鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイド

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、鉛筆画やデッサンを描き続けているのに、なかなか上達を実感できない。そんな悩みを抱えている人は非常に多く見られます。

 その多くは、練習量が足りないのではなく、練習の内容や順番が整理されていないことが多いものです。


 闇雲に描き続けても、どこを改善すればよいのかが分からなければ、成長は停滞してしまいます。上達する人は、描く前に「何を練習するか」、「何を確認するのか」を明確にしています。

 この記事では、鉛筆画やデッサン初心者の人から中級者の人までが、上達しない理由を構造的に整理し、基礎から応用へと無理なく力を積み上げるための練習方法を、一つの流れとしてまとめました。

 今日からの練習を、迷わず進めたい方のための総合ガイドです。

 それでは、早速見ていきましょう!

Table of Contents

鉛筆画・デッサンが上達しない人に共通する原因

     日美展 大賞(文部科学大臣賞/デッサンの部大賞) 誕生2023-Ⅰ 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンが、なかなか上達しないと感じる人には、いくつか共通した原因があります。

 それは、才能や感覚の問題ではなく、練習に対する考え方や取り組み方に偏りがあるケースがほとんどです。

 そして、疲れていたり、イライラしていたり、完成を焦っていたり、集中できない状態で始めようとすることもあるのではないでしょうか。そのような状態で制作することは、まさに「修行状態」になってしまいます。^^

 まずは、この部分では、疲れていたり、集中できないときには取り組まないことです。落ち着いて、短時間でも集中できる時間を作り、「楽しんで取り組める環境づくりが必須」です。

 そして、制作に取り組む際には、イスに座ってイーゼルや机に向き合う際には、足を組まずにイスに深く座り、スケッチブックや紙のすぐ横にモチーフが見えている状態にしましょう。

 また、頭をいちいち動かさずに、モチーフと制作画面の行き来を視線の移動だけでできるようにセットしましょう。姿勢が安定することで、安定した描線が可能になります。

 尚、あなたの落ち着ける、音楽なども用意することをオススメします。筆者はこのスタイルで、30年以上描いていますよ。^^

 本章では、上達を妨げやすい典型的な原因を整理し、どこでつまずいているのかを明確にしていきます。

描く量だけで上達しようとしている

     第1回個展出品作品] トルコ桔梗Ⅰ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 上達できない人に多いのが、「とにかくたくさん描けばうまくなる」という考え方です。

 もちろん描く量は重要ですが、目的を持たずに描き続けるだけでは、同じ癖や弱点を何度も繰り返すことになります。結果として、手は動いているのに、技術が積み上がらない状態に陥ります。

 上達している人ほど、一枚一枚に確認ポイントを設け、自身の課題を意識しながら描いているものです。

何ができていないのかを把握していない

         第1回個展出品作品 反射 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 自身の作品の、どこが弱いのかを認識できていないことも、大きな原因です。形なのか、比率なのか、線なのか、濃淡なのかが曖昧なままでは、練習の方向性も定まりません。

 上達が早い人は、完成度の高低よりも「どこが崩れたか」、「なぜそうなったか」を振り返る習慣を持っています。

 この振り返りがないと、練習は作業になってしまうのです。

基礎と応用を同時にやろうとしている

       第1回個展出品作品 男と女 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 基礎が固まらないうちに、複雑なモチーフや完成度の高い表現に挑戦すると、うまくいかない感覚ばかりが強く残ってしまいます。

 本来、基礎練習と作品の制作は役割が異なりますが、それを混同してしまう人は少なくありません。

 基礎では、確認と修整を重ね、応用では表現を楽しむ。この切り分けができていないと、練習効率は大きく下がります。

練習の順番が整理されていない

        ドルトレヒトの風車(ゴッホによる) 2019 F10 鉛筆画 中山眞治

 上達できない人ほど、思いついたことをその都度練習しがちです。しかし、練習には適切な順番があります。

 線、形、比率、濃淡といった、基礎要素を段階的に積み上げることで、理解と再現性が高まります。順番が整理されていないと、以前学んだことを活かせず、毎回一から悩むことになるのです。

 鉛筆画やデッサンが上達できない原因は、練習量の不足ではなく、練習の考え方や構造にあります。

 目的のない反復、自己分析の不足、基礎と応用の混同、そして練習の順番の不整理。これらを見直すことで、同じ時間でも得られる成果は大きく変わるのです。

なかやま

次の章では、こうした停滞を生む最大の要因である「練習の順番」について、さらに具体的に掘り下げていきます。

練習しているのに伸びないのは「順番」が間違っているから

           青木繁記念大賞展 奨励賞 郷愁 2001 F100 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンを、真面目に練習しているのに成果を感じられない場合、その原因の多くは練習内容そのものではなく「順番」にあります。

 何を、どのタイミングで練習するかが整理されていないと、知識や感覚につながらず、毎回同じところでつまずくことになってしまうのです。

 本章では、上達を妨げる練習の順番の問題点と、その整理の考え方を解説します。

いきなり完成度を求めてしまう

       種まく人(ミレーによる) 2019 F6 鉛筆画 中山眞治

 多くの人が、練習の初期段階から、「うまく描こう」「完成させよう」としてしまいます。

 しかし、完成度を意識しすぎると、線や形の確認がおろそかになり、結果として曖昧な描写を積み重ねることになるのです。

 本来、練習の前半では完成させる必要はなく、途中で止めて確認することこそが重要です。完成を目標にすると、順番を飛ばしてしまう原因になります。

線・形・比率を同時に処理しようとする

         第3回個展出品作品 暮らし 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 上達できない人ほど、一枚の制作画面の中で線の質、形の適切さ、比率、濃淡を同時に何とかしようとします。

 しかし、これらはそれぞれ確認ポイントが異なり、同時に意識すると注意が分散してしまうのです。

 順番としては、まず線の安定、その次に形、続いて比率、最後に濃淡というように、段階的に積み上げる方が理解や定着もしやすくなります。

基礎練習と応用練習を分けていない

         第3回個展出品作品 駅 2021 F6 鉛筆画 中山眞治

 練習の順番が乱れる大きな理由の一つが、基礎練習と応用練習を混在させてしまうことです。

 基礎練習は、確認と修整が目的であり、応用練習は表現や構成を試す場です。この2つを同じ気持ちで行うと、どちらも中途半端になります。

 順番としては、短時間の基礎確認を行ってから、応用に入る流れが理想的です。 

前回の練習内容を次に活かしていない

         第3回個展出品作品 誕生2020-Ⅲ F4 鉛筆画 中山眞治

 練習の順番が整っていない人は、前回何を練習したのかを意識せずに、次の練習に入る傾向があります。その結果、毎回ゼロから考え直すことになり、積み上がりを感じにくくなるのです。

 上達している人は、前回の練習で見つかった課題を次回のテーマとして設定し、順番を意図的につないでいます。

 練習しても伸びないと感じるときは、内容を変える前に、順番を見直すことが重要です。

 完成を急がず、線・形・比率・濃淡を段階的に確認し、基礎と応用を切り分けながら練習を積み重ねることで、理解は確実につながっていきます。

次章では、こうした順番を意識したうえで、上達する人が必ず行っている基本練習の考え方について具体的に解説しましょう。

上達する人が必ず行っている基本練習の考え方

      国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンが、着実に上達できている人は、特別な才能や高度な技法を最初から持っているわけではありません。

 違いが生まれるのは、基本練習に対する考え方です。上達する人ほど、地味で単純な練習を軽視せず、その目的を明確にしたうえで取り組んでいます。

 本章では、成果につながる基本練習の共通した考え方を整理しましょう。

基本練習の目的を明確にする

            水滴Ⅸ 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 上達する人は、基本練習を「うまく描くため」ではなく、「確認するため」に行っています。

 線が安定しているか、形の取り方に無理がないか、比率の取り方は適切かといった確認項目をあらかじめ決め、その点だけに集中して描くのです。

 目的が明確な練習は、短時間でも効果が高く、次の改善点も見えやすくなります。

シンプルなモチーフで確認を重ねている

           あのね…。 2020 F4 鉛筆画 中山眞治

 複雑なモチーフほど練習になると考えがちですが、上達する人ほど単純な形を繰り返し描いています。

 理由は、余計な情報が少ない分、線や形のズレに気づきやすいからです。

 円柱や箱のような単純な形で確認を重ねることで、後の静物や人物、風景にも応用できる基礎感覚が養われます。

 また、光と影の状態を確認するためには、絵画教室へ通う人は、必ず絵画教室に「白い各種石膏モチーフ」がありますので、それらを使って練習しましょう。

 自宅で制作する人は、白い卵・白い空き箱・白いジュースミキサー・白い布・外側の皮をむいたタマネギ・白い家電製品、白いマグカップ・白いカーテンなど探せばいろいろあります。^^

失敗を前提に練習している

        第3回個展出品作品 旅立ちの詩 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 基本練習で失敗を避けようとすると、描写が慎重になりすぎ、確認すべきポイントが曖昧になります。

 上達する人は、むしろ失敗することを前提に線を描き、形を崩し、その原因を探るのです。

 失敗を記録として残すことで、自身の弱点を客観的に把握しやすくなり、次の練習内容も自然と定まります。

毎回ひとつだけ意識するポイントを決めている

      第3回個展出品作品 憤怒の猛牛 2020 f4 鉛筆画 中山眞治

 基本練習では、あれもこれも改善しようとしないことが重要です。上達する人は、一回の練習で意識するポイントを一つに絞っています。

 たとえば、「今日は線の入りと抜きだけを見る」、「今日は比率だけを確認する」といった具合です。

 意識を限定することで、感覚が定着しやすくなり、結果として全体の完成度も底上げされていきます。基本練習は量や難易度よりも、考え方によって成果が大きく変わります。

 目的を明確にし、シンプルなモチーフで確認を重ね、失敗を受け入れながら、一度の練習で意識するポイントを絞る。この積み重ねが、鉛筆画やデッサンの安定した上達につながるのです。

 この章で学んでこられた部分につきましては、次の関連記事で具体的な情報を得られます。

 毎日10分で上達!初心者向け鉛筆画練習のポイントと基本技術とは?

なかやま

次の章では、こうした基本練習を無理なく継続するための、日々の練習の組み立て方について解説します。

毎日続けやすい鉛筆画・デッサンの練習の組み立て方

       国画会展 新人賞 誕生2007-Ⅰ F100 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンの上達には、継続が欠かせませんが、単に毎日描けばよいわけではありません。続かない原因の多くは、練習内容そのものではなく、練習の組み立て方にあります。

 無理のある計画や、目的の曖昧な練習は、時間が経つほど負担になり、やがて描くこと自体が億劫になってくるのです。^^

 本章では、無理なく続けながら、確実に力を積み上げるための、練習設計の考え方を整理します。

練習の時間を固定せず「内容」を固定する

         境内にてⅢ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治

 毎日同じ時間に描こうと決めても、生活のリズムによって実行できない日は必ず出てきます。そのたびに計画が崩れると、継続の意欲も下がってしまいます。

 そこで、練習を続けている人は、時間ではなく「やる内容」を固定しているのです。

 たとえば、線の確認、形の整理、比率チェックなど、短時間でも必ず行える確認項目を決めておくことで、10分でも30分でも意味のある練習になります。

 ただし、休日などで、たっぷりと時間を確保できる時には、練習量を増やしたり、未完成の、練習に使った鉛筆画やデッサンを仕上げる練習も必要です。^^

 この部分では、次の関連記事からも情報を取得できます。

 下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツ

練習を「確認パート」と「試すパート」に分ける

         ノーマ・ジーンⅢ 2021 F4 鉛筆画 中山眞治 

 一回の練習をすべて同じ意識で行うと、集中力が途切れやすくなります。

 効果的なのは、前半を確認の時間、後半を試す時間として分けることです。前半では基礎的な線や形をチェックし、後半では静物やモチーフを使って試すのです。

 この2段構えにすることで、練習が単調にならず、達成感も得やすくなります。

毎回「振り返り」を前提に練習を終える

        第3回個展出品作品 パーティーの後で 2021 F10 鉛筆画

 練習が続かない人ほど、描き終えた時点で満足してしまい、振り返りを行いません。上達できる人は、必ず最後に数分だけでも振り返りの時間を設けています。

 うまくいった点、うまくいかなかった点を簡単に確認することで、次回の練習テーマが自然に決まるのです。

 この積み重ねが、練習を点ではなく線としてつなげていきます。

調子の良し悪しで練習内容を変えない

        第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 調子が良い日は難しいことに挑戦し、調子が悪い日は描かないという流れは、継続を妨げます。

 練習を習慣として続けるためには、調子に左右されない内容を、用意しておくことが重要です。

 線を描く、形をなぞる、比率を確認するなど、負担の少ない基礎練習を軸に据えることで、気分に関係なく描く行為を続けられます。

完璧を目指さず「終わり方」を決めておく

     第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 毎日の練習で完璧を目指すと、終わりが見えず疲れてしまいます。続けている人は、あらかじめ練習の終わり方を決めているのです。

 ここまで描いたら終える、この確認ができたら終了するといった区切りを設けることで、練習が負担になりにくくなります。終わりが明確になると、次の日も自然とイーゼルや机に向かいやすくなれます。

 毎日続けやすい練習を作るには、時間や気分に頼らず、内容と流れをあらかじめ設計しておくことが重要です。

 そして、あなたが基本の練習を終えられましたら、あなたの描きたいモチーフで5作品ほど描いてみましょう。

 確認と試行を分け、振り返りを前提にし、調子に左右されない基礎練習を軸に据えることで、練習は習慣として定着します。

 尚、毎日10分程度の短時間であっても、集中さえできれば、毎日取り組むことで上達を早められることにつながります。でも、休日にはたっぷり時間を取りましょうね。^^

こうした組み立て方を身につけることで、鉛筆画やデッサンの練習は無理なく続き、結果として確実な上達へとつながっていくでしょう。

次に読むべき練習記事と成長ステップの全体像

   第3回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 F10 鉛筆画 中山眞治

 ここまで、鉛筆画やデッサンが上達しない原因、練習の順番、基本練習の考え方、そして毎日の練習の組み立て方について整理してきました。

 しかし、実際に上達していくためには、これらを「知って終わり」にせず、次に何を読むべきか、何を練習すべきかを明確にすることが重要です。

 本章では、今後の成長を段階的に進めるための全体像を示します。

まずは練習の軸を一つ決める

      第1回個展出品作品 ペンギン 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 多くの人は、静物、風景、人物、動物など、複数のジャンルを同時に練習しようとして混乱します。上達を実感しやすくするためには、まず練習の軸を一つに絞ることが大切です。

 線や形、比率といった基礎を確認しやすいジャンルを選び、一定期間そこに集中することで、自身の弱点が明確になります。

 軸を決めることは、遠回りに見えて実は最短ルートです。

 筆者の場合には、描き始めの当初は「静物」にしっかりと取り組みました。それ以降は、静物、風景、人物、動物、心象風景の順番に、万遍なく描いて行くことで、不得意なジャンルをなくす工夫をしていました。^^

短時間で完結する練習記事を活用する

       第1回個展出品作品 ノスリ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 成長の初期段階では、長時間の制作よりも、短時間で完結する練習を積み重ねる方が効果的です。

 練習内容が明確に整理された記事を参考にすることで、何を確認すべきかが分かり、迷いが減ります。

 この場面では、毎日の練習に取り入れやすい具体的な練習メニューや、短時間で行える確認練習の記事を順に読み進めることが有効です。

ジャンル別の記事で理解を広げる

       第1回個展出品作品 少年 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

 基礎的な練習に慣れてこられましたら、人物、静物、風景といったジャンル別の記事に進むことで、理解を広げていきます。

 同じ基礎でも、ジャンルが変わると、注意点やつまずきやすいポイントは異なるのです。

 ジャンル別の記事を読むことで、自身がどの分野でつまずきやすいのかを客観的に把握できて、次に重点的に練習すべき内容が見えてきます。

考え方を整理する補助記事を挟む

        第1回個展出品作品 人物Ⅳ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 練習を続けていると、思うように成果が出ない時期が必ず訪れます。

 そのようなときには、技法解説だけでなく、練習への向き合い方や考え方を整理する記事を読むことが効果的です。

 自身の状態を認識し直すことで、停滞の原因が見えて、練習内容を修整しやすくなれます。成長の途中でこうした補助記事を挟むことが、長期的な継続につながります。

全体を行き来しながら成長を確認する

       第1回個展出品作品 人物Ⅲ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

 上達は一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進んでいくものです。基礎記事、練習記事、ジャンル別記事を行き来しながら、自身の変化を確認することが重要です。

 以前は理解できなかった内容が腑に落ちたり、描けなかった形が安定してきたりする瞬間が、成長の実感につながります。この全体像を意識することで、迷わず次の一手を選べるようになれます。

 鉛筆画やデッサンの上達には、段階に応じた記事選びと、練習の積み重ねが欠かせません。まずは練習の軸を定め、短時間で完結する練習から始め、ジャンル別の理解へと広げていく。

 その途中で、考え方を整理しながら、全体を行き来することで、成長は確実なものになります。

 この記事に関連する具体的な内容につきましては、次の記事を参照してください。

 鉛筆画・デッサン初心者から中級者必見:自画像の魅力と実践ガイド!

 鉛筆画・デッサンで初心者から上級者まで必見!風景画制作の効果的なコツと主要ポイント

 鉛筆画・デッサン初心者から中級者必見:風景画で自然を描く実践ガイド

なかやま

このガイドを起点として、自身に合った練習記事を選び、無理のないペースで上達を目指していきましょう。

練習課題(3つ)

    蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

線と形を分けて確認する基礎練習

内容
・一つのモチーフを使い
 ①線だけで形を取る
 ②濃淡を入れず形の正確さだけを確認する
・完成させる必要はなく、途中で止めて見直す

目的
線の安定、形の取り方、比率のズレを切り分けて確認する力を養う。
「描きながら修正する」癖を防ぎ、構造的に見る練習。

短時間で終える確認スケッチ

内容
・10〜15分で完結するスケッチを3枚描く
・モチーフは単純な静物(コップ・箱・果物など)
・1枚ごとに確認テーマを変える
 例:1枚目=比率、2枚目=線、3枚目=影の方向

目的
短時間でも目的を持てば練習になることを体感する。
「長く描かないと上達しない」という思い込みを外す。

振り返り前提の練習記録

内容
・描き終えた後、
 ①うまくいった点
 ②うまくいかなかった点
を言葉で書き出す
・次回の練習テーマを一つ決めて終える

目的
練習を点で終わらせず、次につなげる力を身につける。
上達している人の「思考の流れ」を習慣化する。

まとめ:鉛筆画・デッサンが上達できない人のための練習完全ガイド

   第2回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2000 F100 鉛筆画 中山眞治

 鉛筆画やデッサンが、なかなか上達しないと感じるとき、多くの人は「才能がないのではないか」、「練習量が足りないのではないか」と考えがちです。

 しかし、この記事で見てこられたように、上達を妨げている原因の多くは、能力そのものではなく、練習に対する考え方や構造が整理されていないことにあります。

 闇雲に描き続けることは、決して無駄ではありませんが、目的や順番が曖昧なままでは、同じところでつまずき続けてしまいます。

 まず重要なのは、上達しない原因を感覚的に捉えるのではなく、構造的に整理することです。

 描く量だけで解決しようとしていないか、自身の弱点を認識できているか、基礎と応用を混同していないかといった点を見直すことで、練習の方向性は大きく変わります。

 とくに、線・形・比率・濃淡といった要素を、同時に処理しようとする癖は、多くの人が陥りやすい停滞の原因です。

 次に、練習の「順番」を意識することが欠かせません。完成を急がず、確認と修整を前提にした段階的な練習を積み重ねることで、理解と再現性は確実に高まります。

 基礎練習と応用練習を切り分け、短時間でも意味のある確認を行うことが、結果的に最短の上達ルートになるのです。

 また、前回の練習内容を次にどう活かすかを考えることで、練習は点ではなく線としてつながっていきます。

 さらに、毎日の練習を無理なく続けるためには、時間や気分に左右されない「練習の組み立て方」が重要です。

 時間を固定するのではなく内容を固定し、確認パートと試すパートを分け、必ず振り返りを行う。この流れを習慣化することで、描くこと自体が負担になりにくくなります。

 完璧を目指すのではなく、終わり方を決めて練習を終えることも、継続には欠かせない要素なのです。

 この記事の内容を踏まえ、上達のために意識すべきポイントを整理すると、次のようになります。

  • 上達しない原因は才能ではなく、練習の考え方や構造にある。
  • 描く量だけに頼らず、目的を持った練習を行う。
  • 自身の弱点を認識し、確認ポイントを明確にする。
  • 線・形・比率・濃淡を段階的に練習し、同時処理を避ける。
  • 基礎練習と応用練習を切り分け、それぞれの役割を意識する。
  • 練習の順番を整理し、前回の内容を次につなげる。
  • 毎日の練習は、時間よりも内容を固定する。
  • 振り返りを前提に練習を終え、次の課題を一つ決める。

 この記事は、これらの考え方を整理し、今後どの練習に進むべきかを判断するための起点となる記事です。

 ここで示した全体像を軸に、個別の練習記事やジャンル別の記事へ進むことで、自身に合った成長ルートが見えてきます。

 焦らず、順番と構造を意識しながら練習を積み重ねていくことが、鉛筆画やデッサンの確実な上達につながるのです。

 また、「人生が充実する、鉛筆画やデッサンがもたらす驚きのメリットと魅力!」という次の記事もありますので、関心のある人は参照してください。^^

 ではまた、あなたの未来を応援しています!