こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に
さて、鉛筆画中級者の人にとって、表現力を次のレベルに引き上げる鍵は「描かないこと」にあります。
静けさや余韻を感じさせる作品は、多くの場合、意図的に余白を活かした構図によって生み出されていることが多いものです。
この記事では、余白を効果的に使い、画面に静寂や深みを与えるための、5つの構図テクニックをご紹介します。
描きすぎを避け、視線誘導や空気感を演出する方法を具体的に学びながら、鉛筆画における構成力と表現力を強化していきましょう。
それでは、早速どうぞ!
主題(主役や準主役)を引き立てる構図の活用と余白の配置法
静けさを演出するためには、画面のどこに「描かない領域=余白」を置くかが極めて重要です。次の作品を参照してください。

第3回個展出品作品 灯の点る窓辺の静物 2022 F10 鉛筆画 中山眞治
本章では、主題の魅力を最大限に引き立てるための、余白の配置方法について解説します。
鉛筆画中級者の人が構図を研究すべき理由
あなたは、今まで鉛筆画の制作を続けて来て、「毎回同じような画風になってしまう」「作品全体のまとまりが悪く感じる」「もっと見映えのする作品にしたい」と感じたことはありませんか?
構図とは、先人の築き上げてきた美の構成に裏打ちされた、バランス・緊張感・力強さ・躍動感などを伝えることができる技術です。
構図は、作者とすれば「作品の魅力をより一層引き出せる技術」である反面、観てくださる人からすれば「見映えのする作品」に仕上げるための、重要なノウハウと言えます。
構図については、この記事の最終部分に関連記事「初心者でも簡単!プロが教える鉛筆画の構図の取り方やコツとポイント」を掲載していますので、関心のある人は参照してください。
3分割構図で余白に意味を持たせる
基本構図として有効なのが、縦横に画面を3分割して考える方法です。
主題を中央ではなく、左右いずれかの3分割線上に配置することで、視線の流れとともに生まれる余白に意味が宿ります。
このとき、余白が単なる空間ではなく、主題(主役や準主役)を包み込む「静けさの背景」として機能します。何もない空間が視覚的な呼吸となり、観てくださる人に心理的な余裕を与えられるのです。次の画像群を確認してください。
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因みに、3分割構図基本線の使い方では、⑤や⑥を主役や準主役の中心に据え、⑦を地平線や水平線に見立てることで、大地や海原の広さを表現できますし、⑧の位置に据えると空間の広がりを表現できます。
勿論、机やテーブルの高さに見立てることで、静物画の制作に活用することもできます。次の、連続画像を参照してください。

下に続いていく画像では、3分割構図基本線を使いながら、3つのモチーフで3角形を構成しています。

- 黄色の線:3分割構図基本線
- 緑色の線:3分割線
- 青色の線:「抜け(※)」に使うための線
- ピンク色の線:モチーフで3角を構成する線
※ 「抜け」とは、制作画面内に外部へつながる部分があると、観て下さる人の画面上の息苦しさを解消できる効果があります。

ミヒカリコオロギボラのある静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
左右対称のモチーフの取り扱い
制作画面のモチーフが、上下または左右がほぼ対称になるシンメトリーな構図は、 きれいに整った印象を与え、静寂感や安定感のある画面になります。
静物画や人物画の他にも、大きな建築物や、自然の風景などに使うと効果的な構図になります。次の画像のような、シンメトリーなモチーフです。

また、制作画面の寸法上の中心点へ、モチーフの中心を重ねてしまうと動きが止まってしまうので注意が必要です。
モチーフを片側に寄せ、反対側を大胆に空けることで、視線は自然に主題のモチーフへと導かれつつ、空白により心地よい余白が画面に広がります。次のような感じです。

たとえば、静物を左下に配置し、右上に空間を持たせれば、斜めに視線が流れる構成となり、落ち着きと広がりを同時に表現できます。
上部または下部に余白を設けるときの注意点

第3回個展出品作品 坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
画面の上下に余白を多くとると、空気の層や静かな空間の広がりを演出できますが、配置バランスを誤ると、画面が不安定に観える場合があります。
たとえば、主題のモチーフが小さく画面下部に寄りすぎると、間延びした印象になってしまうのです。
余白を活かすためには、その空間に対する主題の存在感がしっかりしていなければなりません。上下配置では、主題のモチーフの重さや面積にも注意が必要です。
視線誘導のゴールとして余白を使う

坂のある風景Ⅱ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治
余白を、画面のゴール地点に設定するという構成法もあります。
主題のモチーフからスタートした視線が、流れの中でたどり着く先に何も描かれていない領域があることで、余白が終点のような役割を果たします。
このテクニックにより、視覚的に完結した安心感が生まれ、静けさの印象が強まります。構図の流れを意識し、余白を意図的に「導かれた結果」として設計すると、より深い静けさが感じられます。
余白を単なる「空白」と捉えるのではなく、主題のモチーフの静けさや存在感を最大限に引き出すための、「視覚的な演出領域」として活用できることを記憶しておきましょう。
描かない勇気と描く構図意識

水滴Ⅵ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
画面全体に、細かく描き込むほど完成度が高く観えるという誤解は、鉛筆画中級者の人にとって大きな落とし穴です。
本章では、静けさを表現するためには、「あえて描かない」という選択が不可欠であり、その空間が観てくださる人の想像力を引き出す、仕掛けにもなる点について解説します。
描写密度に緩急をつける

邂逅Ⅰ 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
すべてを均等に描写すると、画面が単調になり、視線の集中ポイントが生まれません。
主役や準主役のモチーフの周囲や、焦点となる部位はしっかり描き込み、それ以外はあえて描き込まない、もしくはごく軽い陰影で済ませることで、自然と目線が主役や準主役へ誘導されます。
この緩急が、画面に動きの余地を残し、余白との対比によって静けさが際立つ効果を生むのです。
描かない部分の「意味」を設計する
描かない空間が無意味に存在すると、ただの描きかけや未完成に観えることもあります。
そのため、描かない部分が「光が届いていない静かな領域」「霧に包まれた空気」など、情景として意味を持つよう構成することが大切です。次の作品では、空白を朝霧として表現しています。

国画会展 入選作品 誕生2008-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治
空白に意味を込める意識が、静寂を表現する構図を支えます。
主観的な距離感で静けさを表現する

誕生2020-Ⅰ F3 鉛筆画 中山眞治
描かれていない空間に対して、観てくださる人が心理的な距離を感じるとき、その場所には“沈黙”が宿ります。
近景は詳細に描写し、遠景は省略する構成にすれば、距離とともに視線が静まっていく感覚も生まれます。次の作品を参照してください。

国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 鉛筆画 中山眞治
この「遠くを描かない構図」は、目線の「抜け(※)」とともに精神的余白を生み出し、静けさを強調する効果があります。
※ 「抜け」とは、制作画面上に外部へつながる空間があると、観てくださる人に画面上の息苦しさを解消できる効果があります。
最後に削る勇気を持つ

水滴Ⅶ 2019 鉛筆画 中山眞治
最初からすべてを描かないのではなく、描き終えた後で「描かなくても成立する部分」を削るという作業も重要です。
特に、背景や細部で、完成後に引き算の視点を持つことで、画面の中に“呼吸できる空間”が生まれます。この削りの判断は、構図の完成度を一段階引き上げるために欠かせない構成技術です。
描くことと同じくらい、描かないこともまた技術です。構図設計の段階から余白の意味を意識し、「描かない領域」に価値を持たせることで、静けさを伴った豊かな表現が可能になります。
尚、我々人間の目は、細かい模様や柄に視線を奪われる習性があります。つまり、あなたが引き立てたい主役や準主役に細かい模様や柄がある場合にはしっかりと描き込みましょう。
一方で、主役や準主役以外の脇役などに、細かい模様や柄がある場合には、「省略して描く」ことも必要だということです。
しかし、全体的に描き込みをしっかりと施したいという場合には、主役や準主役にはしっかりとハイライトを施し、それ以外のモチーフには「ハイライトを抑えて描く」ことで、主役や準主役を引き立てられます。
鉛筆画中級者の人は、意図的な省略と削減によって、作品に深みを加える段階へと進むことができます。
静けさを演出する左右のバランスと視線誘導

予期せぬ訪問者 2019 F3 鉛筆画 中山眞治
画面に静けさを宿すには、左右のバランスをどう取るかが極めて重要です。
本章では、静寂な印象は、構成された空間の安定感と、視線が流れる動きの落ち着きによって生まれる点について解説します。
左右非対称の構図が生む穏やかな緊張
主主役や準主役を左右どちらかに寄せて配置することで、反対側に余白が生まれ、静けさと共に心地よい緊張感が漂います。
非対称によって視線の動きが自然になり、観てくださる人の意識は、主役や準主役と空白の両方を往復します。この往復こそが画面に“静的な動き”を生み出すのです。
先ほどは、3分割構図について解説しましたが、黄金分割構図という、オーソドックスな構図分割基本線の画像を掲載します。
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黄金分割は、数ある構図の中でも中心的な構図と言えます。先ほどの3分割の時と同じような使い方です。
黄金分割の寸法の求め方は、実際の制作画面に対して、÷1.618で得られた寸法を使います。また、上の画像にもあるように、この分割点(線)は、上下(⑦⑧)左右(⑤⑥)に2つずつ求めることができます。
縦横の2分割線(③④)や、斜線(①②)なども有効活用することで、観てくださる人の視線を誘導することにも役立てられるのです。
左から右への視線の流れを意識する

シャクヤク 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
日本語の読み書きの文化から、視線は自然に左から右へと流れやすい傾向にあります。
そのため、左側に主題を置き、右側に余白を設ける構図にすることで、静かで自然な視線誘導が可能になるのです。
流れに逆らわない配置は鑑賞体験を快適にし、静けさの印象をさらに高めてくれます。
尚、絵画における画面上の左側は「過去」を、右側は「未来」を暗示してもいますので、あなたの作品の意図として活用することもでるのです。
因みに、次の作品はエンゲージリングですが、キャプションの示す「遠い約束」とは、過去の約束を思い出しているのか、あるいは、これから先の未来を見つめているのかと考えますよね。
この作品では、画面左上の「抜けを小さく暗く」描き、画面右上の「抜けは大きくそして右に行くにしたがって明るく」描いています。そうです。これは、未来を見つめる恋人同士をイメージしているのです。^^

第3回個展出品作品 遠い約束Ⅱ 2024 SM 鉛筆画 中山眞治
強調と沈黙のコントラスト(明暗差)

春の気配 202 F3 鉛筆画 中山眞治
描き込まれた主役や準主役と対比する形で、右側や背景側に余白を広く取ると、視線の動きがより鮮明になり、主役や準主役の“語る力”と余白の“語らない力”が補完し合えます。
この対比は、作品の内容よりも感覚的に働きかける要素であり、静けさという感情を引き出すのに効果的です。
緩やかなリズムを構成する
視線の動きに緩急を与えるには、同じ余白でも部分ごとの密度や形状を調整する必要があります。
たとえば、左から中央までは細かく描写し、右端に向かって空間が開いていく構成にすると、リズムが徐々に落ち着いていき、画面全体が“静まりゆく印象”に変わるのです。
静けさを演出するには、画面の重さの偏りや視線の方向性を丁寧に設計することが求められます。
次の作品を参照してください。この作品では、岸壁を若干左に傾けて動きを出し、直立するポールの垂直と、その下の黒い図形面の水平線を使って、全体の動きを鎮めることができました。

入り江の夜明け 2024 F3 鉛筆画 中山眞治

描かれた部分と描かれていない空間が調和し、構図全体が穏やかな呼吸を持つように組み立てることが大切です。
点と線で感じさせる空気の余白

ふと見た光景Ⅱ 2024 F4 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画で静けさを伝えるには、面で埋め尽くすのではなく、点や線といった繊細な要素で空気を“感じさせる”技術も重要です。
本章では、描写の最小単位から空間を生む構図の工夫を解説します。
点描で空間に微細なリズムを与える
面を塗りつぶさず、点描で陰影を表現することで、空間がざわつかずに静かに広がります。
点と点の間に生まれる“間”が余白のような効果を持ち、視覚的な緩やかさを生み出します。
この技法は、空気の透明感や曖昧な静けさを描く際に効果的です。次のような技法です。

線の流れで空間の方向性を示す

黄昏 2024 F4 鉛筆画 中山眞治
細く軽い線を用いて、余白の中に微かな動きを示すと、空間が活き活きとしながらも穏やかさを保ちます。
木の枝や風の流れなど、抽象的に動きを表現することで、空間の中に“無音の気配”が宿るのです。
線は構図の方向性も担うため、使い方次第で視線誘導にも寄与します。
点や線で“気配”を留める

ふと見た光景Ⅰ 2024 F4 鉛筆画 中山眞治
静けさのある作品には、観えない気配が漂っていることがあります。
これは、明確に描写せず、点や線の配置で空間の密度を調整することによって生まれます。
たとえば、遠景の山並みや空のグラデーション(階調)を省略し、線の集合や間隔だけで奥行きを感じさせる方法が有効です。
面を排して余白を強調する

家族の肖像 2024 F4鉛筆画 中山眞治
塗りつぶしや広い面の明暗は、情報量を増やしすぎてしまうリスクがあります。
鉛筆画中級者の人は、面ではなく細部の線や点を活用し、描写の濃淡よりも空間構成に重点を置くことで、余白の力を最大化できるのです。
面の省略は、静けさだけでなく透明感も演出できます。
点や線の描写は、表面的な情報を抑え、感覚的な深さを引き出す手段です。最小限の手数で空間を語る技術を身につけることで、鉛筆画の表現はより洗練され、観てくださる人の心に静けさを届けることができます。
画面を閉じすぎない余白の「抜け」作り

第3回個展出品作品 旅立ちの詩Ⅱ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治
静けさを生む構図には、視線の逃げ場が必要です。
この「抜け」の空間が存在することで、画面にこもった圧が解放され、余白の静けさが活きてきます。
本章では、画面の抜けをどう設計するかに焦点を当てます。
フレームアウトを意識する

旅立ちの詩Ⅰ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治
画面内にすべてを収めようとせず、モチーフの一部を画面の外へ“逃がす”ことで、視線が外部へと拡張します。
この拡がりが抜け感を生み、画面全体に閉塞感のない静かな空気を流し込めるのです。
たとえば、風景の一部や木の枝を途中で切る(画面の外へはみ出させる)ことで、その先の空間を想像させる構成にもなります。
背景に遠景を描かず空間を開ける

境内にてⅢ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治
遠景や背景をすべて描き込むと、情報量が多すぎて画面が重くなりがちです。
逆に、背景を大きく抜くことで、余白に“奥行きの静けさ”が生まれます。
奥へと抜けていく空気感は、遠くの静寂を感じさせ、画面を一層広げる効果があるのです。
コントラスト(明暗差)を抑えて抜け感をつくる

境内にてⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治
描き込みすぎや濃淡の強調が過ぎると、視線が止まってしまいます。
あえて明暗差を抑え目にすることで、視線はふんわりと抜けていくので、空間が柔らかくなるのです。
抜け感をつくるには、描く部分だけでなく、描かない部分の明度調整もカギとなります。
視線の出口を構図内に設ける

境内にてⅠ 2021 F1 鉛筆画 中山眞治
視線が止まらずに抜けていくためには、画面内に“出口”をつくることが有効です。
たとえば、人物の視線の先を余白に向けたり、構造物の隙間を空間の抜けとして活用したりできます。
抜けを計算することで、画面全体に呼吸感が生まれ、静けさが一層引き立つのです。

構図を閉じすぎない設計は、観てくださる人に想像の余白を与えられます。この余白が、描かれていない空間の向こうにまで静けさを広げ、鑑賞体験を豊かなものにしてくれます。
練習課題(3個)

第3回個展出品作品 パーティーの後でⅡ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治
本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画は、練習を重ねれば重ねるほど上達できますので、是非取り組んでみてください。
練習課題①:主題を3分割の右線に配置して、左側に大胆な余白を設ける風景デッサン
- 構図:縦横3分割構図。
- 内容:一本の木や小屋を右三分割線に配置し、左側を空地や空として大きく空けて描く。
- 目的:余白に意味を持たせ、静けさと距離感を表現する。

練習課題②:人物の視線の先を空白にする構図で、静寂な心理を描き出す
- 構図:対角線+3分割併用構図。
- 内容:人物を左下に配置し、右上の余白に視線が抜けるように設計。
- 目的:観てくださる人に沈黙の気配を感じさせる構成力の習得。

練習課題③:点と細線のみで構成された木立のデッサンを描き、空間に余白を活かす
- 構図:左右非対称構図。
- 内容:左側に軽く点描で描かれた木立、右側に空白の広がる構成。
- 目的:描写を抑えつつ、静けさのある奥行きを構築する。

まとめ:静けさを語る鉛筆画構図5つの工夫

青木繁記念大賞展 奨励賞 郷愁 2001 F100 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画で静けさを描くには、何を描くか以上に「どこを描かずに残すか」という選択が作品の印象を決めます。
余白は単なる空白ではなく、主役や準主役を際立たせたり、観てくださる人の想像力を誘ったりする重要な構成要素です。
この記事では、鉛筆画中級者の人に向けて、静寂を引き出すための具体的な構図テクニックを5つご紹介しました。
それぞれの技法は、余白の扱い方によって作品の空気感や視線誘導を左右する実践的な手法です。以下に、記事全体を通じて得られる要点を5つの箇条書きで整理します。
静けさを演出する5つの構図テクニック
- 主題の配置で余白を生かす
3分割構図を活用して主題を端に寄せることで、空いた空間に静けさを宿らせる。余白は視線の導線としても機能し、沈黙を含んだ背景となる。 - 描かないことに意味を持たせる
全体を描き込むのではなく、必要最小限に留めることで、描かれなかった領域に想像の余地が生まれる。描写の抑制が逆に余韻を強調できる。 - 左右バランスで視線の流れをコントロールする
主役や準主役を左右どちらかに寄せて配置し、反対側に余白を設けると、自然な視線の流れと画面全体の呼吸感が生まれ、視覚の動きと静けさが共存する構図になる。 - 点と線による空間演出で描写を抑える
面ではなく繊細な点や線で構成することで、視覚的な密度を低く保ち、静かな空気感を表現。最小限の手数で深みのある静寂が生まれる。 - 画面の抜けで静けさを逃がさず保つ
視線が留まるのではなく、画面の奥や外へ自然に抜けていく構成を設けることで、開放的で静かな印象に仕上がる。背景の省略やフレームアウト(画面からはみ出させる)の活用が効果的。
静けさとは、単なる“静止”ではなく、描かない空間に込めた意図や空気感によって生まれるものです。構図の中で余白をどう使うかを意識することで、作品の深みや余韻は格段に増します。
鉛筆画中級者の人だからこそ挑戦できる、「余白で語る表現」に取り組み、静謐な鉛筆画の世界を探求していきましょう。
ではまた!あなたの未来を応援しています。
描く内容を引き立てるために、あえて描かない選択をすることで、鉛筆画の静謐な表現力を格段に高められます。