風景デッサンがごちゃつく原因とは?整理力を鍛える鉛筆画の練習法

 こんにちは。私は、アトリエ光と影の代表で、プロ鉛筆画家の中山眞治です。

            筆者近影 作品「静物2025-Ⅲ」と共に

 さて、風景を鉛筆画やデッサンで描いていると、「頑張って描いているのに、なぜかごちゃついて見える」「何を描けばよくて、何を省略すべきかわからない」と感じることはありませんか?


 実は、この悩みは、描写力やテクニック以前に、風景を整理する視点が曖昧なことが原因で起こるケースがほとんどです。

 要素が多い風景では、すべてを平等に描こうとすると情報量が過剰になり、画面が散漫になってしまいます。


 この記事では、風景の鉛筆画やデッサンが「ごちゃつく」根本原因を、整理の観点から明確にし、構図・省略・主役の考え方を軸に、整理力を鍛えるための鉛筆画やデッサンの練習法を段階的に解説しましょう。

 描き込みに悩み始めた人が、一段上の表現へ進むための指針となる内容です。

 それでは、早速どうぞ!

Table of Contents

風景の鉛筆画やデッサンが「ごちゃつく」本当の原因は「描写量」ではない

 風景の鉛筆画やデッサンが、「うるさく」見えてしまうとき、多くの人は「描き込みすぎた」「情報量が多すぎた」と感じがちです。

 しかし、実際には、描写量そのものが直接の原因ではないケースがほとんどです。問題は、どの情報をどう整理して、画面に配置しているかという判断の部分にあります。

 本章では、風景が「ごちゃついて」見える本当の原因を、整理の視点から分解していきましょう。

情報量が多くても整理されていれば破綻しない

 街並みや森、室内風景など、要素が多いモチーフでも、完成度の高い風景の鉛筆画やデッサンは存在します。

 そのような作品では、建物、樹木、道、空といった要素が多く描かれていても、画面全体が破綻せず、落ち着いた印象を保っています。これは描写量を抑えているからではなく、情報同士の関係性が整理されているからです。

 どの要素が画面の中心で、どこが背景として機能しているのかが明確であれば、描写が増えても混乱は起こりにくくなります。

すべてを同じ密度で描こうとする意識が混乱を生む

 風景を前にすると、目に入るものすべてを、同じ熱量で描こうとしてしまうことがあります。しかしこの姿勢こそが、「ごちゃつき」の最大の原因です。

 手前のモチーフと奥の風景、注目させたい部分とそうでない部分を同列に扱ってしまうと、画面内にメリハリが生まれません。

 結果として、視線の行き場がなくなり、情報が散乱した印象になります。整理とは、描く量を減らすことではなく、描写の密度に差をつける判断力なのです。

整理できていない風景は「視線の導線」が存在しない

 「ごちゃついた」風景の、鉛筆画やデッサンを客観的に見ると、多くの場合、視線がどこにも定着できない状態になっています。

 これは構図以前に、画面の中で視線を導く流れが設計されていないためです。どこから見始め、どこを経由し、どこで止まるのか。

 この流れが意識されていないと、どんなに丁寧に描いても雑然とした印象になります。整理とは、要素を減らす作業ばかりではなく、視線の通り道を意識する思考でもあります。

「描写力不足」と誤解すると改善が遠回りになる

 風景の鉛筆画やデッサンが「ごちゃつく」原因を、描写力不足だと決めつけてしまうと、解決策として、ひたすら描き込み練習に走ることになります。

 しかし、整理の視点が欠けたまま描写量だけを増やしても、問題はむしろ増幅してしまいます。ここで必要なのは、描く前の段階で画面をどう整理するかを考える視点です。

 この意識や視点を持つことで、同じ描写力でも風景の見え方は大きく変わってきます。風景の鉛筆画やデッサンが「ごちゃつく」原因は、描写量の多さではなく、情報整理の判断が曖昧なことにあります。

 すべてを同じ密度で描こうとせず、要素の役割や視線の動きを意識することで、画面は自然と整理されていくのです。

 描写量ではなく判断の問題でつまずいている場合は、
線がかすれる・薄いと感じたら?鉛筆画・デッサンで印象を引き締める方法!も参考になります。

なかやま

まずは描き込みを疑う前に、整理の視点が欠けていないかを確認することが、改善への第一歩となります。

主役と脇役を決められないと風景は整理できない

 風景の鉛筆画やデッサンが、整理されない大きな理由の一つに、「何を主役として描いているのかが曖昧なまま描き進めてしまう」という問題があります。

 風景には、魅力的な要素が数多く含まれているため、すべてを同じ価値で扱いたくなりますが、その結果、画面の焦点が定まらず、雑然とした印象になってしまうのです。

 本章では、主役と脇役の考え方を整理して、風景をまとめるための視点を明確にしていきます。

風景には必ず「最初に見せたい場所」が存在する

 完成度の高い、風景の鉛筆画やデッサンを見ると、自然と最初に目が向かう場所があります。それは偶然ではなく、作家が意図的に主役として設定した部分です。

 建物の一角、道の曲がり、一本の木、光の当たる地面など、主役は必ずしも大きなモチーフである必要はありません。

 重要なのは、その風景で何を一番伝えたいのかを、自身の中で言葉にできているかどうかです。これが曖昧なままだと、描写の方向性が定まらず、全体が散漫になります。

すべてを主役にしようとすると画面は破綻する

 風景を前にすると、「ここも大事」「あそこも魅力的」と感じ、結果的にすべてを丁寧に描こうとしてしまいます。

 しかし、すべてを主役として扱うことは、主役が存在しない状態と同じです。画面内で役割の差がつかないため、視線がさまよい、情報量以上にうるさく感じられるのです。

 整理された風景の鉛筆画やデッサンでは、主役が引き立つように、脇役は控えめに配置・描写されています。この強弱の差こそが、画面を落ち着かせる要因になります。

 具体的には、次の作品を参照してください。この作品で、一番見せたい部分は、右にカーブしながら登って行った道の突き当り部分です。

    第3回個展出品作品 坂のある風景Ⅰ 2019 F1 鉛筆画 中山眞治

 そして、そのカーブの手前にある樹々を、意図的に「何となくわかる程度」の描写に抑えています。その理由として、我々人間の目は、細かい柄や模様に注意を奪われる習性を持っているからです。

 もしも、この樹々を細密描写してしまっていたら、観てくださる人の視線は、そちらへ向かってしまい、筆者が一番注目して欲しい強調点へ誘導できず、「何が言いたいの分からない作品」になってしまいかねません。

 このように、あなたが一番感動を受けている・強調したい部分を主役にして描くということは、それ以外の脇役などには、「目立たせない工夫」が必要であるということなのです。^^

 もっと言えば、主役以外のモチーフや部分には、実物にたとえ「細かい柄や模様」があったとしても、それらを簡略化・省略化することで、観てくださる人の視線を適切に主役へ誘導できるということになります。

脇役は「省略」ではなく「支える役割」と考える

 脇役と聞くと、描かなくてもよい要素と捉えてしまう人もいますが、それは誤解です。脇役は、主役を際立たせるために欠かせない存在であり、完全に省略するものではありません。

 ただし、主役と同じ情報量や密度で描く必要はないのです。形を単純化したり、トーンを抑えたりすることで、主役に対して邪魔せずに画面を支える役割を果たします。

 この意識があるだけで、風景全体の整理度は大きく変わるのです。

描く前に主役と脇役を書き出す習慣が整理力を高める

 主役と脇役の判断は、描き始めてから考えるのでは遅くなりがちです。

 下絵やラフの段階で、「今回の主役は何か」「それを支える要素は何か」を書き出しておくことで、描写中に迷いが減ります。

 この整理ができていると、描き込みすぎそうになったときでも、立ち止まる判断がしやすくなります。

 主役と脇役を意識的に分ける習慣は、風景の鉛筆画やデッサン全体の安定感を高める重要な基礎となるのです。

 風景の、鉛筆画やデッサンを整理するためには、主役と脇役を明確に分けて考えることが欠かせません。

 すべてを同じ重要度で描こうとせず、最初に見せたい場所を決め、それを支える要素として他の情報を配置することで、画面は自然とまとまります。

主役を決める判断力こそが、風景整理の核となる要素です。

描き込みすぎを防ぐための情報の取捨選択ルール

 風景の鉛筆画やデッサンで、整理が崩れる大きな分岐点は、「描き込みすぎ」に気づいたときに、どう判断するかにあります。

 多くの場合、描写を足す判断はできても、止める判断ができずに情報が増え続けてしまうのです。

 本章では、描き込みすぎを防ぐために必要な、情報の取捨選択を行う具体的な考え方とルールを整理していきます。

描く前に「描く目的」を一つだけ決める

 描き込みすぎを防ぐために、最も効果的なのは、制作の目的を一つに絞ることです。

 雰囲気を伝えたいのか、奥行きを見せたいのか、静けさを表現したいのか。目的が定まっていない状態では、どの情報も必要に見えてしまい、判断が鈍ります。

 逆に、目的が明確であれば、その表現に直接関係しない情報は自然と後回しにできます。取捨選択は技術ではなく、目的意識から始まるのです。

情報は「形・明暗・質感」の三段階で整理する

 風景の情報を整理するとき、すべてを同時に判断しようとすると混乱が生じます。

 そこで有効なのが、形、明暗、質感を段階的に考える方法です。まずは大まかな形と配置だけを確認し、次に明暗の塊で画面を整理しましょう。

 最後に、必要な部分だけ質感を加えることで、描写の密度をコントロールしやすくなります。この順序を守ることで、無意識に描き込みすぎることを防げます。

「全部描ける」より「描かなくてよい部分」を選ぶ

 描写力が向上すると、見えているものをすべて描けるようになれます。しかし、風景の鉛筆画やデッサンでは、「描けるかどうか」と「描くべきかどうか」は別の判断です。

 画面上の、主役や流れに影響しない情報は、あえて描かない選択をすることで、全体が引き締まります。

 描かないことは手抜きではなく、整理された表現を成立させるための積極的な判断です。

 具体的な例を挙げれば、実際に見えている風景には電柱や電線があっても、それらを省略して描くことで、見映えを整えることができます。

 これをデフォルメと言いますが、どのプロ画家も当たり前に行っているのです。見えている景色を制作画面上で構成する際には、あなたの主役に据えるモチーフや部分が引き立つように、不要な要素は省略しましょう。^^

 また、全体に描きこみを加えた仕上がりにしたいのであれば、主役部分にはしっかりとハイライトを効かせて、それ以外の脇役にはハイライトを抑えて描くことでも、主役を引き立てることができます。

途中で立ち止まり「引き算の点検」を行う

 描写が進むにつれて、当初の整理意図が薄れていくことは珍しくありません。

 そのため、制作途中で意識的に立ち止まり、引き算の点検を行うことが重要です。一旦休憩をはさんで画面から目を離し、戻ってきたときに不要に感じる部分があれば、そこが整理の余地となります。

 この点検を挟むことで、描写が暴走するのを防ぎ、冷静な判断を保つことができます。描き込みすぎを防ぐためには、描写を減らす意識ではなく、情報を選ぶ基準を持つことが重要なのです。

 目的を一つに絞り、形・明暗・質感を段階的に整理し、描かない判断を肯定することで、風景の鉛筆画やデッサンは大きく安定します。

 描き込みをどこで止めるべきか判断に迷いやすい場合は、
描き込みすぎを防ぐ!静物デッサンで完成度を上げる練習法とは?も参考になります。

なかやま

取捨選択のルールを意識することが、整理力を確実に高める近道になるのです。

構図以前に必要な「画面全体をまとめる整理思考」

 風景の鉛筆画やデッサンが「ごちゃつく」と、「構図が悪いのではないか」と考える人は少なくありません。しかし実際には、構図以前の段階で、画面が整理されていないことが原因となっているケースが多く見られます。

 構図は、あくまでも配置の技術であり、その土台となる整理思考が欠けていると、どんな構図を選んでも混乱は解消できません。

 本章では、構図を導入する前に身につけておくべき、画面全体をまとめるための考え方を整理していきます。

画面全体を「一枚の面」として捉える意識が不足している

 描写に集中していると、風景を個々のモチーフの集合として見てしまいがちです。その結果、建物、木、道、空といった要素を個別に処理し、画面全体としてのまとまりが失われます。

 整理された、風景の鉛筆画やデッサンでは、画面全体が一つの面として捉えられており、要素同士がどのように影響し合っているかが意識されているのです。

 この視点を持つことで、部分に引きずられず、全体のバランスを保った判断が可能になります。

明暗の大きな塊で画面を先にまとめる

 細部から描き始めると、画面は容易に分散してしまいます。そこで重要になるのが、明暗の大きな塊で画面を捉える整理思考です。

 空は明るい塊、地面は中間調、建物は暗めの塊といった具合に、細部を無視して全体を大づかみに整理します。

 この段階で、画面が成立していれば、その後に描写を加えても破綻しにくくなります。明暗の整理は、構図よりも先に行うべき基礎作業です。

奥行きは線ではなく「重なり」で整理する

 奥行きを出そうとして、線や遠近法に意識が向きすぎると、画面が複雑になりがちです。整理された風景では、奥行きは線の正確さよりも、要素同士の重なりによって表現されています。

 手前、中間、奥という重なりの層を意識し、それぞれの情報量や明暗を調整することで、自然な奥行きが生まれるのです。

 この考え方は、構図のテクニックに頼らずとも画面をまとめる助けになります。

構図を決める前に「整理された下地」を作る

 構図を考える前に、画面の中で何が起きているのかを整理しておくことは重要です。

 主役と脇役、明暗の配置、奥行きの層がある程度見えていれば、構図はそれを補強する役割として機能します。

 逆に、整理されていない状態で構図を当てはめても、効果は限定的です。構図は万能な解決策ではなく、整理思考の上に成り立つ技術であることを理解する必要があるのです。

 風景の、鉛筆画やデッサンをまとめるためには、構図の前に画面全体を整理する思考が欠かせません。

 要素を個別に処理するのではなく、制作画面全体を一枚の面として捉え、明暗や重なりで大枠を整えることで、画面は安定します。

整理された下地があってこそ、構図は本来の効果を発揮するのです。

整理力を鍛えるための風景の鉛筆画やデッサンの練習法

 風景の、鉛筆画やデッサンの整理力は、考え方を理解しただけでは安定して身につくものではありません。

 実際に描く中で、「整理できた状態」と「崩れた状態」の差を体感し、判断を積み重ねていく必要があります。

 本章では、風景がごちゃつかないための整理力を、段階的に鍛えていく実践的な練習法を紹介します。特別なモチーフや長時間の制作ではなく、日常的に取り組める内容に絞って解説しましょう。

最初の5分は「描かない整理」に使う

 整理力を鍛えるうえで効果的なのが、描き始める前の時間の使い方です。

 いきなり線を入れるのではなく、最初の数分間は画面を見ながら、主役は何か、脇役は何か、描く目的は何かを頭の中で整理します。必要であれば、スケッチブックや紙の端に言葉として書き付けても構いません。

 この描かない時間を挟むことで、描写中の迷いが大幅に減り、結果として「ごちゃつき」を防ぐことができます。

ラフ段階で「明暗の塊」だけを確認する

 本制作に入る前に、ラフな段階で明暗の塊だけを確認する練習も有効です。

 細部や質感を一切考えず、画面全体を大きなトーンのまとまりとして捉えます。この段階で整理が取れていれば、描写を進めても破綻しにくくなります。

 逆に、この時点で違和感がある場合は、構図や整理の見直しを優先します。明暗整理の確認は、描き込みすぎを防ぐための重要なブレーキになるのです。

制作画面の中で「描写密度の差」を意識的につくる

 整理力を高めるには、描写密度に意識的な差をつける練習が欠かせません。

 同じ風景を描く場合でも、主役は情報量を多めに、脇役は形と明暗だけでまとめるなど、役割ごとに描写の扱いを変えます。

 この練習を繰り返すことで、「ここは描く」「ここは抑える」という判断が、感覚として定着していきます。密度の差をつくる意識は、風景全体を整理する力を確実に底上げできるのです。

完成後に「整理できた点」を言葉で振り返る

 描き終えたあと、その出来を良し悪しだけで判断してしまうと、整理力は蓄積されません。

 重要なのは、「どこが整理できたか」「どこで判断が曖昧だったか」を言葉にして振り返ることです。主役は機能していたか、描かなくてよい部分を抑えられたかなど、具体的に確認しましょう。

 この振り返りを続けることで、整理の判断が経験として定着し、次の制作に確実につながっていきます。

 整理力は、一度身につければ終わりというものではなく、描くたびに確認し続ける力です。描く前に考え、描写中に密度を調整し、描き終えたあとに振り返る。

 この一連の流れを習慣化することで、風景の鉛筆画やデッサンは、自然と落ち着きのある画面へと変わっていきます。

なかやま

整理力を意識した練習を重ねることが、風景表現を安定させる最大の近道です。

練習課題(3つ)

 本章では、あなたが実際に手を動かして練習できる課題を用意しました。鉛筆画やデッサンは練習しただけ上達できますので、早速試してみてください。

主役と脇役を整理する風景ラフ練習

内容


 身近な風景(窓から見える景色、公園、住宅街の一角など)をモチーフに、5〜10分程度のラフスケッチを1枚描きます。

条件

  • 描く前に「今回の主役」を一つだけ決める。
  • 脇役となる要素は、形と配置のみで簡略化する。
  • 細密描写や質感表現は、一切行わない。

目的


 主役と脇役を明確に分けることで、「すべてを同じ密度で描こうとしていた癖」に気づくことと、整理された画面の土台を作る感覚を身につけます。

             参考画像です

明暗の塊だけでまとめる整理トレーニング

内容


 同じ風景、または別の風景をモチーフに、明るい部分・中間調・暗い部分の 3つのトーン だけで風景を描きます。

条件

  • 描線は、最小限に抑える。
  • 細かい形や質感は無視する。
  • 画面全体が、一つのまとまりとして見えるかを重視する。

目的


 構図や描写以前に、画面全体を大きな明暗の塊として整理する思考を養うこと。ごちゃつきの原因を早い段階で発見できる力を鍛えます。

             参考画像です

描写密度に差をつける実践練習

内容


 風景の中から

  • 描写密度を高くする部分
  • 形だけでまとめる部分
  • ほぼ描かない部分

この3段階を意識して、15〜20分程度のデッサンを1枚描きます。

条件

  • 主役は、情報量多めでもよい。
  • 脇役は、形と明暗のみで整理する。
  • 描かない部分を「失敗」と感じない。

目的


 描き込みすぎを防ぐための、「描かない判断」「抑える判断」を体感的に身につけること。整理力を実践の中で定着させます。

             参考画像です

まとめ|風景の鉛筆画やデッサンの「ごちゃつき」を防ぐ整理力とは

 風景の、鉛筆画やデッサンが「ごちゃついて」見えてしまう原因は、描写力の不足や描き込み量の多さではありません。

 多くの場合、画面の中にある情報をどのように整理し、どの順序で扱うかという判断が曖昧なまま描き進めてしまうことにあります。

 すべてを同じ重要度で描いてしまうと、観てくださる人の視線の行き場が定まらず、結果として雑然とした印象になってしまうのです。

 まず重要なのは、風景の中で何を主役として見せたいのかを明確にすることです。主役(モチーフや強調したい部分)が決まっていない状態では、どの要素も同じ重さを持ってしまい、画面にメリハリが生まれません。

 主役を支える脇役は、省略する対象ではなく、情報量や描写密度を抑えることで主役を引き立てる役割を担います。この関係性を意識するだけでも、画面の整理度は大きく向上します。

 次に、描き込みすぎを防ぐためには、情報の取捨選択に明確な基準を持つことが欠かせません。描く前に制作の目的を一つに絞り、その目的に直接関係しない情報は無理に拾わない判断が必要です。

 また、形・明暗・質感を同時に処理しようとせず、段階的に整理することで、描写の暴走を防ぐことができます。

 さらに、構図のテクニックに頼る前に、画面全体を一つの面として捉える整理思考が重要になるのです。

 細部から描き始めるのではなく、明暗の大きな塊や要素の重なりを先に整理することで、構図を使わなくても、安定した画面を作ることが可能になります。構図は整理された下地があってこそ、本来の効果を発揮します。

 最後に、整理力は理解するだけでは定着しません。描く前に考え、描写中に密度を調整し、描き終えたあとに振り返るという一連の流れを繰り返すことで、判断力として積み重なっていくのです。

 整理できた点を、言葉で確認する習慣を持つことが、次の制作に確実につながります。

 風景の鉛筆画やデッサンの整理の要点まとめ

  • 描写量ではなく、情報整理の判断が「ごちゃつき」の原因になる。
  • 主役と脇役を明確に分け、描写密度に差をつける。
  • 描く目的を一つに絞り、情報の取捨選択基準を持つ。
  • 構図以前に、明暗や重なりで画面全体を整理する。
  • 描く前・描写中・描き終えた後の判断を習慣化する。

 これらを意識することで、風景の鉛筆画やデッサンは、無理に描き込まなくても、整理された落ち着きのある画面へと変わっていきます。

 整理力は特別な才能ではなく、意識と練習によって誰でも確実に伸ばせる力です。

 風景デッサンだけでなく、鉛筆画やデッサン全体の練習の進め方を整理したい方は、
鉛筆画・デッサンが上達しない人のための練習完全ガイドもあわせて参考にしてください。

 ではまた!あなたの未来を応援しています。