デッサン入門者のための鉛筆選びガイド:特徴や特性と適切な選択方法!

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

         筆者近影 作品「遠い約束Ⅱ」と共に

 さて、鉛筆デッサンの世界へようこそ!鉛筆を選ぶことは、あなたの鉛筆デッサンに大きな違いをもたらします。このガイドでは、鉛筆の硬さ及び特徴から特性、そして、適切な選択方法まで解説します。

 初心者の人から上級者の人まで、誰もが自身に合った鉛筆を見つけられるようになるための情報が満載です。

 それでは、早速見ていきましょう!

Table of Contents

鉛筆の硬度のバリエーション

     第1回個展出品作品 休日 1998 F10 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆デッサンにおいて、鉛筆の選択は極めて重要です。鉛筆の硬さは、ソフトからハードまでさまざまで、それぞれが独特の特性を持ち、異なる描画効果を生み出します。

  本章では、鉛筆の硬さに関する基本知識と、それがどのように作品の表現に影響を及ぼすかを解説します。

 鉛筆の硬度は、通常、HやBのような記号で表され、Hは(ハードと薄さ)を、Bは(ソフト黒ささ)を示します。Hの数値が大きいほど鉛筆は硬く、Bの数値が大きいほどソフトになります。尚、HBは中間の硬さです。

H系統(ハード)鉛筆の特徴と特性

  H系統鉛筆(Hから10Hまで)は、細かい線を正確に描くのに適しており、細密描写の表現に優れています。

 薄く、はっきりとした線を描くことができ、細密描写及び細密な質感や感触の表現に活用されます。

B系統(ソフト)鉛筆の特徴と特性

 ソフト鉛筆(Bから10Bまで)は、濃く深みのある線を描くことができ、陰影技法の表現に適しています。

 滑らかな質感や感触を作り出しやすく、力を入れずとも濃い線が描けるため、大胆な表現に最適です。

なかやま

ステッドラーやファーバーカステルには、11Bや12Bまでの品揃えがありますが、一般的には10H~10Bまでが、大体どこででも購入できます。

鉛筆を選択する際に留意すべき点

  鉛筆の硬さを理解し、それを作品の意図に合わせて選ぶことは、表現の幅を広げる上で非常に重要です。

 B系統のソフト鉛筆は強い影や質感を表現するのに、H系統のハード鉛筆は細かい詳細な線を描くのに適しています。自身の描きたいものに最適な鉛筆を選ぶことで、技術の向上とともに、より魅力的な作品を生み出せることにつながります。
 
 この知識を基に、鉛筆の硬さとその使用方法を探求し、あなたのデッサン技術をさらに発展させましょう。

最初の内は、どの濃度の鉛筆を使ったらよいのかよく分からないと思いますので、まずは制作時の一番初めのデッサンで、全体の輪郭をBや2Bの鉛筆を人指し指・中指・親指で優しく軽くもって描きながら、その鉛筆の濃度を基準にして他の鉛筆の、色合いや描き味を試していきましょう。

鉛筆の硬さによる特性とその効果

     第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

  鉛筆の硬さは、鉛筆デッサンの品質に直接的な影響を与えます。硬さによって、鉛筆は異なる特性を持ち、それぞれが画面上で独自の効果を生み出します。

  本章では、それぞれの硬さがどのように作品に影響を及ぼすのか、そしてどの硬さの鉛筆を選ぶべきかについて解説します。

ハード鉛筆(H系統全般)

 ハード鉛筆(H系統全般)は、細かい線と細密な描写に最適です。Hから10Hまでの鉛筆は、数値が大きくなるに従ってより硬く、薄い線を描くことができます。
 
 これらは細密な作業やテクニカルな描画、輪郭線の「なぞり直す」引き締めにも適しており、繊細な作品を制作する際に重宝します。

ミディアム鉛筆(Bや2B)

 特にBや2Bは、デッサンの基本となる鉛筆です。これらはスケッチブックや紙に、最初に大まかな輪郭のデッサンを施す際に有効です。

 柔らかいうえに、しっかりと濃いめのトーンを乗せることが可能なので、力を入れない優しいタッチで描いても充分描けて、練り消しゴムで整理する際にも簡単に消え、跡もほとんど残らず拭き取れます。

ソフト鉛筆(B系統全般)

 ソフト鉛筆(B系統全般)は、柔らかくて濃い線が特徴です。これらは暗い影及び豊かな質感や感触を描くのに適しています。
 
 Bから10Bまでの鉛筆は、陰影技法やグラデーション(階調)を滑らかに表現することができて、使い方次第では、さまざまな要素を作品に加えることも可能です。これらの鉛筆は、力をあまり入れずに使用することで、簡単に濃淡を調整できます。

適切な濃度や硬さの選択

 鉛筆の硬さを選ぶ際は、描きたい対象や表現したい雰囲気を考慮することが重要です。ハード鉛筆は細かい詳細や繊細な線を必要とする作品に、ミディアム鉛筆は一般的な用途に、ソフト鉛筆は感情的な表現や大胆な陰影技法に、適しています。
 
 鉛筆の特性を理解し、目的に応じて適切な硬さを選択することで、技術の幅を広げ、より表現力豊かな作品を生み出すことができます。

初心者の人にオススメな揃えるべき鉛筆の種類

 初心者の人は、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本があれば、当面制作できるでしょう。ここで重要なことは、同じメーカーの商品で揃えるということです。

 その理由は、メーカーによって濃淡や描き味が微妙に違うからです。描き始めてみて、あなたが、その後も鉛筆デッサンや鉛筆画に取り組む気持ちが高まりましたら、種類の幅を広げていきましょう。

なかやま

筆者の場合には、9Hから8Bまでをステッドラーを中心にして、ファーバーカステルや三菱ユニも使っていますし、9BについてはREXEL CUMBERLANDという鉛筆を、10Hと10Bは三菱ユニを使っています。

鉛筆デッサンに適した鉛筆の選び方

筆者の描画ツール収納ケースの画像です

 鉛筆デッサンをする際に、最も重要な選択の一つは、使用する鉛筆です。鉛筆の種類によっては、作品の雰囲気や質感が大きく変わります。

 本章では、鉛筆デッサンに適した鉛筆を選ぶためのポイントを、初心者の人や経験豊富なアーティストにも理解しやすいように解説します。

鉛筆の硬度を理解して選択する

 デッサン用の鉛筆は、硬さによって異なる特性を持ちます。硬い鉛筆(H系統全般)は細かい線やディテール(詳細)を描くのに適しており、柔らかい鉛筆(B系統全般)は濃い影や幅広い陰影技法に最適です。
 
 一般的な鉛筆デッサンやスケッチに適しているのは、Bや2Bです。作品の主旨や必要な表現技法に応じて、適切な硬度の鉛筆を選ぶことが重要です。

目的に合わせて鉛筆を選ぶ

 鉛筆デッサンや鉛筆画の目的に合わせて鉛筆を選びましょう。例えば、細かいディテール(詳細)や細密な線を要する作品には、H系統の鉛筆が適しています。
 
 一方、濃い陰影及び質感や感触を強調したい場合には、B系統の柔らかい鉛筆が良いでしょう。また、一般的な鉛筆デッサンには、Bや2Bが適しています。

質の良い鉛筆を使う

  鉛筆の質は重要です。質の良い鉛筆は均一な硬度を持ち、折れにくく、長持ちします。また、鉛筆の芯が中心に配置されているので、均等に削れて使いやすいのです。
 
 質の良い鉛筆を選ぶことで、デッサンのプロセスがスムーズになり、より満足のいく結果を得ることができます。

 鉛筆のブランドには、それぞれ特徴があります。いくつかのブランドを試して、自身の描きやすい鉛筆を見つけることをオススメします。  

 アーティストによっては、特定の硬度やブランドの鉛筆を好むことがあります。実際に使用してみて、自身にとって好ましい鉛筆を選ぶことが大切です。デッサンに最適な鉛筆を選ぶことは、表現力を高め、技術を向上させる第一歩です。

硬度、目的、質、そして個人の好みを考慮して鉛筆を選ぶことで、あなたのデッサンがより一層引き立つでしょう。

初心者の人向けのデッサン用鉛筆とは

  鉛筆デッサンを始めたばかりの初心者の人にとって、適切な鉛筆の選び方は、技術向上のための原点となります。

  鉛筆は、鉛筆デッサンの基本的なツールであり、その種類や特性を理解することが重要です。本章では、デッサン用鉛筆の基本に焦点を当て、初心者の人が知っておくべきポイントを解説します。

鉛筆の握り方と使用方法

 適切な鉛筆の握り方を身につけることは、デッサンの基本です。全体的な輪郭を捉える際のデッサンでは、鉛筆を人指し指・中指・親指で「つまむように」軽く持ち、肩や腕を振って描くイメージで描き進みましょう。次の画像を参照してください。

 そして、複数の線を描くうちに、「この線だ」と思える線に出会えますので、輪郭全体を描き終えましたら、練り消しゴムで不要な線を整理して、今度は鉛筆の持ち方を「文字を書く持ち方」に変えて描いていきます。

 この場合には、輪郭線を濃い線ではっきりと描きすぎると、微妙な表現の邪魔になるので注意しましょう。このような時には、それまでの全体の輪郭を描いていた時の鉛筆の濃度よりも、2段階落としたトーンで輪郭を優しく描くべきです。

 具体的には、輪郭線全体を当初2Bで描くとすれば、複数の不要な線を修整後の、モチーフの輪郭を改めて「なぞる」場合には、HBで優しく描くということです。

なかやま

尚、鉛筆の角度や圧力を変えることで、線の太さや濃淡はコントロールできます。そして、筆者はあまりしませんが、鉛筆を寝かせて描くことで変化のある線も描けます。

描き始めたばかりの人は楽しく描くことをまず第一に考えるべし

 鉛筆デッサンを描き始めたばかりの人は、構図や構成などのことは考えずに、描きたいものを描くことが重要です。

 その理由は、色々なことを初めから考えてしまうと、制作が止まってしまいかねないからです。いろいろと描きたいものを最初に描いて、「描くことに慣れる」ことが最重要なのです。

 また、「複雑な形」及び「複雑な模様」や「複雑な咲き姿の花」のモチーフを描くことは止めておきましょう。挫折につながってしまいます。^^

  第1回個展出品作品 トルコ桔梗 1996 F6 鉛筆画 中山眞治

 最初の取り組みでは、立方体・直方体・円筒形・球体などの石膏モチーフを描くことがオススメです。光と影の状態がつぶさに観察できるからです。この場合には、「絵画教室」であれば全てが揃っています。

 尚、自宅でも描きたいということであれば、「白い卵」「白いマグカップ」「白無地のカップ&ソーサー」や野菜・果物・調理器具(両手鍋・片手鍋・フライパン)や食器類(ナイフ・フォーク・スプーン)などがオススメです。

     第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

練習なくして上達はあり得ません

 鉛筆デッサンの技術を向上するためには、練習が不可欠です。線の描き方、陰影技法など、基本からコツコツと学び、日々の練習を積み重ねましょう。

 初心者の人でも、継続的な練習を通じて、徐々に表現力や技術が向上していけます。できれば毎日短時間でも取り組むことをオススメします。

 練習方法についての関連記事は、この記事の最終部分に「鉛筆デッサンで初心者が短時間で上達するための練習方法とコツとは?」の記事のURLを記載しておきましたのでご覧ください。

上級者の人の鉛筆選びでは細密描写と表現力の追求が重要

 上級者の人が鉛筆を選ぶ際は、細密さと表現力の追求が重要なポイントになります。細密描写や高度な表現技術を要する鉛筆デッサンでは、適切な鉛筆の選択が作品のクオリティーを大きく左右します。

  本章では、上級者の人が鉛筆を選ぶ際に考慮すべき要素と、その理由について解説します。

ディテールの描画に適した鉛筆の選び方

 ディテール(詳細)の描写には、H系統の硬い鉛筆が最適です。H~2Hなどの鉛筆は、細かく細密な線を描くことができて、詳細の豊かな表現に寄与します。

 H系統は3H~10Hまでありますが、あなたがこれからも鉛筆デッサンを続けたいと思えるようになられましたら、少しづつ幅を広げていきましょう。それまでは、当初揃えた鉛筆の中で一番薄い鉛筆の2Hをさらに優しく軽く扱うことで当面の制作ができます。

 尚、HとHBの中間の濃度である「F」という鉛筆もあります。硬いH系統の鉛筆よりも若干濃い目で、且、B系統のような濃さを必要としない表現で使うことに適しています。筆者も、割とこの「F」は使うことが多いですが、当初は必要ないでしょう。

 B系統の鉛筆につても同じです。やがて、あなたの決心次第で幅を広げることができます。これらの鉛筆は、紙に軽い筆圧でも線を残せるため、細かい質感及び感触や微細な影の表現に適しています。

表現力を高めるための鉛筆の選択方法

 一方で、表現力を高めるためには、B系統の柔らかい鉛筆も重要です。4B~10Bなどの鉛筆は、深い陰影と豊かなグラデーション(階調)を作り出すことができます。
 
 これらの鉛筆を使用することで、作品に奥行きとリアリズム(写実)を加えることが可能になります。特に、感情的な強弱や質感の表現には、柔らかい鉛筆が欠かせません。

中間硬度の鉛筆は使用頻度が最も高い

 HB~2Bといった中間に近い硬度を持つ鉛筆は、細かさと表現力の橋渡しをする重要なツールです。
 
 これらの鉛筆は、硬い鉛筆と柔らかい鉛筆の中間的な特性を持ち、線の強弱や初期の構図決めにも適しています。また、全体のバランスを取りながら細部を調整する際にも有効です。

個々の制作に合わせた鉛筆の選び方

 上級者の人は、作品ごとに最適な鉛筆を選ぶ能力が求められます。そのためには、さまざまな硬度やブランドの鉛筆を試し、それぞれの特性を理解することが必要です。
 
 作品の意図、表現したいテーマ、デッサンする対象の質感などを考慮し、最も適した鉛筆を選択することが、高度なデッサンを制作する上での鍵となります。
 
 上級者の人にとって、鉛筆は単なる描画ツールではなく、表現力を最大限に引き出すための重要なパートナーです。細密さと表現力を追求する過程で、鉛筆の選択は作品の質を左右する決定的な要素となります。

  ただし、色々な鉛筆をごちゃまぜにして描くことはオススメできません。どこかのメーカーの製品で一通り揃えて、部分的に他のメーカーの製品も試すというスタンスが良いでしょう。

 メーカーによって、「濃さ」が若干異なります。「カリカリとした描き味のステッドラー」や「しっとりとした描き味で濃いめの三菱ユニ」または、「しっとり目の描き味であるも少しだけ濃いめのファーバーカステル」といった具合です。

なかやま

このような理由で、筆者は「ステッドラー」を中心に揃えながら、部分的に他のメーカーの製品も使っています。この3社の製品であれば、どこでも購入できるはずですが、特にどこででも購入できるのは「ステッドラー」です。

各種展覧会や公募展で入選に必要なノウハウ

 鉛筆デッサンや鉛筆画を制作するための、鉛筆の基本を理解し、適切な鉛筆の選び方から始めることで、デッサンの楽しさと奥深さを発見することができます。

 尚、上級者の人は、ある程度制作に慣れているはずですから、作品の魅力を引き出すための「構想を練ること」や「構図の導入」を実践していきましょう。

 また、モチーフがリアルに上手に描けているとしても、それだけでは足りないのです。これらの重要な要素をよく考えることなく公募展へ出品しても、入選できません。

 あなたの制作する画面全体を使い切って、よく構想の練られた、構図を充分に使って魅力を高めた、構成のしっかりした作品でなければ、観てくださる人や審査員の心をつかむことはできないでしょう。

構図は簡単なものもたくさんありますので、簡単なものから順番に、さまざまなモチーフで組み合わせてみましょう。これらの「構想を練る」楽しさが、あなたのモチベーションをマックスまで高めてくれます。

一般的な鉛筆選び間違いの回避方法

 鉛筆選びは、鉛筆デッサンの質に直接影響を与えるため、適切な選択が極めて重要です。しかし、多くのアーティストが一般的な初期の段階で、間違えやすい部分でもあります。

  これらの間違いを避けることで、作品の質を向上させることができます。本章では、鉛筆選びでよくある間違いと、それを回避するためのアドバイスを紹介します。

それぞれ必要になるトーンに見合った鉛筆を選ぶ

 多くの初心者の人は、さまざまな硬度の鉛筆を使い分けることの重要性を見落としがちです。

 同じ硬度の鉛筆だけを使用すると、作品に必要な濃淡や質感の表現が限られてしまうことから、複数の硬度を組み合わせることで、より豊かな表現が可能になります。

 尚、コストを抑えるために、安価な鉛筆を見かけると心が動きますが、質の低い鉛筆はしばしば不均一な芯や、折れやすさといった問題を引き起こします。  
 
 これらの問題は、デッサンのプロセスを中断させ、最終的に作品の質を低下させる可能性があります。少し多く投資しても良質な鉛筆を選ぶことが、長期的にはより良い選択です。

 特に筆者の場合、安価な鉛筆を購入した際に、まともに制作が進みませんでした。具体的にどんな状態だったかといえば、何となく描き味が「画面にひっかかる」ような感じで、画面への鉛筆の乗りも良くありませんでした。

なかやま

こんなことがあってから筆者は、前述しました3社の製品だけを使うことにしています。

作品の制作においては自身に適した鉛筆の選択肢を見つけること

 一部のアーティストは特定のブランドに強いこだわりを持っているようですが、ブランドだけでなく、鉛筆の実際の性能や作品との相性を考慮することは重要です。
 
 さまざまに、異なるブランドの鉛筆を試してみることで、自身にとって最適な選択肢を見つけることができます。

 このように違うメーカーの鉛筆を試す場合には、あなたの多く使う鉛筆の濃度で、他社メーカーの鉛筆を1本買って来て、試してみればよくわかります。

なかやま

筆者は、2Bをよく使うので、他のメーカーの製品を試す場合には、違うメーカーの2Bを買ってきて試しました。その結果、三菱ユニやファーバーカステルを使うようになったということです。

目的に合った鉛筆を選択すること

          午後の寛ぎ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 デッサンの目的やスタイルに合わない鉛筆を選ぶことは、作品の質を大きく損なう可能性があります。
 
 例えば、細かい線を要する部分に柔らかく濃い鉛筆を使用すると、望んだ結果が得られないかもしれません。作品の要求に合った鉛筆を選択することが、成功への鍵です。

 淡いトーンの重要さでは、筆者の上の作品を参照してください。濃いトーンとの組み合わせで、リアルな表現が可能になります。
 
 鉛筆選びでは、これらの一般的な間違いを避けることで、作品の質を向上させることができます。鉛筆の特性を理解し、作品の要求に合わせて適切な選択を行うことが、優れた鉛筆デッサンを生み出す上での基本です。

なかやま

筆者が細密描写でよく使う鉛筆は、2Hや3Hです。ステッドラーで描いていますが、三菱ユニのH系統の鉛筆も素晴らしいです。10Hでも、しっとりとした描き味で、充分なトーンを得られています。

適切な鉛筆の保管とメンテナンス方法とは

筆者の描画材料収納ケースです

 鉛筆は、適切なケアと保管方法でその性能や寿命を最大限に引き出すことができます。

 特に良質な鉛筆や、お気に入りの鉛筆を長持ちさせたい場合には、適切な保管とメンテナンスの方法を知ることは欠かせません。

 本章では、鉛筆を最高の状態で保つための方法を解説します。 

保管場所の選び方

湿度と温度

 鉛筆は湿度が高すぎる場所や、直射日光を避けて保存することが望ましいです。過度な湿度は木材の変形や芯の劣化を引き起こす可能性があります。

安定した場所

 鉛筆は縦に立てて保管するか、平らな場所で横にして保管することが推奨されます。これにより、鉛筆が他の物に圧迫されることを避けることができます。

なかやま

筆者の場合には、100円ショップで買ってきた「B4サイズの書類入れ」に、バンダナを敷いて、その上に鉛筆を乗せています。かれこれ、30年も使っていますが、まだまだ使えそうです。次の画像を参照してください。

鉛筆を削る作業とケア 

定期的に削る


 木材が乾燥したり古くなると、削る作業が困難になる場合があります。定期的に削る作業で、鉛筆の木材を新鮮に保ちましょう。
 
 鉛筆の寿命を延ばすためには、質の良い鉛筆削りを使用することが大切です。これにより、芯の折れや木材の無駄な消耗を防ぐことができます。 

鉛筆が短くなって「鉛筆削りで削れなくなった場合」には、100円ショップで売っている「果物ナイフ」や「カッター」などを使いますが、そのためにも「鉛筆ホルダー」を2~3本買っておくと便利です。2~3cmくらいの長さまで使いきれます。

         筆者の使っている鉛筆削りです

         筆者の使っている鉛筆ホルダーです

鉛筆の汚れや傷を防ぐ 

クリーンな環境

 鉛筆は油や手の汚れに敏感です。描画の際、手が清潔であることを確認し、鉛筆をきれいに保ちましょう。

 専用のケースやホルダー

 鉛筆の傷を防ぐために、専用のケースやホルダーで保管することを推奨します。

 適切な保管とメンテナンスの方法を実践することで、鉛筆は長持ちし、その描写性能を維持できます。大切な鉛筆を大切に扱い、最高の状態での使用を楽しみましょう。
 
 前述しましたように、筆者も使っている「画材ケース」は、100円ショップへ行けばサイズもいろいろ選べて便利です。

8 まとめ

  デッサンにおける鉛筆選びは、アーティストの表現力と作品の品質を左右する重要な要素です。初心者の人から上級者の人まで、鉛筆の硬度、質、そしてブランドを理解し選択することが、デッサンの基本であり、その技術向上への近道でもあります。
 
 硬さの違いによる特性を理解し、作品に必要な濃淡や質感の表現に合わせて鉛筆を選び分けることが、高品質なデッサンを制作する鍵となります。
 
 また、鉛筆選びでよくありがちな一般的な間違いとして、同じ硬度の鉛筆のみを使い続ける、安価な鉛筆を選ぶ、特定のブランドにのみこだわる、合わない鉛筆を選択する等を避けることは、上達への障壁を取り除きます。
 
 質の高い鉛筆にも投資すること、異なるブランドの鉛筆を試してみること、そして何よりも自身のデッサンスタイルや作品の要求に最も合う鉛筆を選ぶ柔軟性を持つことが、アーティスト自身の成長につながります。
 
 この記事では、鉛筆の硬度からその使用法、さらには選択時の一般的な落とし穴まで、デッサンにおける鉛筆選びの全てを包括的に解説しました。
 
 これらの知識を武器に、あなたのデッサンがより一層豊かで深みのあるものになることを願っています。鉛筆だけで始められる無限の可能性を最大限に引き出し、自己表現の新たな境地を開拓してください。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。