こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に
さて、鉛筆画がただの描写に終わらず、観てくださる人の心に訴えかける作品になるためには、構図と配置の工夫が不可欠です。
特に、鉛筆画中級者になると、技術面での成長に加えて、視覚的な「伝え方」や「感じさせ方」に意識を向けることが求められます。
この記事では、観てくださる人と作品との間に、静かな対話を生み出すような構図づくりのコツや、配置の工夫、視線誘導の考え方など、心に響く作品づくりに必要な要素を5つの観点から解説します。
静かに語りかけるような鉛筆画を目指すあなたに、構図の核心をお届けします。
それでは、早速見ていきましょう!
観てくださる人の心をつかむ構図とは?その基本と意識すべき視点

春の気配 2024 F3 鉛筆画 中山眞治
観てくださる人の心に訴えかける鉛筆画には、技術だけでなく、作品全体をどう構成するかという「構図の力」が欠かせません。
鉛筆画中級者の人は、単に見たものを再現するだけではなく、観てくださる人との視覚的な対話を成立させるための構成力が求められます。
本章では、語りかける印象を生むために重要な構図の基本と、意識すべき視点の設定について解説します。
鉛筆画中級者の人が構図を研究すべき理由
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第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
あなたは、今まで鉛筆画の制作を続けて来て、「毎回同じような画風になってしまう」「作品全体のまとまりが悪く感じる」「もっと見映えのする作品にしたい」と感じたことはありませんか?
構図とは、先人の築き上げてきた美の構成に裏打ちされた、バランス・緊張感・力強さ・躍動感などを伝えることができる技術です。
構図は、作者とすれば「作品の魅力をより一層引き出せる技術」である反面、観てくださる人からすれば「見映えのする作品」に仕上げるための、重要なノウハウと言えます。
構図については、この記事の最終部分に関連記事「初心者でも簡単!プロが教える鉛筆画の構図の取り方やコツとポイント」を掲載していますので、関心のある人は参照してください。
構図の目的は「視覚の設計」

第1回個展出品作品 ノートルダム寺院 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
構図とは、モチーフの配置や画面のバランスを通して、観てくださる人の目をどこに誘導し、どのような印象を残すかを設計することです。
主役や準主役をどの位置に置くか、視線の流れをどうつくるか、どこに余白を設けるかといった決定が、作品の印象を大きく左右します。
構図は「見せ方の設計図」であり、完成度を高めるための第一歩です。
3分割構図で視線の流れを整える
鉛筆画中級者の人に、最もオススメなのが3分割構図です。
画面を縦横それぞれ3等分し、交点または線上に主役や準主役を配置することで、視線の動きが自然になります。
右下や左上に主役や準主役を置くと、視線が斜めに流れ、安定感と奥行きも生まれます。3分割構図は、語りかけるような視線の「間」をつくり出すのに非常に効果的です。次の画像を参照してください。
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主役や準主役を⑤や⑥の分割線を中心とする配置にして、⑦を水平線や地平線にすれば、海原や台地の広さを表現できますし、⑧にすれば、空間の広がりを強調できます。
とくに、3分割の縦横の交点EFIJに、主要なモチーフ(体や顔の中心など)を配置すると、印象を強調することができます。
また画面縦横の2分割線(③④)や、斜線(①②)も使って、効果的な制作もできます。次の画像を参照してください。


- 黄色の線:3分割構図基本線
- 緑色の線:3分割線
- 青色の線:「抜け(※)」に使うための線
- ピンク色の線:モチーフで3角を構成する線
※ 「抜け」とは、制作画面上に外部へ続く部分があると、観てくださる人の画面上の息苦しさを解消できる効果があります。

ミヒカリコオロギボラのある静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
重心とバランスの意識が印象を決める

モアイのある静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
画面の中で、どこに重心を置くかによって、安定感や緊張感が大きく変わります。
制作画面の寸法上の中心点に、主役や準主役が寄りすぎると静的で平坦な印象になり、端に寄せすぎると不安定になります。バランスのよい配置には、モチーフ以外の要素との関係性、空間の使い方も重要です。
適度な余白や背景の傾斜を加えることで、自然な奥行きと視覚的な安定を得ることができます。
尚、制作画面の寸法上の中心点に、主役や準主役の中心点が重なってしまうと、「動きが止まってしまう」ので注意が必要です。
観てくださる人の視点に立つ

灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2022 F4 鉛筆画 中山眞治
構図を考えるときは、描く側の視点だけでなく、観てくださる人の視点も想像することが重要です。
どこから観れば一番魅力的に映るか、どこで目を止めてほしいのか、視線が通り過ぎたあとに何が残るのか。
これらを意識して制作できれば、観てくださる人にとって「語りかけられているような印象」を生み出す構図へとつながっていきます。
構図は、描き手の意図を可視化する手段であり、観てくださる人との心の接点をつくるための設計に役立てられるのです。
視線の誘導を生む構図の流れとその仕掛け

静かな夜Ⅱ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治
観てくださる人に、語りかけるような鉛筆画を描くには、視線の流れを意図的に設計する構図が重要です。
モチーフの配置だけでなく、視覚的なリズムや視点の導線を作ることで、作品の印象は一気に高まります。
本章では、視線誘導を生む構図の工夫について解説します。
曲線や斜線で流れをつくる

星月夜の誕生 2023 F10 鉛筆画 中山眞治
視線誘導の基本は、曲線や斜線を使って自然な動きを画面内に生み出すことです。
たとえば、布のうねりや枝の伸び方、人物の姿勢などにS字の形を意識させることで、視線が画面を巡るように動きます。次の画像を参照してください。

導線に沿って、情報が流れることで、作品が静かに語り始めるような印象を与えられるのです。
さらに、次の画像をご覧ください。この作品では、画面左下の角から出発して画面右上の角までをつなげている斜線を使って構成しています。
画面左下の角には、この画像ではよく観えていませんが、今まさに大地を割って出ようとしている植物の芽があります。その次には、地面の中からようやく抜け出た植物の芽があります(準主役)。

国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅰ F80 鉛筆画 中山眞治
そして、画面中央右手の植物の芽が主役ですが、植物の成長のリズムをこの3つのモチーフで表現しています。
また、主役の背後には死の象徴である「枯葉」を配し、タバコの吸い殻も使って、観てくださる人の視線を画面右上の角へと導いています。
さらには、曲線の地平線を描き、大地の広がりを表現しています。そうです。地平線はマクロ視点では、曲線だからです。^^
視線のスタートとゴールを設ける

ある夏の朝 2024 F10 鉛筆画 中山眞治
観てくださる人の視線がどこから入り、どこで止まるかを明確に設計すると、作品の中に明確な「物語」が生まれます。
たとえば、手前に印象の強いモチーフを配置し、奥に背景や空間を逃がすように描けば、視線は自然に奥へと導かれます。
主題(主役や準主役)が奥にあっても、導線を強調することで、観てくださる人の印象に残ることができます。
対角線構図の活用
左下から右上、あるいは右下から左上へと視線が斜めに流れるような配置は、動きと奥行きを同時に演出できます。対角線を意識した構図は、視線誘導にとって非常に有効です。
次の作品は、画面左下の角から画面右上の角までを結ぶ斜線を使って制作していますが、人物の足の位置や雲の位置が斜線を暗示しています。

第3回個展出品作品 つかの間の休日 2023 F10 鉛筆画 中山眞治
主題の配置を対角に置くことで、作品の中に視覚的な緊張と方向性が生まれ、観てくださる人の注意を意図的に導けます。
隠れた線と視覚のリズム
直接描かれていなくても、目に観えない「視線の線」が存在します。
たとえば、人物の目線の先や、同じ高さに並ぶモチーフのラインなどが視線を導く道筋となります。
これらをリズミカルに配置することで、視線の流れに心地よい緩急を持たせることが可能になります。
視線誘導は、ただ見せたい場所を強調するだけではなく、作品を通じて観てくださる人と静かに対話するための仕掛けです。
次の作品でも、左右の対角線を暗示した描き方をしています。また月の位置は、黄金分割線上に配置しています。

静かな夜Ⅰ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治
曲線や対角線を活かした構成と、意図ある動線設計で、作品に語りかける力を加えましょう。
語りかける印象を生む余白と主題のバランス
語りかけるような鉛筆画を成立させるには、描かれていない空間、すなわち余白の力を理解することが必要不可欠です。
描写の完成度に頼るのではなく、空間をいかに扱うかによって、作品の深みと静けさは大きく変わってきます。次の作品を参照してください。

第3回個展出品作品 静かな夜Ⅴ 2024 F10 鉛筆画 中山眞治
本章では、余白と主題のバランスについて解説します。
空間の「間」に感情を宿す
余白とは、ただの空きスペースではなく、感情の余韻や静けさを感じさせる演出装置です。次の作品を参照してください。

第3回個展出品作品 静かな夜Ⅳ 2024 F10 鉛筆画 中山眞治
たとえば、人物の視線の先に空白を設けると何かを考えている、あるいは、見つめている印象が生まれ、そこに感情のストーリーを感じさせることができます。
描かないことで生まれる想像の余地が、観てくださる人との対話の入り口になるのです。
主役や準主役の存在感を高めるための余白
主役や準主役となるモチーフを際立たせるには、その周囲に適度な空間を確保することが大切です。
モチーフに対して、背景が詰まりすぎていると、主役や準主役の印象が弱まってしまいます。
余白を取り入れることで、視線は自然と主役や準主役に集まり、その存在感を強調できます。次の作品を参照してください。

迫る危機 2023 F10 鉛筆画 中山眞治
余白と配置のバランス感覚
余白の扱いは、構図全体のバランスに直結します。
画面の左上に主役や準主役を置いた場合、右下に広がる余白とのバランスが整っていれば、視線が自然に斜めに流れ、安定感と奥行きを両立できます。
バランスの取れた配置は、作品の中に落ち着きと静謐な語りかけを生み出します。次の作品を参照してください。

第3回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2022 F10 鉛筆画 中山眞治
描かない勇気と語りの深さ
鉛筆画中級者になると、描写力が高まり、ついすべてを描き込みたくなることもあるでしょう。
しかし、あえて描かない部分(余白)を残すことで、作品に深みが加わり、観てくださる人が自由に解釈できる空間が生まれます。
この余白が「語りすぎない語り」を実現し、心に残る作品へと導いてくれるのです。次の作品を参照してください。

第1回個展出品作品 潮騒 2001 F100 鉛筆画 中山眞治

余白は、沈黙のように静かに語る要素です。描き込みと余白の絶妙なバランスが取れたとき、鉛筆画は初めて「観てくださる人に語りかける存在」へと変化します。
観てくださる人と“目が合う”構図:視線の交差点を意識する
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第1回個展出品作品 ノーマ・ジーン 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
モチーフと観てくださる人の視線が交差すると、観てくださる人の心に強く印象を残すことができます。
とくに、人物や動物の鉛筆画では、「目が合う構図」を意識することが、観てくださる人との静かな関係性を築く鍵になります。
本章では、「目が合う」ことによる印象の深め方について解説します。
中心線に視線を乗せる構図

1回個展出品作品 男と女 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
モチーフの顔や目を画面の中心または三分割線の交点上に配置すると、自然と観てくださる人の視線がそこに集まります。
視線の角度も正面よりやや斜めにすることで、直接的すぎない穏やかな対話が成立します。
観てくださる人が、「見つめられている」と感じるその瞬間が、心の接点になるのです。
これは、人物や動物に限りません。たとえば花であっても、それぞれの花が別々の方向を向いている中で、1つの花だけが正面を向いているように描くことで、まるで「花の視線を感じられるような」作品になります。
次の作品を参照してください。

第1回個展出品作品 トルコ桔梗 1996 F6 鉛筆画 中山眞治
モチーフの目線の方向を設計する
モチーフの目線が、画面の外に向かっているか、観てくださる人の方を見ているかで印象は大きく異なります。
正面を見つめている構図は、直接語りかけるような力強さを持ちますが、少し外すことで内面的な物語性や余韻が生まれます。次の作品を参照してください。

第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治
視線の位置と向きによって、語りのトーンが変化します。
周囲の構成で視線の印象を和らげる
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第1回個展出品作品 金剛力士像(阿形) 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
真正面からの視線は、ときに強すぎる印象を与えるため、背景や準主役の配置で緩和することでバランスが取れます。
たとえば、人物の背後にぼんやりとした背景を加える、顔の周囲に柔らかい影を加えることで、視線の強さと構図の安定感が両立します。
「目が合う」構図の静かな効果
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第1回個展出品作品 金剛力士像(吽形) 1996 F10 鉛筆画 中山眞治
観てくださる人の目を、まっすぐにとらえる構図は、意図せず記憶に残る印象を与えます。
作品を通して、語りかけられたような体験が、作品を特別なものに変えるのです。
この感覚を設計できる構図こそ、鉛筆画中級者の描く鉛筆画に求められる要素と言えるでしょう。
視線が交差する構図は、作品中に静かで確かな対話を生み出します。描き手の感情を観てくださる人にまっすぐ届けるための手段として、積極的に活用したい技法です。
構図と配置で心を動かすために意識すべき演出要素

蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
構図と配置は、ただ観た目を整えるためのものではありません。
そこには、観てくださる人の心を、静かに揺さぶるための「演出」が隠されています。鉛筆画中級者の人に求められるのは、描くことの技術だけでなく、感情の流れや空気感を設計する力です。
本章では、構図と配置における演出の視点を整理します。
感情の流れを構成に込める

第2回個展出品作品 ランプのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治
一枚の作品の中に、感情の起伏をもたせるには、配置と構成が重要です。
たとえば、上から下に向かう斜線構成は、落ち着きや静けさを表現できますし、逆に下から上へと向かう配置は希望や緊張感を伝えることができます。次の作品を参照してください。

国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 鉛筆画 中山眞治
動きのある構成にすることで、作品にストーリー性が生まれ、観てくださる人が自然に感情移入できるようになれます。
明暗と視線の配置で印象を操る

第2回個展出品作品 モアイのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治
モチーフの明暗の付け方や、視線が向かう方向に応じて、印象を意図的に調整することができます。
例えば、画面の左側に暗い要素を、右側に明るいモチーフを置くと、作品全体に前向きな印象が加わります。
逆に、暗い背景に、沈んだ表情の人物を配置することで、内省的で深い印象を与えることができます。視線の流れと光の扱いをセットで考えることが、演出力を高めるコツです。
絵画の世界では、画面の左側は過去を、右側は未来を暗示していますので、この点も表現の要素として記憶しておきましょう。
空間の重なりで立体感を演出する
モチーフ同士の重なりや、前後関係を意識した配置は、平面上に奥行きを与え、臨場感を生みます。
たとえば、手前に小さな物体を配置し、背景に主役や準主役を配置することで、距離感が明確になり、画面に空気が流れます。
あるいは、次の作品のように葡萄の一粒を手前において、房は奥に置くことでも、遠近感を強調できるので、距離感を作れます。

第1回個展出品作品 葡萄 1996 F6 鉛筆画 中山眞治
これにより、ただ観えるだけでなく、感じ取れる空間が形成され、作品が観てくださる人に語りかけるようになります。
配置の間にある「間」を演出する
描かれたモチーフとモチーフの間にある「間」は、観てくださる人が一呼吸おくための静かなスペースです。
これを意識的に設けることで、作品にリズムと深みが加わります。間があることで、主題が引き立ち、余韻を残す演出が可能となります。次の作品を参照してください。

国画会展 入選作品 誕生2006-Ⅱ F100 鉛筆画 中山眞治
配置を整えるだけでなく、間の質まで意識することが、心に響く作品づくりの基盤となります。演出とは、作品を観た瞬間に、観てくださる人の感情が動くよう設計することです。

配置・明暗・空間・間といった視覚的要素を駆使し、構図の中に感情の流れを編み込むことができれば、観てくださる人と作品との間に静かな対話が生まれます。
練習課題例(3つ)

第2回個展出品作品 ランプの点る生物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治
本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画は、練習すればするほど上達できますので、是非試してみてください。
課題①:視線を誘導するZ字構図で花瓶を描く
Z字状(ジグザグ)とは、次の画像のように2Dや3Dで使うことができる構成です。

画面左下から右上にかけて、布や影などをZ字状(ジグザグ)に配置し、その流れの中に花瓶を描いてみましょう。
モチーフだけでなく、視線の動きに意識を向けながら描く練習です。

課題②:余白と対話する構図で人物を表現する
画面の右下に人物の顔を配置し、左側には大きな余白を設けてください。
視線誘導や空間の緊張感、描かないことで語る表現を体験できる課題です。

課題③:目線の交差点を意識して動物を描く
正面を見つめる猫や犬などの動物を、画面中央や3分割交点上に配置します。
目が合う構図が生み出す印象と、その演出効果を感じながら描くことを目指します。

まとめ:観てくださる人に語りかける鉛筆画の構図と配置の極意

第2回個展出品作品 灯(あかり)の点(とも)る窓辺の静物 2000 F100 鉛筆画 中山眞治
鉛筆画で、観てくださる人の心に語りかけるためには、構図と配置に込める意図が極めて重要です。
描写力が向上した、鉛筆画中級者の人の段階では、「何をどう描くか」から「どのように見せるか」へと視点を移す必要があります。
単なる技術の積み重ねではなく、構図の工夫と配置の演出によって、作品が感情を伝えるメッセンジャーへと昇華するのです。
特に、視線誘導や余白の活用、モチーフとの目線の交差、光と影の設計など、あらゆる要素が「語りかける作品」を生むための手段になります。
以下に、心に響く構図づくりのポイントを7つまとめました。
心を動かす構図のための7つのポイント
- 視覚の設計として構図をとらえる
描写の上達だけではなく、画面のどこに何を配置するかを意図的に設計することで、作品全体に物語性が生まれる。 - 3分割構図を活用して視線の流れを整える
主役や準主役を3分割構図の交点に置くことで、視線が自然に動き、安定感と動きが両立した構成になる。 - 曲線や斜線を用いて視線を誘導する
S字・Z字(ジグザグ)構図を意識した布や影の配置が、観てくださる人の目を画面内に引き込み、感情の流れを生み出す。 - 余白は沈黙の語り手として使う
描かない部分に意味を持たせることで、視覚の間や余韻が生まれ、静かに語りかける空間が完成する。 - 目が合う構図で視覚的な対話を演出する
人物や動物の視線と、観てくださる人の視点が交差するように配置すると、作品と観てくださる人の間に強い接点が生まれる。 - 空間と重なりを利用して奥行きと臨場感を高める
前後関係を意識した配置が、作品に物理的な深さと感情的な厚みを与える。 - 明暗や視線の方向で印象を設計する
光と影のバランス、目線の動きなどを含めて構図を設計することで、観てくださる人の感情の方向性までもコントロールできる。
これらの要素を意識的に構成に取り込むことで、鉛筆画は単なる描写を超え、「観てくださる人にそっと語りかける作品」へと変化していきます。
静かな印象の中に、確かな意図が宿るような構図を探り続けていくことが、鉛筆画中級者の人にとっての最大の成長となるでしょう。
ではまた!あなたの未来を応援しています。
3分割や重心のバランスを活かしながら、視点の位置にも意識を向けることで、作品が語りかけてくるような深みを持たせることができるでしょう。