではなく、モチーフを落ち着いて観察する姿勢を身につけることが重要になる点について解説しましょう。

静物を立体ではなく基本的な形の集まりとして見る意識

 静物デッサン初心者の人は、コップやビンを「完成した立体」として一気に捉えようとしがちですが、最初は円柱や直方体などの単純な形の集まりとして見る意識が必要です。

 複雑に見える静物も、縦横の比率や傾きで捉えると、構造が理解しやすくなります。

 この段階では細部を描こうとせず、全体がどのような単純構造の複合で成り立っているかを確認することを目的にするのです。

輪郭線をなぞらず、外形の流れを目で追う

 線を描く前に意識したいのは、輪郭をなぞることではなく、外形の流れを目で追うことです。

 上下左右の膨らみや細くなる部分、傾きの変化を連続した動きとして観察し、大雑把に全体を捉えるということになります。^^

 外形を部分ごとに区切って見るのではなく、全体の流れとして捉えることで、初心者の人に多い、形のギクシャク感を防ぐことができるのです。

高さ・幅・奥行きを比較しながら確認する

 静物デッサンでは、適切な数値よりも比較が重要です。

 高さに対して幅はどれくらいか、奥行きはどの位置が強く感じるかなど、常に他の要素と比べながら観察します。

 一部分だけを見て判断すると、比率が崩れやすいため、繰り返し視線を全体に送る癖をこの段階で身につけておくことが大切です。

描く前に観察だけの時間を意識的につくる

 すぐに描き始めるのではなく、まず数分間は観察だけに集中する時間を設けることが必要であり、形の特徴や傾き、安定して見える位置を頭の中で整理してから描くことで、迷い線や修整が減ります。

 観察の時間を毎回確実に確保することで、静物デッサン初心者の人でも落ち着いて形を捉えられるようになれます初心者の人にとって、最初に整えるべきは、描写の技術ではなく観察の時間です。

 立体を単純な形の複合体として捉え、外形の流れを意識し、比率を比較で確認する。この見方を身につけることで、描く工程が自然と安定していきます。

なかやま

7日間練習の初日は、描き込みを増やすよりも、適切に見ることに集中しましょう。

比率と配置を安定させるためのシンプルな静物画の練習

 第3回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2022 F10 鉛筆画 中山眞治

 観察の基準が少しずつ整ってきましたら、次に意識したいのが比率と配置の安定です。

 静物デッサン初心者の人の多くは、形そのものよりも、全体のバランスが崩れてしまうことで「うまく描けていない」と感じています。

 本章では、複雑な描写を避け、比率と配置だけに集中できるシンプルな練習を通して、静物画全体を安定させる感覚を身につけていく必要性について解説しましょう。

画面の中でモチーフが占める大きさを最初に決める

 描き始める前に、静物を画面の中で、どの程度の大きさにするか決めておくことは重要です。

 静物デッサン初心者の人は、描いている成り行きで大きさを決めてしまい、途中で上下や左右が詰まってしまうことがよくあります。

 最初に、上下左右の余白を意識して、モチーフ全体が無理なく収まる範囲を把握してから描き始めることで、配置が安定しやすくなるのです。 

中心線を基準に左右の比率を確認する

 コップやビンなどの静物は、中心線を意識することで比率が整いやすくなるのです。

 中心線を基準に左右の幅を比較すると、傾きや歪みに気づきやすくなれます。

 とくに、静物デッサン初心者の人は、片側だけを見て形を決めてしまいがちなので、常に左右を見比べながら進めることが大切です。

 場合によっては、左右の距離を中心線から定規などで測って、確認することも必要です。^^

部分部分に集中し過ぎずに、全体を同時に進める

 比率を安定させるためには、一部分を完成させてから次へ進む描き方を避ける必要があります。

 高さや幅、奥行きを全体に揃えながら、少しずつ形を整えていくことで、途中で大きく崩れるのを防げるのです。

 全体を同時に進める意識を持つことで、修整もしやすくなります。

軽い線で何度も配置を確認しながら調整する

 この段階では、最初から強い線で描こうとせず、修整を前提とした軽い線で配置を整えます。 何度も描き直すことで、比率のズレに自身で気づけるようになれるのです。

 そして、制作のはじめでは、2Bなどの濃い目の鉛筆を人指し指・中指・親指で優しく軽く持ち、肩・腕・肘全体を使う大きな動作のイメージで描いて行きましょう。

 また、いちいち「描いては消し・描いては消し」をせずに、複数の線を使って描いて行く中で、やがて「この線だ」という状況に出会えますので、その調子で全体を描いて行き、最後に不要な線を練り消しゴムで整理します。

 尚、配置を確認しながら、調整する経験を積むことで、静物デッサンに対する不安が減っていきます。比率と配置を安定させるためには、描き込みよりも全体のバランスを優先する意識が必要なのです。

 画面内での大きさを決め、中心線を基準に比較し、全体を同時に進めながら軽い線で調整する。このシンプルな手順を繰り返すことで、静物デッサンの土台が確実に整っていきます。

 練習の考え方やつまずきやすいポイントについては、
 鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイド
 で詳しく整理しています。

7日間練習の2日目は、完成度ではなく安定感を最優先に取り組みましょう。

立体感を崩さないための光と影の基礎トレーニング

        第3回個展出品作品 暮らし 2021 F10 鉛筆画 中山眞治

 比率と配置が、ある程度安定してこられましたら、次に意識したいのが光と影による立体感の整理です。

 静物デッサン初心者の人の多くは、影を描いているつもりでも、全体が平面的に見えてしまうことが多いものです。その原因は、影の濃さを増やすことに意識が向き、光と影の役割が整理されていない点にあります。

 本章では、この段階では、描写を増やすことよりも、光の方向と影の構造を理解することを目的に練習を進めていく点について解説しましょう。

光源の位置を明確に確認してから描き始める

 最初に必ず行うべきことは、光がどこから来て、モチーフのどこに当たっているかを確認することです。この場合、光源は1つであると描きやすさが増すのです。

 静物デッサン初心者の人は、無意識のうちに複数の光源を想定してしまい、影の向きや強さが統一できなくなります。

 光源を1つに絞り、その方向を常に意識することで、影の位置や形に一貫性が生まれ、立体感の土台が整うのです。

 この部分では、あなたの部屋の明かりを消して、デスクライトなどの光を斜め上からモチーフに当てると、描きやすい状態を作れます。

 自宅で制作する人は、白い卵・白い空き箱・白い布・外側の皮をむいたタマネギ・白い家電製品、白いマグカップ・白いカーテンなど探せば色々あります。^^

影を「暗さ」ではなく「面の向き」として考える

 影は単に暗く塗るための要素ではなく、面がどちらを向いているかを説明するためのものです。

 光に対して、正面を向いている面は明るく、横を向くほど暗くなります。次の画像を参照してください。

 静物デッサン初心者の人は、影を均一に塗りがちですが、面の向きを意識して濃淡を変えることで、立体が自然に浮かび上がってくるのです。

明暗を3段階で整理して全体構造を掴む

 いきなり細かな濃淡を作ろうとせず、まずは明るい部分・中間調・暗部の3段階で整理します。

 この段階分けを行うことで、光と影の関係が整理され、立体構造が把握しやすくなるのです。次の画像を参照してください。

 細部の描写は後から加えられるため、最初は大きな明暗の流れを優先します。

影の境目を線で区切らず、変化として捉える

 静物デッサン初心者の人は、影の境界をはっきり描こうとしがちですが、多くの場合、明暗は徐々に変化しているのです。

 境目を線で区切るのではなく、なだらかな移行として捉えることで、硬さのない立体感が生まれます。次の画像を参照してください。

              参考画像です

 影を形として追うのではなく、面が切り替わる過程として理解することが重要です。立体感を崩さないためには、影を増やすことよりも、光と影の関係を整理することが欠かせません。

 光源を一つに定め、影を面の向きとして捉え、明暗を大きく整理することで、静物デッサン初心者の人でも、安定した立体感を表現できるようになれます。

なかやま

7日間練習の3日目は、濃淡の量ではなく、光の理解を深めることに集中しましょう。

描き込みすぎを防ぐための静物デッサン整理術

       第3回個展出品作品 パーティーの後で 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 静物デッサンに慣れてくると、多くの初心者の人が次に直面するのが、「描き込みすぎ」の問題です。

 形や立体感を意識できるようになる一方で、どこまで描けばよいのか判断できずに描き込み過ぎて、結果として画面全体が重くなってしまいます。

 描き込みすぎは努力の結果として起こるため、単純に悪い癖とは言えませんが、整理の視点を持たないまま続けると、デッサンの完成度を下げてしまうのです。

 本章では、この段階では、描く量を増やすのではなく、描く必要のある部分と抑える部分を見極める練習が重要になる点について解説します。

主役と脇役をはっきり分けて考える

 描き込みすぎを防ぐために、まず意識したいのが、静物の中でどれが主役なのかを明確にすることです。すべての要素を同じ密度で描こうとすると、画面にメリハリがなくなります。

 主役となるモチーフや部分は、形や立体感を丁寧に描き、脇役となるモチーフや部分は、情報量を抑えることで、全体のバランスが整いやすくなります。

 描写の強弱を意識することが、整理の第一歩です。

情報量を減らして形の印象を優先する

 静物デッサン初心者の人は、細かな凹凸や質感をすべて描こうとしがちですが、静物デッサンでは形の印象が最優先されます。

 細部を省略しても、全体の形が適切に伝わっていれば、立体感は損なわれません。

 情報量を意識的に減らし、必要最低限の描写で形を伝える練習を行うことで、画面が整理されていきます。

描き足す前に差し引く勇気を持つ

 描き込みすぎを防ぐためには、線や陰影を足す前に「今の状態で充分か」どうかを、一度確認する習慣が必要となります。

 描き足すことは簡単ですが、差し引く判断は難しいものです。

 少し距離を取って全体を見直し、必要以上に強くなっている部分がないかを確認することで、過剰な描写を抑えることができます。

 そして、主役モチーフに「細かい柄や模様」が入っている際には、しっかりと細密描写をしましょう。

 しかし、脇役モチーフや部分に「細かい柄や模様」が入っている場合には、「簡略・省略」することで、主役を引き立てられます。

 我々人間の目は、「細かい柄や模様」に注意を奪われてしまう習性があることも記憶しておきましょう。あなたが見てもらいたい・強調したいモチーフを引き立てる戦略がここにあります。

 尚、全体に細密描写を施したいのであれば、主役にはしっかりとハイライトを施して、それ以外の脇役には、ハイライトを抑えて描くことで主役を引き立てることもできます。^^

完成を意識しすぎず途中段階を大切にする

 完成度を早く高めようとすると、描き込みが過剰になりやすくなります。

 この段階では、完成を目標にするよりも、途中段階の状態を確認する意識を持つことが大切です。

 途中の状態でも、形や立体感が成立しているかどうかを確認することで、必要以上の描写を自然と避けられるようになれます。

 描き込みすぎを防ぐためには、描く技術よりも整理の視点が欠かせません。主役と脇役を分け、情報量を抑え、描き足す前に全体を見直すことで、静物デッサンはすっきりとまとまるのです。

7日間練習の4日目から7日目までは、どれだけ描いたかではなく、どれだけ整理できたかを基準に取り組みましょう。

7日間の練習を次のステップにつなげるための振り返り方法

   蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

 7日間の、静物デッサン練習を終えたあとに最も重要なのは、描けたかどうかを評価することではなく、どのような変化が起きたのかを整理する振り返りです。

 静物デッサン初心者の人は、完成度や出来映えだけで判断しがちですが、それでは次の成長につながりません。

 本章では、この最終日は、結果を見るのではなく、練習の過程を冷静に振り返り、次の一歩を明確にするための時間として位置づける点を解説します。

7日間で変化した点を具体的に書き出す

 まず行いたいのは、7日間を通して、自身の中で変化した点を言葉にすることです。

 形を取るスピードが少し早くなった、比率を確認する回数が増えた、描き始める前に観察する時間を取れるようになったなど、小さな変化で構いません。

 感覚的な上達ではなく、行動や意識の変化として整理することで、自身の成長を客観的に把握できます。

うまくいかなかった原因を工程ごとに整理する

 次に、思うように描けなかった点について振り返ります。

 このとき重要なのは、センスや才能の問題ではないということです。観察が足りなかったのか、比率確認を省略してしまったのか、描き込みすぎたのかなど、工程ごとに原因を分けて考えましょう。

 原因を具体的に特定できれば、同じ失敗を繰り返す可能性は大きく減ります。

毎日共通して現れた課題を見つける

 7日間のデッサンを並べて見返すと、共通して現れている課題が見えてきます。

 形が歪みやすい、奥行きが弱くなりやすい、画面が重くなりやすいなど、繰り返し出てくる問題点に注目しましょう。

 この共通課題は、今後の練習で最優先に取り組むべきテーマになります。

次の練習テーマを一つに絞って決める

 振り返りの最後に行うのは、次に取り組む練習テーマを1つに絞ることです。複数の課題を同時に解決しようとすると、練習の焦点がぼやけてしまうからです。^^

 形、比率、光と影、整理のいずれか1つを選び、次の機会ではそこに集中することで、無理なく着実にステップアップできます。

 7日間の練習の締めくくりは、描き続けることではなく、振り返りによって次の方向性を明確にすることです。

 変化した点と、うまくいかなかった点を整理し、共通する課題を見つけ、次のテーマを一つ決める。この流れを習慣化することで、静物デッサンは継続的に成長していきます。

 練習を習慣として続けたい方は、

 静物デッサン初心者が最初にやるべき練習7日間メニュー完全版
 
 も次のステップとしてオススメです。

なかやま

7日目は描く日ではなく、次に進む準備の日として大切にしましょう。

練習課題(3つ)

    ランプのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

形と比率を安定させる静物スケッチ

内容:


 単純な形の静物を1点選び、10〜15分で、全体の形と比率だけを確認するスケッチを3枚描きます。細部や質感は一切描かず、高さ・幅・傾き・中心線の確認に集中します。

目的:


 形を正確に取ろうとする意識よりも、全体のバランスを安定させる感覚を身につけることが目的です。比率の確認を何度も行うことで、形崩れを早い段階で修整できる力を養います。

ポイント:


 細かい描き込みはやめて、軽い線で何度も修整することを前提に進めます。途中で一部を完成させず、常に全体的な制作を進めることに意識を向けましょう。

         参考画像です

光源を意識した明暗整理トレーニング

内容:


 上の課題と同じ静物を使い、光源を1つに決めて、明暗を3段階で整理するスケッチを2〜3枚描きます。細かな陰影や質感は描かず、明るい面・中間・暗部の配置のみを確認します。

目的:


 影を描くことではなく、光と影の関係を理解することが目的です。立体を明暗の構造として捉える感覚を身につけます。

ポイント:


 影の境目を線で区切らず、面の切り替わりとして捉えます。濃淡の量ではなく、位置と関係性を優先します。

        参考画像です

描き込みを抑えて全体を整理する練習

内容:


 静物を1点描き、途中の段階で必ず一度手を止めて、全体を見直します。その後、描き足すのではなく、描かなくても成立する部分を判断しながら仕上げます。

目的:


 描き込みすぎを防ぎ、必要な情報だけで、形と立体感を伝える判断力を養います。

ポイント:


 主役と脇役を意識し、すべてを同じ密度で描かないよう注意します。途中の状態でも成立しているかを確認することが重要です。

            参考画像です

まとめ:静物デッサン初心者が7日間で身につけるべき基礎の考え方

        第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 静物デッサン初心者の人が、最初に意識すべきなのは、上手に描くことではなく、適切な順序で基礎を整えることです。

 7日間の練習メニューでは、形の捉え方、比率と配置、光と影、描写の整理、そして振り返りという流れを通して、デッサンの土台を段階的に築いていきました。

 どの工程も単独ではなく、前の練習が次の練習を支える構造になっています。

 最初の段階では、モチーフをどう見るかという、観察の時間を確保することから始めているのです。

 立体を完成形として捉えるのではなく、単純な形の集まりとして分解し、外形の流れや比率を比較で確認することで、形取りの安定感が生まれます。

 この見方が定まらないまま描き進めると、どれだけ線を重ねても形は安定しません。次に行った比率と配置の練習では、画面全体のバランスを優先する意識を身につけました。

 一部分を描き込み過ぎず、全体を同時に進め、軽い線で調整を重ねることで、静物デッサン初心者の人に多い形崩れを防ぐことができます。完成度よりも安定感を基準にする考え方が、この段階では重要になります。

 光と影の基礎では、濃淡を増やすことよりも、光源と面の向きを理解することに重点を置きました。

 明暗を3段階で整理し、影を形の説明として使うことで、無理のない立体感が生まれます。細かな描写は、この構造が整ってからで充分です。

 描き込み整理の練習では、描かない判断を身につけました。すべてを同じ密度で描くのではなく、主役と脇役を分け、必要な情報だけを残すことで、画面は自然と整理されます。

 描き足す前に、全体を俯瞰して見る習慣が、完成度を高める鍵になるのです。最後の振り返りでは、結果ではなく過程に目を向け、変化と課題を言語化しました。

 共通して現れた課題を1つ選び、次の練習テーマとして設定することで、継続的な成長につながります。

 この記事のポイントは、次の通りです。

  • 観察の時間を確保し、基準を整える。
  • 比率と配置を全体で安定させる。
  • 光と影の関係を理解する。
  • 描き込みを整理する。
  • 振り返りで次の一歩を決める。

 この流れを繰り返すことで、静物デッサンは確実に積み上がっていきます。7日間の練習はゴールではなく、次の成長へ進むためのスタート地点です。

 次の関連記事もあわせて読むと、練習の流れがより明確になります。

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