鉛筆デッサンで初心者がリンゴを描くための簡単なコツとポイント!

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

          筆者近影 作品「黄昏」と共に

 さて、鉛筆デッサンは、初心者の人でも気軽に始められるアートのひとつです。その中でもリンゴは、形がシンプルで練習に最適なモチーフです。

 この記事では、初心者の人がリンゴを描く際に押さえておくべきポイントを丁寧に解説します。形の取り方や光と影のつけ方など、リアルなリンゴを表現するための具体的なコツを紹介していきます。

 また、失敗しやすい点とその解決方法もあわせて解説しますので、初心者の人でも安心してチャレンジできます。鉛筆デッサンの基本を学びながら、リンゴを美しく描いてみましょう。

 それでは、早速どうぞ!

リンゴを鉛筆デッサンする魅力と初心者におすすめの理由

 鉛筆デッサンにおいて、リンゴは初心者の人に最適なモチーフです。その理由は、シンプルな形状と多彩な表現が可能な点にあります。

 さらに、リンゴは身近な果物であるため、手に入りやすく、観察する対象としても最適です。本章では、リンゴを鉛筆デッサンする魅力と初心者にとっての利点を解説します。

シンプルな形状で練習しやすいモチーフ

 リンゴは丸みを帯びた基本的な形状を持ち、複雑な構造を避けて練習することができます。初心者の人が、デッサンを始める際に重要なのは、形を正確に捉える観察力を養うことです。

 リンゴのような単純なモチーフは、細部にとらわれず、大きな形を掴む練習に最適です。

光と影で表現力を高める絶好の対象

 リンゴの表面は、光を受けることで柔らかなハイライトが生まれ、影の部分では深みのある陰影ができます。

 この光と影のコントラスト(明暗差)は、鉛筆デッサンの基礎であるトーンの練習に最適です。さらに、リンゴの丸みを表現することで、立体感を出す技術も習得できます。

色に左右されず質感に集中できるモノトーンのデッサン

 モノトーンの鉛筆デッサンでは、色の違いに気を取られず、形や質感に集中することができます。リンゴの滑らかな表面や小さな凹凸、茎の質感も描くことで、鉛筆ならではの豊かな表現力を養えます。

 初心者の人にとって、質感を描き分ける練習は重要なスキルのひとつであり、リンゴはそのシンプルさと奥深い表現の幅広さから、初心者の人にとって理想的なモチーフと言えます。

なかやま

形、光と影、質感といった基本的な要素を楽しみながら学べるので、鉛筆デッサンを始めたい人はぜひ挑戦してみてください。

初心者向け!リンゴの形を簡単に捉えるための基本テクニック

 リンゴを鉛筆デッサンで描く際に、初心者の人が最初に直面するのは形を正確に捉えることです。

 リンゴは単純な形状に見えるものの、丸みやくぼみなど微妙な特徴があり、それらを正確に再現するには観察力と基本テクニックが必要です。

 本章では、リンゴの形を簡単に捉えるための具体的な方法を解説します。

アウトライン(輪郭)を描く前に観察を深める

 鉛筆デッサンを始める前に、リンゴをさまざまな角度から観察して特徴を把握しましょう。

 特に、輪郭の微妙な歪みや茎の位置、リンゴ特有のくぼみ(頂部のへこみ)をよく確認します。

 この観察段階を丁寧に行うことで、描き始めた後の修整が減り、スムーズに進められます。

シンプルな形に置き換えて捉える

 複雑な形を描く際は、まず最初は大雑把な形に置き換えることが効果的です。リンゴの場合、基本の形は球体に近いですが、完全な円ではありません。

 最初に優しく軽い線で楕円や円を描き、その上にくぼみや膨らみを加えていくと制作しやすいです。その状態でよく観察しながら、徐々に柔らかいタッチで正確な形状に修整していきます。

プロポーションとバランスを確認しながら描く

 リンゴのデッサンでは、全体のプロポーション(比率)とバランスを意識することが重要です。例えば、茎がある位置や大きさを全体の輪郭に対して、どの程度の割合で配置するかを考えます。

 描き始めた後も、時々絵から離れて全体を確認し、左右のバランスや形状が自然に見えるかチェックする習慣をつけましょう。

 初心者の人がリンゴを鉛筆デッサンする際に、形を正確に捉えることは基礎スキルを磨く絶好の機会になります。

観察、大雑把な形に置き換える、比率確認という3つのテクニックを実践すれば、リアルなリンゴの形を簡単に描けるようになれます。これらを日々の練習に取り入れて、確実なスキルアップを目指しましょう。

光と影を使ってリアルなリンゴを描く方法

 鉛筆デッサンでリンゴをリアルに描くためには、光と影の使い方が重要なポイントです。

 光源の位置・角度・長さ・濃さを正確に表現することで、リンゴに立体感とリアリティーを与えることができます。本章では、光と影を使ってリアルなリンゴを描くための具体的な方法を解説します。

光源を確認して明暗の位置を明確にする

 鉛筆デッサンを始める前に、光源の位置を明確に確認しましょう。

 リンゴを一定方向から光を当てた状態で観察し、明るい部分(ハイライト)、中間トーン、暗い部分(シャドウ)がどのように分布しているかを確認します。光源の位置を理解すると、自然な立体感を描く基準ができます。

トーンのグラデーションで立体感を演出する

 鉛筆の濃淡を使って、リンゴ表面の滑らかなグラデーション(階調)を表現しましょう。ハイライト部分は紙の白さを活かし、シャドウ部分は濃い鉛筆で深みを出します。

 その間に中間トーンをスムーズに繋げることで、丸みや立体感が生まれます。筆圧を調整しながら丁寧に描き進めることがポイントです。

 それ以外の描き方として、リンゴの輪郭を取り、良く点検をして「これでよい」と思えた状態から、HB等の鉛筆の優しい軽いタッチで、リンゴ全体に縦横斜めの4通りの方向からの線で面を埋め、ハイライト部分を「練り消しゴムで抜く」方法もあります。

 筆者は、この手法での制作が多いのですが、「練り消しゴムで抜いた」あとは、それぞれに必要なトーンを施していけばよいので簡単です。この手法は、ガラスのビンや花瓶などにも応用できますし、花芯の雄しべや雌しべなどの複雑な制作にも使えるので便利です。

 尚、4方向からの線で面を埋める手法をクロスハッチングと言いますが、描きにくい方向の線は、スケッチブックや紙を90°回転させれば問題なく描けます。

反射光と影の形状を描き加える

 リアルなリンゴを描くためには、直接光が当たらない部分にも注意を払いましょう。リンゴの暗い部分には、周囲からの反射光がほんのり見えることが多いのです。次の画像の中の反射光の位置を確認してください。

 この微妙な明るさを表現すると、より自然な仕上がりになります。また、リンゴの下に落ちる影(キャストシャドウ)の形状や濃さも正確に描き加えることで、全体のリアリティーが向上します。

 光と影は鉛筆デッサンにおいて、リンゴをリアルに描くための鍵となります。光源の設定、トーンのグラデーション、反射光と影の表現を意識することで、立体感と深みのある作品が完成します。

なかやま

これらのテクニックを練習し、魅力的なリンゴのデッサンに挑戦しましょう!

よくある失敗例とその解決策:リンゴデッサンで注意すべきポイント

 初心者の人がリンゴを鉛筆デッサンする際、気をつけるべき誤りがあります。これらの誤りは作品の完成度を下げる要因になりがちですが、解決策を理解すれば回避できます。

 本章では、よくある誤りの例とその具体的な対策を解説します。

誤り例1: リンゴの形が歪んでしまう

原因: リンゴの輪郭を描く際に、全体のバランスやプロポーション(比率)を確認せずに描き進めてしまうことが多いようです。また、観察不足により、リンゴ特有の丸みやへこみが正確に描けていない場合もあります。


解決策: 描き始める前に、リンゴ全体の形をよく観察し、軽い線でガイドライン(補助線)を描きます。楕円や円を基本形として描き込み、そこから調整を加えると歪みを防げます。また、輪郭のデッサンが出来上がりましたら、一旦休憩を入れましょう。

 休憩後に、少し離れたところから眺めたりすることも含めて、改めて点検することが必要です。筆者も毎回このひと手間を必ず入れます。この段階で修整点が2~3ヶ所見つかるはずです。

 勢い込んで、このひと手間を怠ってしまうと、ある時点で修整が必要になっても、修整が難しくなったり、修整できても画面が汚れてしまうことがあるので、描き始めた出だしでの点検は重要なのです。

誤り例2: 光と影のコントラストが弱い

原因: 光源や陰影を意識せず、全体的に均一なトーンで描いてしまうと、立体感がなく平坦な印象になります。


解決策: 光源の位置を確認し、明るい部分と暗い部分をしっかりと描き分けましょう。特にハイライトは、紙の白さを活かすことで鮮明に表現できます。また、影の部分には濃い鉛筆を使い、グラデーション(階調)を作ることを意識してください。

 滑らかなグラデーションは、ティッシュペーパーを小さくたたんで擦ったり、綿棒や指で作ることができますが、擦筆(さっぴつ)という専用の道具もあります。

             擦筆の画像です

誤り例3: 質感が表現できていない

原因: リンゴの滑らかな表面や茎の質感が均一に描かれてしまい、リアリティーが失われていることがあります。これは細部への観察が不足している場合に起こりがちです。


解決策: 質感を描くためには、リンゴの表面にある微細な凹凸や茎の繊細な部分に注目しましょう。鉛筆のタッチを使い分けることで、滑らかさやザラザラ感を表現できます。たとえば、柔らかいタッチでリンゴの表面を描き、より強い筆圧で茎を描くと効果的です。

 リンゴデッサンでの失敗例を理解し、それぞれに適切な解決策を実践することで、初心者でも質の高い作品が描けるようになれます。

形の歪み、光と影のコントラスト(明暗差)不足、質感の表現不足を克服して、リアルなリンゴデッサンに挑戦しましょう!

リンゴのデッサンを完成させる仕上げのコツと応用テクニック

 鉛筆デッサンで描いたリンゴを完成させるためには、仕上げの段階で細部に注意を払い、作品の完成度を高めるテクニックを取り入れることが重要です。

 本章では、仕上げのコツと応用テクニックを解説し、作品をワンランク上に引き上げる方法を紹介します。

細部の調整でリアリティーを向上させる

 仕上げでは、全体のバランスを確認した上で細部に注目しましょう。


 リンゴのくぼみや茎の接続部分、表面の微妙な反射光など、細かいディテール(詳細)を追加することで、リアリティーが格段に上がります。

 描き込みすぎないように注意しつつ、適度な線やトーンで表現すると自然な仕上がりになります。

境界線を柔らかくして立体感を強調する

 硬い線を避け、柔らかい境界を意識することで立体感を強調できます。


 リンゴの輪郭や光と影の境目に対して、ティッシュペーパーを小さくたたんで軽く擦ることで、滑らかなグラデーションが生まれます。また、綿棒や指でも代用できますし、専用の擦筆もあります。

 ただし、ぼかしすぎると平坦な印象になってしまうため、強調したい部分はシャープな線を残すようにしましょう。

応用テクニックで背景を活用する

 リンゴを引き立たせるために、簡単な背景を加えるのも効果的です。次の作品はすでに冒頭で紹介していますが、この作品では「黄金分割」という構図を使っています。

         林檎 2018 F3 鉛筆画 中山眞治

 あなたが5作品ほど描き進んで、描くことに「ある程度慣れて」こられましたら、作品の見映えを高めることのできる構図も研究しましょう。

 構図と聞くと「何か難しい物」と聞こえてしまうかもしれませんが、簡単なものをたくさんありますので安心してください。^^

 絵画作品は、どんなにモチーフが上手に描けていても、それだけでは公募展で入選できません。画面全体を使って「より見映え」のする、あなたの感動や強調したい点を表現する際には必ず必要になりますし、各種公募展へ出品時には必須です。

 つまり、あなたの描きたいモチーフなどで、今回の場合であればリンゴになりますが、上の作品のりんごの位置は、画面横の黄金分割線⑤に中心を置いた配置にして、画面上のB⑥F⑦で仕切られた部分を外へ続く「抜け」(※)にしています。

 このように、構図を取り入れることで、あなたの地元の市展・県展・全国公募展などでの入選率が高まりますので、是非あなたも構図のたくさん載っている本を一冊購入しましょう。

 その簡単な構図から始めて、あなたの描きたいモチーフをさまざまに組み合わせていければ、あなたはその楽しさにはまってしまうでしょう。モチベーションマックスで進んでいければ、上達は目の前です。筆者もそのようにして進んできました。^^

 構図の簡単なものについての関連記事は、この記事を最終部分に掲載してありますので、関心のある人は参照してみてください。


 また、テーブルの質感や布の陰影を軽く描き加えることで、リンゴが置かれている状況を表現できます。背景が加わることでリンゴの存在感が増し、全体の完成度も高まります。

 そして、背景はシンプルに抑え、リンゴが主役であることを意識してください。上の作品では、主役のリンゴが目立つように、「抜け」にはトーンを加えて主役が目立つようにしています。

※ 抜けとは、外部に続くイメージを作品に入れることで、観てくださる人の「息苦しさ」を解消できる効果があります。

なかやま

リンゴのデッサンを仕上げる際には、細部の調整や境界線の工夫、背景の活用といったテクニックを取り入れることで、作品に深みとリアリティーを与えることができます。

まとめ

 鉛筆デッサンでリンゴを描く際には、観察力や基本的なテクニック、仕上げの工夫が重要です。以下に、これまでのポイントを総合的に整理して解説します。

リンゴを描くための準備と基本の観察

  • 光源の位置を確認して、明暗の分布を明確にする。
  • リンゴをシンプルな形(円や楕円)で大雑把に捉えて、全体のバランスを掴む。
  • くぼみや茎の位置、表面の微妙な特徴をしっかり観察する。

形や光と影を描く基本テクニック

  • アウトライン(輪郭)は軽い線で描き、徐々に修整して完成形に近づける。
  • ハイライト、中間トーン、シャドウを滑らかに繋ぐグラデーション(階調)を意識する。
  • 光と影を使って、立体感を出すように描く。特に反射光やキャストシャドウを活用する。

初心者が避けるべき誤りとその対策

  • 誤り例: 形が歪む → シンプルなガイドラインを活用。
  • 誤り例: 光と影のコントラスト不足 → ハイライトとシャドウを強調する。
  • 誤り例: 質感が表現できない → 表面の凹凸や茎の質感を描き分ける。

仕上げで作品を完成させるコツ

  • 輪郭や影の境界を柔らかくぼかして、自然な立体感を演出する。
  • 細部(茎、くぼみ、反射光)のディテール(詳細)を追加し、リアリティーを向上させる。
  • 必要に応じてシンプルな背景を加え、リンゴの存在感を引き立てる。

 鉛筆デッサンでリンゴを描く際には、基本的な形の把握、光と影の効果的な活用、細部へのこだわりが重要です。

 これらのポイントを踏まえて練習を重ねることで、初心者の人でもリアルで魅力的なリンゴのデッサンを完成させることができます。

なかやま

 ぜひ以下のステップを実践してください!

 観察 → 大雑把に形を捉えてデッサン → 光と影の表現 → 仕上げと背景の工夫

 これを繰り返すことで、デッサンスキルを確実に向上させることができます。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。