風景が描けるようになる!モノクロの鉛筆画やデッサンのための実践練習課題集

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、風景を描こうとすると、何から手をつければよいのか分からず、描き始めても途中で迷ってしまうこともあるでしょう。

 モノクロの鉛筆画やデッサンでは、とくに構図の整理や奥行きの出し方、空気感の表現が難しく感じられるのではないでしょうか。

 この記事では、風景が描けるようになることを目的に、実践的な練習課題を段階的にまとめました。単なる描き方の説明ではなく、何を意識して、どこを練習すればよいのかが明確になる構成です。

 鉛筆画やデッサン初心者から中級者手前で、つまずきやすいポイントを押さえながら、風景の表現に必要な観察力と構成力を着実に身につけていきましょう。

 それでは、早速どうぞ!

Table of Contents

風景の鉛筆画やデッサンで最初に身につけたい「画面整理」の練習課題

 風景を描こうとすると、情報量が多すぎて、どこから手をつければよいのか分からなくなることがありませんか?

 建物、木、空、地面などをすべて描こうとするほど、画面は散漫になり、主題が伝わらなくなります。

 モノクロの鉛筆画やデッサンで、風景を描けるようになるためには、描写力以前に「画面をどう整理するか」という判断力が欠かせません。

 本章では、描き始める前段階で行うべき画面整理の考え方を、実践的な練習課題につなげて解説します。

この練習ルーティンの考え方は、無料メルマガで順序立てて解説しています。

毎日10分で続けられる練習の考え方を配信しています。

描く前に「主役」と「脇役」を決める練習


 風景がまとまらない原因の多くは、すべてを同じ比重で扱ってしまうことにあります。

 まずは、画面の中で最も伝えたい要素を一つ決め、それ以外は脇役として扱う意識を持つことが重要です。

 主役が、建物なのか、道なのか、空なのかを明確にし、主役以外は形やトーンを簡略化する練習を行います。この判断ができるようになると、描写量を抑えても伝わる風景表現が可能になります。

 もっとわかりやすく言えば、公園のベンチ・街灯・池・一本の樹・遊具など何か一つに絞って主役に据えて、それを中心とした風景にするということです。

情報を減らすための省略トレーニング


 実際の風景には、無数の細部がありますが、それらをすべて描く必要はありません。

 画面整理の練習では、あえて描かない要素を決めることが効果的です。細かい枝、遠景の細部などを省略し、大きな形と動きだけで構成するトレーニングを行います。

 省略は手抜きではなく、伝えたい印象を強めるための、積極的な判断であることを体感することが目的です。

 とくに、意識すべき点は、我々人間の目は「細かい柄や模様」に注意を奪われる習性があります。具体的には、次の作品の中で筆者が一番強調したい部分は、右に曲がりながら坂を上ったあたりの交差点付近を強調しています。

 仮に、その手前左側にある樹木を細密描写してしまうと、観てくださる人の視線はその樹木へ吸い寄せられてしまい、焦点ボケの作品になってしまうのです。

     第3回個展出品作品 坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 そこで、この作品では、樹木が「何となくわかる程度」の描写にしています。そうすることで、観てくださる人の視線を一番強調したい部分へ誘導しています。

 このように、意図する部分へ視線を誘導するためには、デフォルメを上手に使いましょう。デフォルメは、削除・省略・拡大・縮小・つけたしなど、何でもありです。^^

 作品をより見映えのする、分かりやすく主張を整理するためや、構図分割線を有効活用する際などに、この手法が活きてくることを記憶しておきましょう。

 もっと言えば、実際の風景には電柱や電線があっても、それらを削除することで作品が見映えのする、整理された作品になるのであれば、それでよいのです。どのプロ画家も実践しています。^^

大きな形から配置を決める構成の練習


 描き始めの段階から、いきなりある部分の細部の描写に入ってしまうと、全体のバランスが崩れやすくなります。

 画面整理の基本は、空・地面・建物や樹木といった大きな形を先に配置することです。

 輪郭線を使って、面の広がりを意識しながら配置を決める練習を行うことで、安定した画面構成が身につきます。この段階では、正確さよりも全体の収まりを優先します。

画面を俯瞰して確認する視点の習慣化


 描いている最中は、部分に意識が集中しがちです。そのため、定期的に画面から距離を取り、全体を俯瞰する習慣をつけることが重要です。

 具体的には、全体の大まかなデッサンができたところは勿論のこと、区切り区切りでも、一旦休憩をはさんで、また、制作画面から2~3m離れたところから制作画面を「点検」することで、客観的な確認ができます。^^

 また、上下左右を、トリミング(切り取り)するように眺めたり、目を細めて明暗の塊を見ることで、整理不足の箇所が見えてきます。この確認作業自体を練習として取り入れることで、構成判断の精度が高まるのです。

 風景を描けるようになるための第一歩は、描写技術を磨くことではなく、画面を整理する判断力を身につけることです。

 主役と脇役を分け、省略を恐れず、大きな形から構成を組み立て、常に全体を「点検」する。この一連の流れを練習課題として繰り返すことで、描き始めの迷いは確実に減っていきます。

 描き始めの迷いを減らし、練習全体の組み立てから整えたい場合は、
鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイドも参考になります。

なかやま

次章では、この整理された画面に奥行きを与えるための、距離感のトレーニングに進みましょう。

奥行きが出ない原因を克服するための距離感のトレーニング

 風景の鉛筆画やデッサンを描いていて、作品全体が平坦に見えてしまう、奥行きが感じられない。

 この悩みは、モノクロの鉛筆画やデッサンに取り組む多くの人が一度は直面します。原因は描写力不足ではなく、距離感の捉え方が曖昧なまま描いてしまっている点にあります。

 本章では、近景・中景・遠景という空間の分け方を軸に、奥行きを生み出すための距離感のトレーニングを実践的な練習課題として整理しましょう。

近景・中景・遠景を意識的に分ける練習


 奥行きのある風景表現では、画面を3つの層に分けて考えることが基本になります。

 手前にくる要素、画面の中心となる中間距離、背景として控えめに扱う遠景を意識的に区別する練習を行いましょう。

 最初は、細部を描かず、それぞれの領域を大まかな形とトーンで配置することで、距離の違いを整理する感覚を養います。

 風景の奥行き練習を段階的に進めたい場合は、
風景デッサン初心者が何から始めればいいか分かる練習ステップ完全版も併せて確認してみてください。

距離によるコントラストの差を体感するトレーニング


 奥行きが出ない最大の原因は、すべての距離を同じ強さで描いてしまうことです。

 近景は、コントラスト(明暗差)を強め、中景は中間的なトーン、遠景は明暗差を抑える。この基本を意識し、同じモチーフを距離別に描き分ける練習を行います。

 実際に描き比べることで、距離とコントラスト(明暗差)の関係が、感覚として身についてくるのです。

輪郭線に頼らず距離を表現する練習


 遠くのものほど、輪郭が曖昧になるという視覚的な特徴を理解することも重要です。

 すべてを同じ線質で囲ってしまうと、距離感は失われます。奥行きを出すトレーニングでは、遠景では輪郭を弱め、面として捉える練習を行います。

 線を減らすことで、距離が自然に後退して見える効果を体感することが目的です。

重なりを使って空間を作る配置練習


 奥行きの表現で、最も分かりやすい手がかりは「重なり」です。手前の要素が奥の要素を部分的に隠すだけで、画面に明確な前後関係が生まれます。

 建物と木、道と柵など、複数の要素を重ねて配置する練習を通して、距離を視覚的に整理する力を養います。この配置判断ができるようになると、空間構成が一気に安定するのです。

 奥行きが出ない原因は、距離ごとの扱いが曖昧なまま描いてしまうことにあります。

 近景・中景・遠景を分け、コントラスト(明暗差)と線の強弱を調整し、重なりを意識する。これらを練習課題として繰り返すことで、風景に自然な空間の広がりが生まれるのです。

 尚、劇的な遠近法の演出方法をお伝えしておきます。それは、近景を「薄暗く」・中景を「暗く」・遠景を明るく描くことで、圧倒的な画面深度を得ることができます。次の作品を参照してください。

      国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅰ F130 鉛筆画 中山眞治

次章では、こうして整理された距離関係を、モノクロならではの明暗表現によって立体感へと発展させていきます。

モノクロでも立体感を出すための明暗・トーンの練習課題

 モノクロの鉛筆画やデッサンで風景を描く際に、「形は合っているのに立体感が弱い」・「のっぺりして見える」と感じることは少なくないのではありませんか?

 その原因の多くは、明暗やトーンの扱いが感覚任せになっている点にあります。色彩を使わないモノクロの表現では、明暗こそが立体感や空間を作る最大の要素です。次の作品を参照してください。

         第1回個展出品作品 夜の屋根 F10 鉛筆画 中山眞治

 本章では、風景表現に必要な明暗・トーンの考え方を整理し、それを確実に身につけるための練習課題として落とし込んでいきます。

明暗を「装飾」ではなく「構造」として捉える練習


 明暗をつける目的を、雰囲気づくりや仕上げの作業だと考えてしまうと、立体感は安定しません。明暗は、形や空間を成立させるための構造要素です。

 まずは、光源を一つに限定し、どの面が明るく、どの面が暗くなるのかを論理的に整理する練習を行います。

 影を描くのではなく、面の向きを描く意識を持つことで、トーンが立体を支える役割を果たし始めるのです。

中間トーンを意識的に作るトレーニング


 立体感が出ない風景に共通する問題として、白と黒だけで構成してしまう傾向があります。

 実際の風景の多くは、極端な明暗ではなく、中間的なトーンによって構成されています。この練習では、明るい部分と暗い部分の間に、複数の中間トーンを意識的に作り分けるのです。次の作品を参照してください。

           静かな夜Ⅱ 2023 F10 鉛筆画 中山眞治

 トーンの段階を増やすことで、面のつながりや緩やかな起伏が、自然に表現できるようになります。

距離によるトーンの変化を描き分ける練習


 風景における明暗は、形だけでなく距離とも密接に関係しています。

 手前はコントラスト(明暗差)が強く、遠くなるほどトーンの差は小さくなります。この原則を理解した上で、同じ明暗設計を画面全体に適用しないように注意しましょう。

      第3回個展出品作品 静かな夜Ⅳ 2024 F10 鉛筆画 中山眞治

 近景・中景・遠景のトーンの幅を変える練習を行うことで、奥行きと立体感が同時に強化できます。

描き込みすぎを防ぐためのトーン制御の練習


 明暗の表現に慣れてくると、必要以上に描き込んでしまい、画面が重くなることがあります。 立体感は、トーンの量ではなく、適切な配置と差によって生まれます。

 この練習では、使用するトーンの数や濃さに制限を設け、最小限の情報で立体を表現する訓練を行います。描き足すのではなく、抑える判断力を養うことが目的です。

 モノクロの鉛筆画やデッサンにおける立体感は、明暗やトーンを感覚ではなく構造として扱えるかどうかで決まります。

 光源を整理し、中間トーンを丁寧につなぎ、距離に応じてトーンの幅を調整する。そして描き込みすぎを避ける判断を身につける。これらを練習課題として繰り返すことで、風景は自然な厚みと存在感を持ち始めるのです。

 トーンが弱く感じたり、印象がぼやける場合は、
線がかすれる・薄いと感じたら?鉛筆画・デッサンで印象を引き締める方法!も参考になります。

なかやま

次章では、こうして得た立体感を単調に見せないための、構図バリエーション練習へ進みます。

単調な風景を避けるための構図バリエーションの練習

 風景を描き続けていると、「毎回似た構図になってしまう」「描き慣れてくるほど新鮮味がなくなる」と感じることがあります。

 これは観察力や描写力の問題ではなく、構図の組み立て方が無意識のうちに固定されていることが原因です。

 モノクロの鉛筆画やデッサンでは、色彩に頼らない分だけ、構図の工夫が画面の印象を大きく左右します。

 本章では、単調さを避け、風景表現に変化を与えるための、構図バリエーションの練習を実践的に整理しましょう。

視点の高さを変える構図のトレーニング


 同じ場所を描いても、視点の高さが変わるだけで画面の印象は大きく変化するのです。

 立った目線、しゃがんだ目線、やや見下ろす視点などを意識的に切り替える練習を行います。視点を下げれば前景が強調され、上げれば全体の広がりが出ます。

 このトレーニングでは、モチーフ自体を変えず、視点だけを操作することで構図の幅を体感することが目的です。

画面内の余白を意識した配置の練習


 単調な風景になりやすい人は、画面を隙間なく埋めようとする傾向があります。

 しかし、余白は風景に空気感や、静けさを与える重要な要素です。この練習では、あえて描かない領域を設けて、主役との関係性を考えながら配置を決めましょう。

 余白があることで、主題が際立ち、画面全体のバランスが整うことを実感できます。

視線の動きを作る構図の練習


 構図の良し悪しは、観てくださる人の視線をどのように、画面内を導けるかによって決まります。

 道や川、建物の並びなどを利用し、視線が自然に奥へ導かれる配置を考える練習を行いましょう。次の作品を参照してください。

       坂のある風景Ⅱ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 線や形の向きを揃えることで、視線の動きが生まれ、静止した風景にも動きと奥行きが加わります。

主役をずらして配置するバリエーションの練習


 主役を常に画面中央に置いてしまうと、構図は安定する一方で変化に乏しくなります。この練習では、主役を画面の端寄りや、やや外した位置に配置し、周囲との関係で画面を成立させます。

 主役をずらすことで、背景や余白の役割を考える必要が生まれ、構図全体の判断力が鍛えられます。単調な風景を避けるためには、描写を増やすのではなく、構図の選択肢を増やすことが重要です。

 そのためにも、あなたが描き始めであれば、5作品ほど描いて、描くことにある程度慣れましたら、「構図」も研究し始めましょう。簡単な構図もたくさんあります。構図に関しては、下の関連記事で確認できます。

 視点の高さ、余白の使い方、視線の流れ、主役の配置を意識的に変えることで、同じモチーフでもまったく異なる印象の風景が生まれます。

 これらを練習課題として繰り返すことで、構図が固定化することなく、表現の幅を広げることができるのです。

 構図で差がつく!表現力を引き出す鉛筆画の構図アイデア5選とは?

次章では、ここまでに学んだ要素を一枚にまとめ上げるための総合練習に進みます。

仕上げで差がつく風景表現のための総合練習課題

 風景を最後まで描いたはずなのに、どこか物足りない、完成したと言い切れない。

 こうした悩みの多くは、途中の描写技術ではなく、仕上げ段階での判断が曖昧なことから生まれます。モノクロの鉛筆画やデッサンでは、描き足すことよりも整える判断が重要になります。

 本章では、画面整理、距離感、明暗、構図といった要素を一枚の中で統合し、完成度を高めるための総合的な練習課題として、仕上げの考え方を整理しましょう。

全体の明暗バランスを再確認する仕上げの練習


 仕上げ段階で最初に行うべき確認は、細部ではなく画面全体の明暗バランスです。

 部分ごとに描き込んでいると、意図せずトーンがばらつき、画面が落ち着かなくなります。

 この練習では、目を細めて全体を見渡し、明るさの偏りや主役の埋没が起きていないかを確認します。必要に応じてトーンを抑えたり、主役周辺を整理することで、画面のまとまりが生まれるのです。

 具体的には、主役にしっかりと「ハイライト」を入れて、主役へのトーンも一段濃くしてみましょう。主役以外のモチーフには、トーンを慎重に淡く入れて、主役が目立つように、メリハリをつけましょう。^^

描き込みすぎを止めるための引き算トレーニング


 完成に近づくほど、もう少し描き足したくなる誘惑が強くなるものです。

 しかし、多くの場合、完成度を下げている原因は描き込みすぎです。この練習では、不要な線やトーンを見つけて、あえて省く判断を行います。

 削ることで、形や明暗の関係が明確になり、風景の印象が引き締まることを体感することが目的です。

主役と脇役の関係を最終調整する練習


 仕上げ段階では、主役が本当に主役として強調できているかを再確認します。

 周囲の要素が強すぎる場合はトーンを落とし、主役との距離感を調整しましょう。

 この場合には、周囲の脇役の「柄や模様を簡略化」したり、あるいは、練り消しゴムを小さな「しゃもじ」のような形状にして、脇役のトーンを優しく軽くなでてトーンを落とすことを考えてみるのも手段になります。

 これらの練習を通して、画面全体の中でどこに視線を集めたいのかを明確にし、意図した構成の風景に仕上げていきます。

完成の判断基準を言語化する確認練習


 描き終えたかどうかの判断が曖昧の場合には、作品はいつまでも未完成のままになります。この練習では、完成と判断するための基準を言語化します。

 構図が安定しているか、明暗が整理されているか、主役が明確かなど、チェック項目を持つことで感覚に頼らない判断が可能になり、この基準を毎回確認することが、完成度の安定につながるのです。

 風景表現の仕上げで差がつくのは、描写力ではなく判断力です。全体の明暗を俯瞰し、描き込みすぎを抑え、主役と脇役の関係を整え、完成基準を明確にする。

 これらを総合練習課題として繰り返すことで、風景は途中で留まることなく、一枚の作品として締まった印象を持って完成することができます。

 仕上げ段階で迷いやすい場合は、
下絵から仕上げへ!完成度を引き上げる鉛筆画・デッサンの練習法とコツも役立ちます。

なかやま

ここまでの練習を通して、モノクロの鉛筆画やデッサンで、風景を描き切る力が確実に身についていくはずです。

練習課題(3つ)

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

主役と脇役を明確に分ける画面整理練習

内容


 身近な風景(公園・住宅街・窓からの景色など)を一つ選び、その中で「最も描きたい要素」を一つだけ主役として決めます。
 主役以外の要素は、形を簡略化し、トーンも抑えめにして配置します。

ポイント


・主役は1つだけに限定する。
・脇役は情報量を減らし、存在感を下げる。
・描写量ではなく、役割の差を意識する。

目的


 画面全体を均等に描こうとする癖を断ち、主役が自然に伝わる画面整理の判断力を養う。

        参考画像です

描かない要素を決める省略トレーニング

内容


 同じ風景を2回描きます。
 1枚目は見えたものをそのまま描き、2枚目は「描かない要素」をあらかじめ3つ決めてから描きます。(例:電線、遠景の細かい枝、細部の凹凸など)。

ポイント


・省略は途中判断ではなく、事前に決める。
・大きな形と、動きが伝わっているかを確認。
・省いたことで、主役が強調されているかを見る。

目的


 省略=手抜きではなく、印象を整理するための積極的な判断であることを体感する。

        参考画像です

大きな形だけで構成する配置の練習

内容


 風景を、「空」「地面」「建物や樹木」など、3〜4個の大きな形に分解し、細部を一切描かずに配置します。
 輪郭線を強調せず、面の広がりだけで構成を整えます。

ポイント


・細部描写は禁止。
・形のバランスと、位置関係だけを見る。
・画面全体の安定感を最優先する。

目的


 描き始めから細部の描写に入らず、全体構成を先に決める習慣を身につける。

            参考画像です

まとめ

       第3回個展出品作品 静かな夜Ⅴ 2024 F10 鉛筆画 中山眞治

 モノクロの鉛筆画やデッサンで、風景を描けるようになるためには、単に描写力を高めるだけでは不充分です。

 この記事で解説してきました練習課題は、風景の表現を成立させるために必要な判断力を、段階的に身につけることを目的としています。

 まず重要なのは、描き始める前に画面を整理する力です。主役と脇役を分け、情報量を意識的にコントロールすることで、描写量に頼らず伝わる風景が成立します。


 次に、奥行きや距離感の理解です。近景・中景・遠景を分けて考え、コントラスト(明暗差)や線の扱いを変えることで、平面的な画面から空間の広がりを感じられる風景へと変化します。

 さらに、モノクロならではの明暗とトーンの練習によって、色彩に頼らずに立体感や厚みを表現できるようになれます。


 構図の練習では、視点の高さや余白、主役の位置を変えることで、同じモチーフでも多様な印象を生み出せることを確認しました。

 そして最後に、仕上げ段階での判断力です。描き込みすぎを抑え、全体のバランスを俯瞰し、完成基準を明確にすることで、一枚の作品として描き切る力が身につくのです。


 これらの練習は、一度で完璧にできるものではありませんが、課題として繰り返すことで、風景を前にしたときの迷いは確実に減っていきます。

 モノクロの鉛筆画やデッサンで、風景を描けるようになるとは、描写力が増えることではなく、描くべきものと省くべきものを判断できるようになるということです。

 この記事の練習課題を通して、その判断力を少しずつ積み重ねていってください。

 この記事の練習ポイントまとめ(箇条書き)

  • 風景を描く前に、主役と脇役を明確に分けて画面を整理する。
  • すべてを描こうとせず、省略を前提に構成を考える。
  • 近景・中景・遠景を意識し、距離ごとに描写の強さを変える。
  • 明暗やトーンを、感覚ではなく構造として捉える。
  • 中間トーンを意識し、白と黒だけに頼らない表現を行う。
  • 視点の高さや余白を変え、構図の選択肢を増やす。
  • 主役の位置を固定せず、配置のバリエーションを試す。
  • 仕上げでは、描き足すよりも引き算を意識する。
  • 全体を俯瞰して点検し、完成の判断基準を明確にする。

 今回の練習課題をどの順番で取り入れるか迷う場合は、
初心者から中級者へ進むための鉛筆画・デッサン練習ロードマップ完全版を参考にしてください。

この練習ルーティンの考え方は、無料メルマガで順序立てて解説しています。

毎日10分で続けられる練習の考え方を配信しています。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。