鉛筆画で初心者におすすめな簡単で楽しい挑戦すべき題材10選とは!

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

        筆者近影 作品「遠い約束Ⅱ」と共に

 さて、鉛筆画を始めたばかりの初心者の人が直面するのが、「何を描けばいいのかわからない」という悩みです。実は、題材選びは鉛筆画の上達に大きく影響します。

 簡単で楽しく描けるモチーフから始めることで、無理なくスキルを伸ばすことが可能になります。この記事では、初心者の人にオススメな題材を10個厳選してご紹介します。

 リアルな表現が学べるものから、創造力を引き出すものまで、幅広いモチーフをカバーしているので、まずは基本を抑え、楽しみながら挑戦できる題材で鉛筆画の世界に足を踏み入れましょう。

 それでは、早速どうぞ!

初心者でも描きやすい鉛筆画題材の選び方

     第1回個展出品作品 ペンギン 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画を始めたばかりの初心者の人にとって、題材選びはとても重要です。適切なモチーフを選ぶことで、楽しくスムーズにスキルを上達させることができます。

 本章では、モノトーンの鉛筆で制作する初心者の人に、最適な題材選びのコツを紹介します。描きやすい題材の特徴を理解し、無理のない範囲で挑戦してみましょう。

シンプルな形状のモチーフを選ぶ

 初心者の人が最初に挑戦すべき題材は、シンプルな形状のものがオススメです。例えば、球体、円柱、立方体など、基本的な形を持つモチーフは光と影の練習に最適なのです。

 これらの形状は構造が理解しやすく、リアルさを表現する練習をするのにもぴったりで、どこの絵画教室でも常備しています。また、日常生活で見慣れているものを選ぶと、観察力も自然と鍛えられます。

絵画教室に行かない場合でも、自宅にある白い卵及び白無地のカップ&ソーサーや白いマグカップでも練習できますし、光の当て方を変えれば、何通りにもモチーフとして使えます。

質感がわかりやすいモチーフを選ぶ

 初心者の人にとって、描く対象の質感を理解しやすいモチーフを選ぶことは重要です。たとえば、果物(リンゴ、バナナなど)や布(シワの少ないもの)は、質感を再現する練習になります。  

 鉛筆の濃淡を使って滑らかさやザラザラ感を表現することで、リアリティーのある作品を作る第一歩を踏み出せます。

自然のモチーフでリラックスしながら練習する

 自然に存在するモチーフは、初心者の人がリラックスして描ける題材としてオススメです。樹々や草花の葉っぱ、小石、樹の枝など、複雑すぎない自然物を描くことで、自由な発想で鉛筆の特性を活かせます。

 観察力を鍛えながら、鉛筆の線で自然な形状を表現する楽しさを体験してみましょう。初心者の人が描きやすい題材を選ぶ際は自然のモチーフであっても、シンプルな形状、質感の再現が容易なものにすることが大切です。

なかやま

無理のない範囲で少しずつ挑戦を重ね、鉛筆画のスキルを楽しく伸ばしていきましょう。逆に、咲き姿の複雑なカーネーションや紫陽花などの花や、細かい柄や模様のあるモチーフは止めておきましょう。挫折の原因になります。^^

鉛筆画で挑戦したいシンプルで楽しい題材5選

     第1回個展出品作品 葡萄 1996 F6 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画を始めたばかりの初心者の人でも楽しく取り組めるシンプルな題材を選ぶことで、制作のモチベーションを高めながらスキルを伸ばすことができます。

 本章では、モノトーンの鉛筆で制作する際におすすめの5つの題材をご紹介します。それぞれの題材には特有の魅力と学びがあり、初心者の人でも無理なく挑戦できます。

尚、上の画像にもありますが、巨峰のような葡萄も描きやすいです。この場合のコツは、濃いところを思い切って濃くすることで、ハイライト部分が光って見えるようになります。

観察力を磨ける「マグカップ」

 マグカップは、形がシンプルで初心者に適した題材の1つです。取っ手の形状や影の付き方に注目することで、立体感を捉える練習ができます。

 また、表面がツルツルしているものやマット(艶消し)なものなど、質感の違いを鉛筆で表現することで、濃淡の扱いにも慣れることができます。

影の柔らかな表現を学べる「卵」

         反射 2018 F1 鉛筆画 中山眞治

 卵の丸みを帯びた形状は、影の柔らかな移り変わりを描く練習に最適です。卵の表面は滑らかで単純なように見えますが、光源によって影が複雑に変化します。

 筆圧を調整してグラデーションを描くことで、自然な立体感を表現するスキルを養うことができます。

なかやま

白い卵を1個と言わず2~3個用意して、それぞれの向きを変えて制作するのも楽しいですよ!

線の表現を楽しめる「葉っぱ」

 葉っぱは、その細かい葉脈や形状を観察しながら描くことで、線の使い方を学ぶのにぴったりの題材です。

 一見簡単に見えるモチーフですが、葉脈の細部を描き込むことでデッサンの正確さと集中力を鍛えることができます。また、葉の質感を濃淡で表現することで、よりリアルな仕上がりを目指せます。

葉っぱは、厚みがある事を忘れないようにしましょう。紙のような葉っぱではリアリティーに乏しいものになってしまうので注意が必要です。

立体感を学べる「りんご」

 りんごはシンプルでありながら、立体感を捉える練習に最適な題材です。丸みのある形状に光と影が映り込むため、鉛筆の濃淡を使ってリアルに表現するスキルが身につきます。

 また、りんごの茎や表面の微妙な凹凸も描き込むことで、ディテールを観察する力も養えます。

         林檎 2019 F3 鉛筆画 中山眞治

なかやま

リンゴは、上の作品のように切ったものも加えて描いても楽しいですよ!

形と影を楽しむ「ビンやボトル」

 透明なビンやボトルは、光の反射や影の表現を学ぶ絶好のモチーフです。初心者の人にとっては難易度が少し高いかもしれませんが、形状が単純なものから始めれば無理なく挑戦できます。

 ガラスの透明感を表現する過程で、線の強弱や光の扱い方を習得することができます。これらのシンプルな題材は、初心者の人が鉛筆画を楽しみながら上達するのに最適です。

 尚、次の作品の制作では、HBで優しく軽いタッチでビン全体に縦横斜めの4種類の方向からの線で淡く面を埋めて、光っている部分を「練り消しゴム」で抜きました。

 その後、濃いところは濃く、明るいところは「練り消しゴム」を小さな「しゃもじ」のような形状にして、そっと押し当てることでトーンの調整をして仕上げています。濃いところに思い切って濃いトーンを入れることで、ハイライトが引き立ちます。

    第1回個展出品作品 家族の肖像 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

なかやま

空きビンなどを描く際の注意点は、ガラスには「ビシッ」と走っている濃い線がある事に注意しましょう。次の画像も参照してください。

   第1回個展出品作品 胡桃のある静物 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

初心者が最初に描くべきモチーフとオススメな理由

 鉛筆画を始めたばかりの初心者の人にとって、最初のモチーフ選びはとても重要です。簡単で楽しく描けるモチーフを選ぶことで、無理なくスキルを上達させることができます。

 本章では、初心者の人にオススメなモチーフとその理由について紹介します。モノトーンの鉛筆ならではの表現を楽しみながら、基礎をしっかりと身につけましょう。

シンプルで馴染み深い「フルーツ」

 初心者の人には、形がわかりやすく複雑すぎないフルーツが最適です。例えば、オレンジやバナナなどの果物は、円形や曲線の練習に役立ちます。また、次の作品のような洋ナシやパプリカも楽しいモチーフです。

 第2回個展出品作品 洋ナシのある静物 2000 F1 鉛筆画 中山眞治

 特に、オレンジのように表面にテクスチャー(質感)があるものは、鉛筆の濃淡を使って質感を描き分ける練習に最適です。身近な題材を選ぶことで、描く楽しさを感じやすくなります。

            オレンジの画像です

初心者向けの基本「立方体や球体」

 鉛筆画の基礎を学ぶためには、立方体や球体のような幾何学的な形状が効果的です。これらの形状は光と影の関係を理解しやすく、立体感を表現する練習になります。前掲の画像を参照してください。

 また、形がシンプルなため、観察力や構図の取り方に集中できます。基本的な形を習得することで、複雑なモチーフに挑戦する際の土台を築くことができます。

光と影を学べる「コップやグラス」

 透明なグラスやシンプルなコップは、初心者の人が光と影を学ぶ際に最適なモチーフです。光の反射や影の濃淡を観察しながら描くことで、鉛筆の幅広い表現力を実感できます。

          シャンパングラスの画像です

 特に透明なグラスは、奥行きや透明感を表現する楽しさがあり、初心者の人でも描きやすい題材です。

 尚、グラスを描く際にも、前述しましたように、全体を優しく軽いタッチの4種類の方向からの線で埋めて、光っている部分を「練り消しゴム」で拭き取るやり方もありますので、色々な描き方を試してみましょう。

フルーツや幾何学的な形状、さらには光と影を学べるコップやグラスなど、取り組みやすい題材を選ぶことで鉛筆画の基礎を楽しみながら学べます。

リアルな表現を学ぶための最適な鉛筆画題材の紹介

     第1回個展出品作品 反射 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 モノトーンの鉛筆画でリアルな表現を追求するには、適切な題材選びが重要です。描きやすさだけでなく、光と影、質感、立体感を練習できるモチーフを選ぶことで、初心者の人でも確実にスキルを伸ばすことができます。

 尚、上の作品にもありますが、空き缶や「目玉クリップ」でさえモチーフになりますので、あなたの身の回りには、あなたがその気にさえなれば、モチーフにできるものはいくらでもあるということです。

 本章では、リアルな表現を学ぶのに適切な題材を紹介します。

質感を極める「布や衣服のしわ」

 布や衣服のしわは、鉛筆の線と濃淡を駆使して質感を表現する際に最適な題材です。たとえば、柔らかい布の曲線や光が当たった部分の滑らかさを描き分けることで、物体の質感を学べます。

 さらに、しわの重なり具合や影の付き方を観察することで、よりリアルな描写が可能になります。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 高沢哲明 氏

奥行きを感じる「木の幹や樹皮」

 木の幹や樹皮は、リアルなテクスチャー(質感)の表現に最適なモチーフです。樹皮のザラザラした質感や年輪の細かい模様を鉛筆で再現することで、ディテールの描写力が向上します。

 また、幹の形状や影を描くことで、奥行きや立体感を強調する練習にもつながります。自然物ならではの不規則な模様は、観察力を鍛えるのにも効果的です。

光の反射を学ぶ「金属のスプーン」

 金属のスプーンは、光の反射と濃淡のコントラストを描く絶好の題材です。表面の滑らかさや光沢感を再現することで、リアルな質感表現を習得できます。

       第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 特に光が強く当たる部分と影になる部分の差をしっかり描き分けることで、金属特有のリアリティーを追求するスキルが身につきます。

なかやま

リアルな表現を学ぶには、質感、光と影、立体感を磨ける題材を選ぶことが重要です。布や衣服のしわ、木の幹や樹皮、金属のスプーンといったモチーフを使うことで、鉛筆画のスキルを確実に高められます。

鉛筆画初心者が知っておくべき題材選びのポイント

     第1回個展出品作品 ノスリ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画を始めるにあたって、題材選びはスキルアップを左右する大切なステップです。初心者の人は取り組みやすい題材を選ぶことで、楽しく描きながら自然に基本技術を身につけることができます。

 本章では、初心者の人に適した題材を選ぶ際に意識すべきポイントを解説します。

シンプルな形状から始める

 初心者の人が最初に挑戦する題材は、シンプルな形状を持つものがオススメです。例えば、丸いボールや四角い箱など、形が直感的に理解できるものは描きやすく、光と影の基本的な描写を練習するのに役立ちます。

 複雑なモチーフを選ぶと難しさに圧倒されがちなので、まずは簡単な形状から始めて自信をつけましょう。

 前述していますが、初心者の人が複雑なものを描こうとすると、描き慣れないものを描くわけですから、どうしてもうまくいかずに「イライラ」したり、「落ち込んだり」してしまい、やがて挫折の道をたどることになります。^^

物事には順序がありますので、簡単なものから徐々に慣れていくステップはどうしても必要なのです。

日常で見慣れたものを選ぶ

 初心者の人には、日常生活でよく目にするものを題材にするのがオススメです。例えば、マグカップ、野菜、スマートフォンなど、親しみのあるモチーフは観察がしやすく、形や質感を捉えやすい特徴があります。

 例えば、次の筆者の作品では、自宅にあった野菜類を描いていますが、この場合の描き方では、A4程度の大きさの「黒い下敷き」の上にモチーフを乗せて描くと、きれいに影までが観察できますので、その影までも描いて行きましょう。

 そして、影にはHBで優しく均一にトーンを乗せることによって、実像がしっかりと引き立てられます。この下敷きを使ったきれいな影までも含めた描き方は是非チャレンジしてみてください。いろいろなモチーフで、その効果を楽しめます。

     第1回個展出品作品 野菜 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 見慣れたモチーフを描くことで、観察力を養うと同時に集中して描き進めることができます。

なかやま

普段は、あまり見かけることが少ないようなものを手がけてしまうと、「難しい物に取り組む緊張感」も加わってしまいますので、できるだけ見慣れた簡単なものかな始めることが成功の第一歩です。

挑戦と楽しさを両立できるものを選ぶ

 初心者の人であっても、少しだけ挑戦を感じられる題材を選ぶと、達成感と成長の喜びを得られます。あなたが、5作品ほど自由に何でも描いてみて、ある程度描くことに慣れてこられましたら、難易度を少し上げていきましょう。

 例えば、布のしわや葉脈のある葉っぱなど、少しだけ細部の表現が必要なモチーフを取り入れてみるのです。挑戦しつつも描く楽しさを実感できる題材を選ぶことで、継続して練習することに対するモチベーションも高まります。

鉛筆画初心者の人が題材を選ぶ際には、シンプルな形状、見慣れたもの、そして挑戦と楽しさを両立できるものを基準にすることがポイントです。これらを意識して題材を選ぶことで、無理なくスキルを磨き、鉛筆画を楽しむことができるでしょう。

まとめ: 鉛筆画初心者が知っておくべき題材選びとオススメ10選

       午後の寛ぎ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画初心者の人にとって、適切な題材選びは上達の鍵を握る重要なステップです。題材選びを工夫することで、楽しみながら技術を磨き、モチベーションを保つことができます。

 以下では、これまでの内容を踏まえ、初心者の人に最適な題材と選び方のポイントを簡潔にまとめました。

題材選びのポイント

シンプルな形状を選ぶ
基本的な形を持つモチーフ(球体や立方体など)で光と影を学ぶ。

身近で親しみやすいものを選ぶ
見慣れたモチーフは観察がしやすく、取り組みやすい。

質感を感じられる題材を選ぶ
布や葉っぱなど、鉛筆の濃淡や線を活かして描けるもの。

挑戦と楽しさを両立
少し難しさがありながら、達成感を得られる題材を選ぶ。

初心者の人にオススメな題材10選

  • (1) マグカップ:形がシンプルで影の練習に最適。
  • (2) 卵:滑らかな影の移り変わりを学ぶ。
  • (3) りんご:立体感と細部の観察力を養える。
  • (4) 球体:光と影の基本を理解する練習に最適。
  • (5) 四角い箱:構造を簡単に捉えられ、初心者向け。
  • (6) 布や衣服のしわ:質感と柔らかさを表現する練習に向いている。
  • (7) 木の幹や樹皮:自然物特有のテクスチャーを再現する際の学習に適している。
  • (8) 葉っぱ:葉脈を描き込み、線の表現を学ぶ。ハイライトの隣接部へ濃いトーンを持ってくることでハイライトが引き立ち、金属特有の光沢も再現できる。
  • (9) スプーン:金属の光沢感と反射を描く練習に挑戦。
  • (10) グラスや瓶:透明感と光の屈折を表現する技術を磨ける。ガラス製品特有の「ビシッ」と走っている濃いトーンを入れることが必要。

 初心者の人が鉛筆画を始める際は、シンプルで身近、そして質感や立体感を学べる題材を選ぶことがポイントです。

 ここで紹介した題材を使って、楽しみながら基礎を身につけ、リアルな表現を追求する鉛筆画の世界を堪能してください。

 尚、あなたがこれらのモチーフを使って、5作品ほど描いて「ある程度慣れてこられたら」構図の研究も始めましょう。構図と聞くと「何やら難しい物」と連想しがちでしょうが、構図は簡単なものもたくさんあります。

 あなたが、それらの簡単な構図から順番に取り組みを始めて、そこへどんなモチーフを組み合わせるかを考えることで、モチベーションはマックスに高まります。次から次へとイメージが湧き、毎回の制作ではしっかり楽しめること請け合いです。

 そのためにも、構図の本を一冊購入することをオススメします。そして、そのようにして日々楽しんで制作を進められれば、「公募展への出品」でもしっかりと結果を出せるようになれるはずです。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。