全身が崩れる原因がわかる!人物デッサン練習メニュー

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、人物の鉛筆画やデッサンで、顔はそれなりに描けるのに、全身になると急にバランスが崩れてしまう。そんな経験はありませんか?

 全身が崩れる原因は、描写力不足ではなく、身体全体をどう捉え、どこから組み立てているかという設計段階にあります。

 この記事では、人物の鉛筆画やデッサンにおいて、全身が不安定になる典型的な原因を整理したうえで、それを改善するための、具体的な練習メニューを段階的に紹介しましょう。

 感覚に頼らず、軸・比率・動きを意識した練習を重ねることで、全身像の安定感は確実に高まっていきます。

 それでは、早速どうぞ!

Table of Contents

全身が崩れる人物デッサンに共通する原因とは

 人物の鉛筆画やデッサンで、全身を描こうとすると、頭身が合わない、脚が短く見える、立っているはずなのに不安定に感じるなど、さまざまな「崩れ」が一気に表面化します。

 これは、描き込み不足や観察力の弱さが原因ではなく、全身を捉える段階での考え方に共通した問題があるためです。

 本章では、全身が崩れてしまう、人物の鉛筆画やデッサンに見られる代表的な原因を整理し、なぜ同じ失敗を繰り返してしまうのかを構造的に確認していきます。

部分から描き始めてしまうことで全体が破綻する

 全身が崩れる人に最も多いのが、顔や手、服のシワなど、描きやすい部分から描き始めてしまう癖です。

 部分を丁寧に描いているつもりでも、その時点では全身の高さや幅、重心が決まっていないため、後から胴体や脚を足す段階で無理が生じます。

 その結果、脚が短くなったり、肩幅が不自然に広がったりと、全身の比率が破綻してしまうのです。

 人物の鉛筆画やデッサンでは、細部の完成度よりも、最初に全体の枠組みを決めることが重要であり、部分先行は全身崩れの典型的な原因となります。

頭身や比率を感覚だけで処理している

 人物の鉛筆画やデッサンで、全身が安定しない背景には、頭身や各部位の比率を感覚任せで処理してしまっている問題もあります。

 立ち姿一つとっても、頭から足先までの高さ、骨盤の位置、膝や足首の位置関係には一定の規則性があるのです。

 しかし、それを意識せずに描くと、その場の印象だけで長さを決めてしまい、毎回異なる体型になってしまいます。

 これは、才能やセンスの問題ではなく、基準を持たずに描いていることが原因です。全身が崩れる人ほど、比率を測る視点が欠けている傾向があるのです。次の画像を参照してください。

出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 三澤寛志 氏

重心と体の軸を意識していない

 人物が立って見えるためには、重心と体の軸が、適切に捉えられているかどうかに大きく左右されます。

 全身が崩れてしまうデッサンでは、体の中心線が曖昧で、左右のバランスが無意識にずれていることが少なくありません。

 とくに、片足重心や軽い動きのあるポーズでは、軸の傾きと重心の位置関係を捉えられないと、倒れそうな不安定な印象になります。

 形は描けているのに、違和感が残る場合には、多くはこの軸と重心の意識不足が原因なのです。

「動き」を止めたまま形だけを追っている

 全身のデッサンが硬く、崩れて見える人は、人物を静止した物体のように扱ってしまっていることが原因している場合があります。

 人体は、常にわずかな動きと流れを持っており、立っているだけでも肩や骨盤、背骨には自然な傾きがあるのです。

 それを無視して、左右対称に形だけを整えようとすると、不自然でぎこちない全身のデッサンになります。

 全身が崩れる原因は、形の問題だけではなく、人物を「動きのある存在」として捉えられていない点にもあるのです。

 人物デッサンで、全身が崩れる原因は、描写力不足ではなく、全体を組み立てる前段階の考え方にあります。

 部分先行、比率の基準不足、軸と重心の見落とし、動きの無視といった問題が重なることで、全身のデッサンは簡単に不安定になってしまうのです。

 全身が崩れる原因の一つである「線の弱さ」や判断の迷いについては、次の記事でも詳しく整理しています。

 線がかすれる・薄いと感じたら?鉛筆画・デッサンで印象を引き締める方法!

なかやま

次の章では、これらの原因の中でも特に影響が大きい「比率」と「軸」に焦点を当て、全身のデッサンのバランスが崩れる、具体的な仕組みを掘り下げていきます。

比率と軸を見失うことで起こる全身バランスの崩れ

 人物の鉛筆画やデッサンで、全身が崩れて見えるとき、その多くは比率と体の軸が曖昧なまま進んでいることが原因です。

 顔や服の描写以前に、身体全体の比率関係や中心線が整理されていなければ、どれだけ丁寧に描き込んでも不安定さは解消されません。

 本章では、比率と軸を見失ったときに、全身にどのような崩れが生じるのかを具体的に整理していきます。

頭身が安定しないと全身像は毎回別人になる

 全身のデッサンでよく起こるのが、描くたびに頭身が変わってしまう問題です。ある日は脚が長く、別の日は脚が短いといった状態は、最初に全身の高さを決めていないことが原因です。

 人物の鉛筆画やデッサンでは、頭の寸法を基準単位として全体の高さを捉えることで、全身の比率が安定します。

 この基準がないまま描き進んでしまうと、その場の印象で長さを調整してしまい、結果として全身のまとまりを失ってしまうのです。

肩・骨盤・膝の位置関係がずれる理由

 比率の崩れは、単に脚の長短といった問題だけではありません。肩、骨盤、膝といった主要な節目の位置関係が曖昧になることでも、全身が歪んで見えるようになるのです。

 とくに、骨盤の位置を低く描きすぎると、胴が長くなり、逆に高すぎると脚が極端に長くなります。

 全身を安定させるには、これらの節目を縦方向に、整理しながら配置する意識が不可欠です。

体の中心線を描いていないことが崩れを招く

 人物の鉛筆画やデッサンで、軸が不安定な場合には、多くは体の中心線が意識されていません。

 頭から首、胸、骨盤、足先までを貫く一本の軸を想定せずに描くと、左右のバランスが無意識にずれていきます。

 その結果、正面を向いているはずなのに、体がねじれて見えたり、立っているのに傾いているような印象になります。中心線は目立たない要素ですが、全身の安定感を支える重要な基準です。

比率と軸が噛み合わないと動きも不自然になる

 比率と軸が整理されていない状態では、ポーズに動きを加えようとしても、不自然さが残ってしまうのです。

 体を傾けたつもりでも、重心が合っていないと、動きではなく歪みに見えてしまいます。人物の鉛筆画やデッサンでは、比率と軸が整って初めて、自然な動きやリズムが生まれます。

 全身が崩れる人ほど、動きを足す前段階の整理が不足しているケースが多いのです。

 全身のバランスの崩れは、比率と軸を同時に見失っていることから生じます。頭身の基準、主要な節目の位置、体を貫く中心線が曖昧なままでは、全身像は安定しません。

 比率や軸の考え方を、人物以外のモチーフで基礎から確認したい方はこちらも役立ちます。

 毎日10分で変わる!初心者から中級者の鉛筆画・デッサン練習のルーティンとは?

次の章では、こうした比率と軸の問題が、実際のポーズや動きの中でどのように不自然さとして現れるのかを、重心の視点からさらに掘り下げていきます。

動きと重心を無視した人物配置が不自然さを生む理由

 人物デッサンで、全身が崩れて見える場合には、比率や軸が整っていても、どこか落ち着かない印象が残ることがあります。その原因の多くは、人物の動きと重心を意識せずに形だけを配置している点にあります。

 人は立っているだけでも体重移動や傾きを伴っており、その動きを無視すると、全身像は不自然に見えてしまうのです。

 本章では、動きと重心を捉えられていないことで起こる、典型的な崩れ方を整理します。

両足均等に立っている人物はほとんど存在しない

 全身デッサンが硬く見える人の多くは、人物を左右均等に立たせて描いています。

 しかし、実際には、自然な立ち姿の多くは片足に体重が寄り、もう一方の足は補助的な役割を果たしているのです。

 これを無視して左右対称に配置してしまうと、静止したマネキンのようになり、生きた人物らしさが失われます。全身が崩れて見える原因は、形そのものよりも、体重のかかり方を捉えていない点にもあります。

重心の位置を想定していないと倒れそうに見える

 人物が立って見えるかどうかは、重心が足裏のどこに落ちているかを想定できているかで決まるのです。

 重心が両足の中央にあるのか、片足に寄っているのかを考えずに描くと、体は宙に浮いたような不安定な印象になります。

 とくに、上半身を傾けたポーズでは、重心の移動を考慮しないと、倒れそうな全身像になりやすくなります。重心は見えませんが、全身の安定感を左右する重要な要素です。次の画像を参照してください。

動きの方向と体の流れが一致していない

 人物の鉛筆画やデッサンでは、動きの方向と体全体の流れが一致している必要があります。

 顔は横を向いているのに、胴体が正面を向いていたり、肩の傾きと骨盤の傾きが噛み合っていなかったりすると、全身はちぐはぐな印象になるのです。

 これは、部分ごとに形を追ってしまい、動きの主軸を意識していないことが原因です。全身が崩れる人ほど、どこへ向かって動いている人物なのかを決めずに描いています。

静止画として捉えすぎることで動きが失われる

 人物を、止まった物体のように扱ってしまうと、全身デッサンは硬直します。実際の人体は、立っているだけでも呼吸やわずかな揺れを伴っており、その動きが全身に反映されています。

 これを無視して、左右対称や直線的な配置にまとめると、不自然さが強調されてしまいます。動きとは、大げさなポーズのことではなく、体全体に通る緩やかな流れを意識することが重要です。

 動きと重心を無視した人物配置は、全身を不自然で不安定な印象にしてしまいます。左右均等な立ち姿、重心の想定不足、動きの方向性の欠如が重なることで、形は合っていても違和感の残るデッサンになってしまいます。

 動きや重心の問題を含め、練習全体の流れの中でどこを強化すべきかを整理したい場合は、次の記事も参考になります。

 初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップ 

なかやま

次の章では、これまで整理してきた原因を踏まえ、全身を安定させるための具体的な人物の鉛筆画やデッサンの練習メニューを紹介していきましょう。

全身を安定させるための人物の鉛筆画やデッサンの練習メニュー

 ここまでで整理してきましたように、人物の鉛筆画やデッサンで全身が崩れる原因は、比率・軸・重心・動きといった土台部分に集中しています。

 したがって、改善のためには描き込み量を増やすのではなく、全身を組み立てる力を集中的に鍛える練習が必要です。

 本章では、全身の安定感を高めることを目的とした、段階的な人物の鉛筆画やデッサンの練習メニューを紹介します。

最初に全身の高さと枠を決める練習

 全身デッサンでは、描き始める前に、必ず人物全体の高さを決める練習が重要になります。

 スケッチブックや紙の中で、人物がどこからどこまで入るのかを最初に意識して、頭から足先までの範囲を軽く示します。この段階では細部を描かず、全身が収まる枠を作ることだけに集中しましょう。

 この練習を繰り返すことで、毎回頭身が変わってしまう問題を防ぎ、全身像のスケール感を安定させることができます。

頭身と主要ポイントを先に配置する練習

 次に行うべきは、頭身を基準に肩、骨盤、膝、足首といった、主要な節目を先に配置する練習です。

 これらのポイントを縦方向に整理してから、胴体や脚の形を肉付けしていきます。この工程を省いてしまうと、後から修整が効かなくなり、全身が歪んでしまいます。

 人物の鉛筆画やデッサンでは、形を描く前に位置関係を決める意識が、全身安定の鍵になるのです。

体の中心線と重心を意識したクロッキー

 全身を安定させるためには、体の中心線と重心を同時に意識する、クロッキー(※)の練習が効果的です。

 短時間で人物の中心線を描き、どちらの足に体重がかかっているのかを判断します。この段階では形の正確さよりも、軸と重心の関係を捉えることを優先します。

 線は荒くても構わないので、重心が足裏に自然に落ちているかを、確認しながら描くことが重要です。

※ クロッキーとは、速写(速写画)と言い、対象を素早く描画すること、またはそうして描かれた絵そのものを指します。スケッチ(写生)とも言いますが、特に短時間(10分程度)で描かれたものをクロッキーと称します。

動きの流れを一本の線で捉える練習

 最後に取り入れたいのが、人物全体の動きを一本の流れとして捉える練習です。頭から背骨、骨盤、脚へと続く流れを一本の線で意識し、その流れに沿って全身を配置しましょう。

 この練習により、人物を静止した物体としてではなく、動きのある存在として捉える感覚が養われます。

 全身が崩れる人ほど、形を描く前に動きを決める工程が不足しているため、この練習は非常に有効です。

 全身を安定させる人物デッサン練習では、描き込みよりも組み立ての精度が重要になります。全身の枠を決め、頭身と主要ポイントを整理し、中心線と重心、動きの流れを意識することで、全身像は大きく安定します。

 人物デッサン以前に、練習の組み立て方そのものを見直したいと感じた場合は、次の記事も参考になります。

 鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイド

 

次の章では、これらの練習効果を定着させ、自己チェックにつなげるための確認と見直しのポイントを解説していきましょう。

練習効果を定着させるための確認と見直しのポイント

 人物の鉛筆画やデッサンの練習で、「描いている時間」は確保できていても、全身の崩れがなかなか改善されない人は少なくありません。

 その原因の多くは、描いた後の「点検」と見直しが、曖昧なまま終わっている点にあります。

 全身デッサンは、描きっぱなしでは安定せず、どこが良くてどこが崩れているのかを整理する工程が不可欠です。

 本章では、練習効果を確実に定着させるための、「点検」と見直しの視点を詳しく整理します。

描き終えた直後に全身を一度「離れて見る」

 全身デッサンを描き終えましたら、まず行いたいのが、スケッチブックや紙から2~3メートル距離を取って全体を見ることです。描いている最中は部分に集中しやすく、全身の歪みに気づきにくくなるからです。

 離れて見ることで、頭身の違和感、傾きすぎた軸、不自然な脚の長さなどが、浮き彫りになります。

 この段階では、細部の出来には構わずに、全身のシルエットと安定感だけを確認することが重要です。

比率・軸・重心を言葉で説明できるか確認する

 練習効果を定着させるためには、感覚的に「なんとなく描けた」で終わらせないことが重要です。

 描いた人物について、頭身は何頭身か、体の軸はどこを通っているか、重心はどちらの足に乗っているかを言葉で説明してみます。

 言語化できない部分は、理解が曖昧なまま描いている可能性が高く、次回も同じ崩れを繰り返しやすくなるのです。

失敗作を捨てずに比較材料として残す

 全身が崩れたデッサンほど、早く処分したくなるものですが、練習段階ではあえて残しておくことも重要です。

 数日後、あるいは数週間後に見返すことで、当時は気づけなかった問題点が見えてきます。

 また、少し安定してきたデッサンと並べて比較することで、自身がどこを改善できたのかを具体的に把握できます。比較は成長を実感するための重要な材料になるのです。

毎回すべてを直そうとしない

 確認作業で陥りやすいのが、すべての問題点を一度に直そうとすることです。全身デッサンでは、比率、軸、重心、動きなど複数の要素が絡み合っています。そのため、一回の練習で一つのテーマに絞って確認する方が効果的です。

 今日は比率、次は重心、といったように焦点を限定することで、練習の質が高まり、全身の安定感が段階的に向上します。

 人物の鉛筆画やデッサンで、全身を安定させるためには、描く時間と同じくらい、確認と見直しの時間が重要になるのです。

 全体を離れて見る、比率や軸を言語化する、過去作と比較する、確認ポイントを絞るといった習慣を取り入れることで、練習効果は確実に定着していくでしょう。

なかやま

これらを継続することで、全身が崩れる状態から一歩ずつ脱却できるようになれます。

練習課題(3つ)

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題をよういしました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

全身の枠と頭身を先に決める構成練習

内容

  • 立ちポーズの人物をモチーフにする。
  • 最初に、スケッチブックや紙の中で、「頭から足先までの高さ」を線一本で決める。
  • 頭を基準にして、おおよその頭身(例:6〜8頭身)を区切る。
  • この段階では顔・手・服の細部は一切描かない。

目的


 全身が崩れる最大要因である、「描き始めのスケール不安定」を防ぎ、毎回同じ大きさ・比率で人物を収める感覚を養う。

ポイント

  • 全身が、スケッチブックや紙からはみ出していないか。
  • 脚が、後から無理に付け足されたようになっていないか。
  • 全体を俯瞰して見たときに、安定して見えるか。

      参考画像です

中心線と重心を意識した全身クロッキー

内容

  • 片足重心の、立ちポーズを選ぶ。
  • まず、頭から足先まで体を貫く中心線を一本描く。
  • 次に、どちらの足に体重がかかっているかを意識して描く。
  • 制作時間は、1枚5〜10分程度でOK。

目的


 形よりも、体の軸と重心の関係を優先して捉える力を身につける。

ポイント

  • 重心が、足裏に自然に落ちているか。
  • 軸が途中で折れたり、蛇行していないか。
  • 倒れそうな印象になっていないか。

     参考画像です

動きの流れを一本で捉える全身ラフ

内容

  • 軽く動きのある立ち姿や、歩行途中のポーズを選ぶ。
  • 頭から背骨、骨盤、脚へ続く「動きの流れ」を一本の線で表す。
  • その流れに沿って、全身のボリュームを配置する。
  • 左右対称を避け、自然な傾きを意識する。

目的


 人物を静止した形ではなく、動きのある存在として捉える感覚を養う。

ポイント

  • 動きの方向が、全身に統一されているか。
  • 肩と骨盤の傾きに、リズムがあるか。
  • 硬直した印象になっていないか。

      参考画像です

まとめ

 人物の鉛筆画やデッサンで、全身が崩れてしまう原因は、描き込み不足や観察力の問題ではなく、描き始めの段階で全体構造をどう捉えているかにあります。

 顔や手といった部分から描き始めたり、頭身や比率を感覚だけで処理したりすると、後から修整が効かなくなり、全身像は簡単に破綻してしまうのです。

 また、体の軸や重心、動きの流れを意識しないまま形を追うことで、立っているはずの人物が不安定に見えたり、硬直した印象になったりします。

 この記事で整理してきましたポイントは、全身デッサンを安定させるための「順序」と「点検や確認」にあります。最初に全身の枠と高さを決め、頭身を基準に主要な節目を配置することで、比率は大きく崩れにくくなるのです。

 さらに、体を貫く中心線と重心の位置を意識することで、人物は自然に立ち、動きのある存在として捉えられるようになれます。

 動きの流れを、一本の線として捉える練習は、形に頼らず全身をまとめる感覚を養ううえで非常に有効です。

 加えて重要なのが、描いた後の「点検」と見直しです。全身を少し離れて眺め、比率・軸・重心を言葉で説明できるかを確認することで、感覚任せの練習から脱却できます。

 失敗作を比較材料として残し、毎回すべてを直そうとせず、テーマを一つに絞って確認することで、練習効果は確実に定着していくのです。

 この記事の要点を整理すると、次のようになります。

  • 全身が崩れる原因は、「部分先行」「比率基準不足」「軸と重心の見落とし」にある。
  • 描き始めに、全身の枠と頭身を決めることで、全体は安定しやすくなる。
  • 中心線と重心を意識することで、立ち姿や動きが自然に見える。
  • 動きの流れを線一本で捉える練習は、全身の構成力を高める近道になる。
  • 描いた後の「点検」・言語化・比較が、上達を定着させる鍵になる。

 全身のデッサンは、一度で完璧に描けるようになるものではありませんが、適切な順序と「点検」を積み重ねることで、崩れにくい土台は確実に身についていきます。

 今回紹介しました練習メニューと、見直しの視点を継続しながら、自身の全身のデッサンがどこで安定し、どこで崩れているのかを客観的に捉えていくことが、次のステップへの確かな足がかりとなるはずです。

 全身構成を整えたあと、作品としての完成度をさらに高めたい場合は、次の記事もあわせて参考にしてみてください。

 下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツ

 ではまた!あなたの未来を応援しています。