鉛筆画中級者必見!描くべき箇所と省略すべき部分を見極める判断力

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

       筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に

 さて、鉛筆画において「どこまで描き、どこを省略するか」の判断は、中級者の人にとって最大の課題のひとつではないでしょうか?

 すべてを細密に描けばよいというわけではなく、省略によって視線の流れや構図のバランスが生まれ、作品に深みが加わることもあります。

 この記事では、描き込みすぎを防ぎ、必要な箇所にだけ焦点を当てる判断力をどう育てるかを解説します。

 構図・光・質感・視線誘導といった観点から、取捨選択の具体的な方法をご紹介し、作品の完成度を高めるための視点を提供します。

 尚、あなたが既にたくさんの作品を制作していて、「そろそろ個展を開催したい」とお考えの場合には、この記事の最終部分に、有益な関連記事を掲載してありますのでご覧ください。

 それでは、早速見ていきましょう!

Table of Contents

描き込みすぎに注意!鉛筆画中級者にありがちな判断ミスと対策

        道Ⅱ 2022 F4 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画中級者の人がぶつかる大きな壁のひとつが、「描き込みすぎ」の問題です。

 描写力が向上すると、細部まで描ける喜びから、ついすべてを丁寧に描こうとしてしまいます。

 しかし、それは時として主役や準主役の不明瞭さや構図の破綻、視線誘導の妨げにつながります。

 ところで、筆者の地元の某病院には、東京芸大出身者の作品が飾られているのですが、画面の中のすべてのモチーフを克明に描き込み過ぎていて、何が言いたいのか分からない作品があります。

 一つ一つのモチーフは、良く描けているのですが残念な作品と言わざるを得ません。このようなことにならないように、この記事を参照して制作に励んでください。

 ありのままを表現するのは、写真で充分なのです。私たちは、制作する作品をどのように描いて、どのように見せるのかを充分考えて制作していきましょう。

 つまり、あなたの感動や強調を作品の中で、観てくださる人にどう表現するのか、各種構図や、削除・省略・つけたし・拡大・縮小など自由な発想による「デフォルメ」も駆使して、魅力的な作品に仕上げましょう。

 本章では、描き込みすぎに陥る原因とその対処法を、構図・視点・密度のバランスという観点から解説します。

密度の均一化が招く主役や準主役の喪失

        誕生2020-Ⅰ F4 鉛筆画 中山眞治

 すべての部分を均一な濃さや線の密度で描くと、視線がどこにも落ち着けず、主役や準主役が埋もれてしまいます。

 作品の中に緩急をつけるためには、主役や準主役周辺を集中的に描き、背景や脇役には線を抜く、あるいは簡略化する必要があります。

 密度に変化をつけることで、作品に空間的な奥行きと物語性が生まれます。

描写の「意味」に注目する

        誕生2020-Ⅱ F4 鉛筆画 中山眞治

 描くべきかどうか迷った場合には、「その描写が作品の補足説明になっているか?」と問うてみるのも良いでしょう。

 たとえば、布のしわが人物の姿勢を語っているなら描写すべきですが、情報としてムダであれば省略する勇気も大切です。

 意味のある描写だけを残すことが、作品の品格を高めることに役立ちます。

自身の目を疑うための工夫

     第3回個展出品作品 誕生2020-Ⅲ F4 鉛筆画 中山眞治

 長時間同じ作品を制作しながら観続けていると、客観性を失い、描き込みすぎていても気づけません。

 そこで有効なのが「時間をおいて再確認する」ことです。

 一晩寝かせた後に再び作品を観ると、不要な要素が冷静に観えてきます。スマートフォンで撮影して縮小表示するのも、全体のバランスを俯瞰するうえでは有効です。

 また、一晩と言わないまでも、一旦休憩をはさんで、離れたところから改めて確認することも重要です。特に、描き始め当初の全体の輪郭を取った後などでは、このひと手間は重要と言えます。

 ある程度描く進んで、矛盾に突き当たり、大きく修整が必要になるとすれば、画面が汚れてしまうこともあるので、描き始めの「点検」は特に重要なのです。

第三者の視点を借りる

       水滴Ⅷ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 自身では気づけない、描きすぎを見抜くには、第三者の目を借りるのも効果的です。

 講評会やSNSでの発信、あるいは信頼できる相手に見せることで、描き込み過ぎている部分を指摘してもらえます。第三者の視点を通して、取捨選択の精度が磨かれていきます。

 鉛筆画中級者の人は、「描けること」と「描くべきこと」の違いを学ぶ段階にあります。描写力が上がった今こそ、すべてを描くのではなく、主役や準主役と画面の印象に必要な要素だけを厳選する意識を持ちましょう。

 また、あなたが画面上で表現する感動や強調したい主役や準主役部分には、細密な描き込みをして、それ以外の脇役や背景には「意図的に手を抜く」ことで、主役や準主役部分を引き立てられます。

 我々人間目は、細かい柄や模様に注意を引かれてしまう習性があるので、主役や準主役以外のモチーフに、実際には細かい柄や模様が入っていても、省略することが必要だということです。

 しかし、仮に、全体的に細密な描き込みをしたいという場合には、主役や準主役にはしっかりと「ハイライト」を入れて、それ以外のモチーフには「ハイライトを抑えて描く」ことでも、主役や準主役を引き立てられます。

なかやま

描き込む部分と、省略する部分のバランスを理解することで、作品全体に緊張感と洗練が加わり、観てくださる人の目を引く鉛筆画に進化できます。

視線誘導を意識した描写と省略の関係

        水滴Ⅸ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画において「視線誘導」は、作品全体の観やすさと印象に大きく関わる重要な要素です。

 鉛筆画中級者の人は、構図の選定に自信がつき始めているかもしれませんが、それに伴って必要のない部分まで描き込んでしまい、視線の流れが乱れるケースもあるでしょう。

 本章では、視線をどう誘導し、どこに注目させるかを意識することが、描写と省略の判断に直結する点について解説します。

視線のスタートとゴールを設定する

     旅立ちの詩Ⅰ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 作品を観てくださる人は、無意識の内に画面内を視覚的に「移動」します。

 その際に、どこから視線をスタートさせ、どこへ誘導するかを決めておくと、構成が自然になります。

 たとえば、画面左下に視線の出発点となる明るい要素を配置し、右上に主題を配置することで、Z字や三角構図による視線誘導が成立します。

重要な導線上だけを細密に描写する

       あのね…。 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 視線の導線にあたる箇所には、比較的細密に描き込むことで、観てくださる人の興味をつなぎながら主役や準主役へと導けます。

 一方で、視線の導線外にある部分は思い切って省略し、濃淡も抑えめにすることで主役や準主役へ視線の集中を得られます。

 すべてを等しく描くのではなく、視線が通る“道筋”だけに情報を集めることで、画面全体の印象を強調できます。

主役や準主役の周辺に「視線の滞在」を設計する

    第3回個展出品作品 憤怒の猛牛 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 視線が主役や準主役に到達した後、そこに留まるような工夫も重要です。

 主役や準主役の周囲を、明暗や質感で丁寧に描写することで、視線が自然と長く留まり、観てくださる人の印象に残りやすくなります。

 反対に、主役や準主役以外の部分に過剰なディテール(詳細)があると、視線が逸れてしまうため、省略やぼかしを活用して主役や準主役の存在感を引き立てましょう。

空白と余白で視線を休ませる

 視線誘導には“空白”の使い方も欠かせません。

 密度の高い描写が続くと、観てくださる人は疲れてしまいます。視線を休めるための空間や、構図内の余白を活かすことで、視線が再び主役や準主役に戻りやすくなります。

 これも省略の一形態であり、効果的に使うことで作品全体が洗練されます。次の作品では、画面の右上に「抜け」を作り、観てくださる人の「画面上の息苦しさ」を解消できる効果を狙っています。

第3回個展出品作品 旅立ちの詩Ⅱ F4 鉛筆画 中山眞治

描くべき箇所と省略すべき箇所は、視線の誘導を軸にして見極めることができます。構図の流れ、主役や準主役の配置、密度のコントロールなどを意識して、観てくださる人の視覚を導く設計図を描きましょう。

描くべき部分の優先順位をどう見極めるか

        境内にてⅠ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画中級者の人にとって、描くべき部分とそうでない部分の「優先順位」を判断する力は、作品全体の完成度を左右する重要な要素です。

 構図や明暗、主役や準主役との関係性に基づいて、どの部分に時間と労力をかけるべきかを見極める視点が必要です。

 本章では、その具体的な判断基準を4つの観点から解説します。

主役や準主役に直結する情報を優先する

       境内にてⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 最優先で描写すべきは、画面の主役や準主役に直結する要素です。

 たとえば、人物画であれば顔の表情や手の動き、風景であれば光の当たる建物の輪郭などがそれに当たります。

 主役や準主役が何かを最初に明確にし、その補助となる情報に優先的に描写を加えることで、全体に芯の通った作品になります。

視線が自然に向かう箇所を重点化する

        境内にてⅢ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 構図によって、人の視線が集まりやすい「視線の焦点」には、しっかりと描写を行うべきです。

 3分割構図の交点やZ字構図の終点などは、視覚的な意味で非常に影響力が大きいため、ここを曖昧にすると画面全体が散漫になります。

 逆に、視線が流れにくい場所は優先順位を下げ、省略や簡略化で対応できます。

情報密度を段階的に配置する

       旅立ちの詩Ⅲ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 作品全体の密度を均一にせず、段階的に配置することで、どこに注目すべきかが明確になります。

 たとえば、主役や準主役部分には濃密な線や陰影を加え、周囲に向かって徐々に密度を下げていくと、視覚の流れと共に情報量も整理できるのです。

 こうした密度のグラデーション(階調)が、優先順位のガイドにもなります。

練習段階では「時間配分」を記録する

      マリリン・モンローⅢ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 優先順位を身につけるための訓練として、制作にかけた時間を部位ごとに記録する方法もあります。

 後から見返したときに、時間をかけた部分とそうでない部分の仕上がりの差が明確になれば、判断力の精度を向上できるのです。

 限られた時間内で、主役や準主役を表現する力を養う練習にもなります。優先順位を適切に設定できると、作品にリズムが生まれ、視覚的な疲れを抑えつつ強い印象を与えることができます。

なかやま

どこを描くかはもちろん、どこを描かないかという選択もまた、画面設計の一部です。鉛筆画中級者の人に求められるのは、描写力だけでなく、取捨選択に基づいた描写戦略です。

構図と明暗のバランスで省略を成立させる方法

      マリリン・モンローⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画における省略(デフォルメ)は、単なる「描かない」ではなく、構図や明暗の流れの中で意図的に意味づけられた表現技法です。

 鉛筆画中級者の人にとって、構図と明暗のバランスを意識して省略を成立させることで、作品の印象を大きく左右できます。

 本章では、構図の骨格や光の配置、視線の分散を防ぐ工夫をもとに、省略を自然に見せる方法を解説します。

鉛筆画中級者の人が構図を研究すべき理由

    第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 あなたは、今まで鉛筆画の制作を続けて来て、「毎回同じような画風になってしまう」「作品全体のまとまりが悪く感じる」「もっと見映えのする作品にしたい」とかんじたことはありませんか?

 構図とは、先人の築き上げてきた美の構成に裏打ちされた、バランス・緊張感・力強さ・躍動感などを伝えることができる技術です。

 構図は、作者とすれば「作品の魅力をより一層引き出せる技術」である反面、観てくださる人からすれば「見映えのする作品」に仕上げるための、重要なノウハウと言えます。

 構図については、この記事の最終部分に関連記事「初心者でも簡単!プロが教える鉛筆画の構図の取り方やコツとポイント」を掲載していますので、関心のある人は参照してください。

3分割や対角構図で描写の集中点を決める

      パーティーのあとでⅠ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 構図の初期段階で、描写の重点を置く位置を決めておくことは、省略の設計に直結します。

 分割構図の交点や、対角線の延長上に主役や準主役を置くことで、そこに描写を集中させ、他の領域は簡略化しやすくなります。

 描き込むべきエリアを構図で限定することで、不要な情報が自然と排除され、構成力のある作品になります。

明暗のグラデーションで余白を活かす

      パーティーのあとでⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 濃淡の使い方によっても、省略は成り立ちます。主役や準主役に強いコントラスト(明暗)差を与え、背景には中間調か明るめのトーンを使うと、自然と主役や準主役に視線が集まります。

 明暗差の強い部分と弱い部分を明確に分けることで、省略された部分が「描かれていない」のではなく「描かなくてよい」と理解されるようになります。

境界線や輪郭で情報の強弱を分ける

    フォックスフェイスのある静物 2019 F6 鉛筆画 中山眞

 すべての輪郭をはっきりと描く必要はありません。

 主役や準主役の手前にある物体や、重要な形状にのみ明確な線を使い、それ以外の境界は曖昧に処理することで、省略と描写の差が作品の中で明確に機能します。

 この差異が、作品に空気感や奥行きを与える要素となります。

描かない部分にも「意味」をもたせる

       誕生2019-Ⅱ F6 鉛筆画 中山眞治

 完全な空白でも、それが構図や光の流れと一体化していれば意味を持つ空間になります。

 たとえば、人物の背後をあえて何も描かず、濃い影だけで処理することで、人物の存在感が際立つケースもあります。次の作品を参照してください。

   第1回個展出品作品 金剛力士像(阿形) 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 描かないことで強調される要素があると理解することが、省略の真価です。構図と明暗のバランスを理解すれば、省略は未完成ではなく完成の一形態となります。

視線の導線、光の対比、輪郭の強弱といった設計の中で省略を組み込むことで、観てくださる人に伝えたいことが、明確に浮かび上がる鉛筆画を構築することができます。

省略の美学を活かした魅せる鉛筆画の実践法

    ドルトレヒトの風車(ゴッホによる) 2019 F6 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画中級者の人に求められるのは、描写の密度や細密さだけでなく、あえて描かないことによって魅せる「省略の美学」です。

 省略は、決して怠慢や未完成ではなく、画面に緩急をもたらす意図的な選択です。

 本章では、観てくださる人に強い印象を残すための省略テクニックと、それを効果的に活かす実践的な方法を紹介します。

強調したい部分とのコントラストで引き立てる

   第2回個展出品作品 ランプの点る静物 2000 F30  鉛筆画 中山眞治

 描き込む箇所と、省略する箇所を明確に対比させることで、強調したい要素がより際立ちます。

 たとえば、人物の顔だけを細密に描写し、衣服や背景を最小限の線で済ませると、顔の存在感が一層強くなるのです。

 このように省略は、描き込む部分の「引き立て役」として機能します。

モチーフの性質に合わせた省略技法

   種まく人(ミレーによる) 2019 F6 鉛筆画 中山眞治

 モチーフの種類によって、どこを省略すべきかの基準も異なります。

 たとえば、ガラスや金属のように光を反射する素材には、ハイライトや影を限定的に描くことで質感を際立てられるのです。

 逆に、布や葉のように柔らかな質感は、線を省きつつ濃淡で表現することで、柔らかさを損なわずに伝えることができます。

線の量と形状で描写の範囲を調整する

       突き進むもの 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 描く線の数を意図的に減らす、あるいは短く抑えることで、省略と描写のバランスが生まれます。

 加えて、曲線や直線、途切れた線などの形状を変化させることで、視覚的な抑揚を作ることもできるのです。

 線の種類を整理することも、情報の取捨選択の一環になります。

観てくださる人に想像の余地を残す

      路傍の花Ⅲ 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 すべてを描き尽くすのではなく、一部をあえて描かないことで、観てくださる人の想像力を刺激する効果があります。

 たとえば、背景を省略して余白を残すことで、主役や準主役の持つ物語性や余韻を引き出すことができます。観てくださる人が「補完したくなる余地」を意識的に設けるのも、省略の高度な活用法です。

 省略は単なる削減ではなく、主役や準主役を浮かび上がらせ、画面の印象を整えるための積極的な技法です。描写力が高まった中級者の人だからこそ、何を描かないかという判断力が作品の質を高めます。

なかやま

描き込みと省略のバランスを取りながら、観てくださる人の想像力に語りかけられる鉛筆画を目指しましょう。

練習課題(3つ)

    第3回個展出品作品 暮らし 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。あなたの身の回りのモチーフを使って練習してください。

課題①:主題に集中した描写と周辺の省略バランス


 → 顔や手など一部を細密に描き、背景・衣服などは最小限に(3分割構図)

課題②:視線誘導を活かした描写の配置と省略


 → Z字構図、モチーフに沿って視線が流れる配置と描写(3分割構図にZ型構図を組み合わせ  る…リンゴは空きビンよりも手前にあります)

課題③:線の量と濃淡で描写に緩急をつける


 → 主役や準主役はしっかり、その他は線を減らす・トーンを薄く(3分割構図)

まとめ

第3回個展出品作品 駅 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画において、技術的な中級者レベルに達した人の段階では、単に描けること以上に「描かない判断力」が作品の完成度を左右します。

 今回の記事では、描写の取捨選択という視点から、描き込みすぎの回避、省略の効果、視線誘導の技法、情報整理、そして判断力を高める訓練法まで、実践的なポイントを整理しました。

 以下に、学ぶべき要点を箇条書きでまとめます。

  • 描き込みすぎは、主役や準主役が埋もれ視線も迷う原因にもなる。
  • 全体の密度バランスを整える“差し引く”構成力が重要。
  • 描くか省くかは「主役や準主役との関連」「視線の流れ」「空間効果」で判断。
  • 省略は情報を削るのではなく、画面に呼吸とリズムを与える演出手法と理解する。
  • 線の強弱・濃淡・密度のグラデーション(階調)で視覚的な整理ができる。
  • 「描き比べ」「制限時間デッサン」「模写分析」などで判断力を養える。
  • 第三者の視点や、時間を置いた自己評価で描き込み癖を客観視する。
  • 実際の練習課題を通じて、省略と強調の効果を体感できる。
  • 視線誘導を意識した、緩急のある構成が画面全体に流れを与える。
  • 「何を描くか」と同時に、「何を描かないか」を意識することが表現の鍵と理解する。

 鉛筆画中級者の人にとって、描写の技術はすでに充分に備わっているからこそ、次のステップは構成と選択にあります。

 すべてを描くのではなく、意味のある描写を選び取り、構図の中で視覚的な物語を組み立てていくことが大切です。

 それが、作品に深みと魅力をもたらす鉛筆画の本質なので、今後の制作では、ぜひこの「取捨選択の目」を育てながら、意識的な構成力を磨いていきましょう。

 鉛筆画のスキルが上達すると、つい細部まで描き込みたくなります。しかし、それがかえって作品全体の印象を損ねてしまうこともつながるので、「描くべき部分」と「省略すべき部分」の的確な判断力です。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。